店主酔言
書籍・映画・その他もろもろ日記

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3月1日(月) 晴
 まずは、先週末にゲットして病床に横たわりつつ細々とプレイした(目に悪い上に肩が凝るのでよい子は真似をしてはいけません)ゲーム『Shadow of Memories』プレイ雑感など。
 見知らぬ街を訪れた主人公が、理由もわからず何者かに殺されて新聞の三面ネタに・・・・じゃなくて、謎の存在「ホムンクルス」に「機能限定航時機械」を与えられて直前の時刻に戻り、自分の死を防ぎつつ犯人の正体を探ることになる・・・・このテの設定が非常に趣味だという話は1月31日にも書いたのだけど、実際プレイしていくと次々繰り出される殺され方&回避方法のバリエーションとあいまって面白い。少女漫画系ポリゴンキャラの主人公が落下してきた壷に当たって死亡、なんてのは違う意味で面白かったつーか笑ってしまったが。さすが関西系企業、どうでもギャグを入れなきゃならんという鉄の掟があるのかコナミ。
 全体の雰囲気も悪くない。現代はちょっと明るくて細部までポリポリに見えすぎなのだが、過去の時代での季節&時刻によってうつろう街の情景、そして音楽が良い。なんか屋根裏部屋のチェストの奥から発見された古い書物に読み耽るような心地がするのだよね。そんな経験ありませんが。
 さてプロローグでは、操作練習ということなのだろう、数分前への移動を行って背後の刺殺犯をかわす事になる。一人ぼっちにならなければ襲われないだろうという判断のもと、オレ(唐突に没入)は街中へと駆け出す。ん〜、なんか安直な気もするけどねぇ。つーか雑踏の中の方が殺って逃げるのには向いてないか?ま、これで殺られちまったらまた別な事を考えればいいんだし♪
 ・・・・で、なんでこんなに人が少ないんですかこの街。
 地図で見る限りではさほど大きくない街だけど、日中なんだし「わぁ〜〜〜〜」とか叫べば誰か集まるだろうとか思ってたら大間違い。雑踏どころか、なんか陰気臭い顔した母娘、それに太め弛みめのオバチャンの計3人っきゃつかまらない。街中には他にも人がいるけれど、こっちのことは思い切り視野の外で、探してる相手のことを教えてやりたくても知らん顔。昼日中でもこの人数っつーのは何だかなぁ。メラナット島(『キングスフィールド2』の舞台である呪われた島。ファンタジーRPGのお約束で怪物が跋扈する中、人々がきわどい生活を送っている)じゃあるまいし。
 ゲームという「お約束」だからなのは分かるけど、プレイヤーがそれを納得するのを当てこんで話を作るのはナンだぜ。序盤で行動半径を制限したいからって、やたらに犬を配置するのもどうかと思うし。つーかあえて犬を置くのなら、強行突破しようとして噛み殺されるくらいの場面を用意して欲しいぞ。某ビールの雪合戦CMみたいに・・・・って、山崎努やトヨエツは噛み殺されませんけど。
 まぁとりあえずフラグは立ったみたいだけど、他にも誰か来てくれないかと、唯一開いてる店に行ってみる。まずは店のオネーチャンに敢然とアタック&玉砕するオレ。あああ駄目か。んじゃ他の客は?と見たら、おお!懐かしいヤツが寝てる!オレじゃあないか数分前の!
 とりあえずコイツだけはオレを殺す動機が無い。それはオレが一番良く知っている。よし起きろオレ!一緒に来て犯人を捕らえるのだ!古典SF『僕と私と俺自身』だオレ!レッツゴーオレ!オレ!オレ!オ〜レ♪オレオレオレ!
 とかフーリガン的な起こし方をしたら(注・しません)ヤツが起きた途端に対消滅してバッドエンドになってしまった。なるほど、世界にオレが2人いるのはいいけど接触してはダメなワケね。しかしここまでセーブ出来なかったってことは、また1からやり直しですか?トホホ。高い授業料だなぁ。
 ・・・・ってな具合で、進行もソレナリに楽しめる。
 しかしだ。
 どーにもこーにも、作り込みが甘い。つーか雑だ。
 根っから文字人間の僕が、何より気になったのは台詞回しだ。読ませる(音声は英語だから、自然そうなる)ものにしては随分と難がある。100年前のキャラだったら古文口調にしろとは言わないが、現代と同じような習慣・口調で話させては雰囲気も何もなかろう。で、その現代にしても、話し言葉と書き言葉が同居してたり、時によっては英文の直訳みたいな変な台詞がある。親密なはずの相手がフラグ成立のとたんにつっけんどんな言葉を吐くなんてのも興醒めだ。てゆか、少なくとも神秘的な存在である謎の占い師に「ら抜き言葉」使わせるのはやめてくれませんか。現実に、たとえば落ち着いた上品な口調の老人にコレやられたら変でしょうがよ。
 操作上では体験版でイヤな感じがしていた当たり判定のマズさがそのままだ。美術館の奥の部屋とか錬金術師の家とかは特にイライラ。メッセージも無く入れない扉にもうんざりさせられる。屋外はマップ上で指定されてるから納得するとしても、屋内で同じように並んでるドアでコレは無いんじゃないかな?
 で、ゲームの流れ全体を見ても、こういう雑さは至るところに残っている。たとえばあるキャラに会いに行き、戻る。それによって件のキャラは移動しているのに、問題の時間にはまだ「○○に会えるかな」とか書いてあるのだ。
 アレか。もしかして納期に間に合わなくて枝葉もろとも研磨段階を切り捨てる羽目になったのたか。だとしたら悲惨というか勿体無いとしか言えないと思う。細部まで細かく造り込んでおいて、重箱の隅からシュレディンガーの猫を出すような(どういう喩えかとかは聞かないように)意外かつ秀逸なオチを見せてこそ、このテのネタは生きると思うのに。優れたテーマを選んでおきながら推敲を怠って「乙」貰うような仕上がりでは、せっかく生まれたアイディアが可哀相だよなぁ。
 ・・・・いや、いっそ外因があったほうがマシなのかもしれんか?(意味深)

 ってなコトを考えつつ帰宅。途中ねこまと合流し駅地下街なぞ冷やかしていたら、ゲーム屋にワゴン発見。基本的に中古は買わない主義だが、新古(変な言葉だねおい)で出物があるかも知れぬと接近。期待は見事に外れたが、その横手にFFグッズの山がある。それもサボテンダーとかトンベリとかコヨコヨとか、本編そっちのけで捜し歩いた変なモンスターのものばかりだ。
 始末の悪いことにねこまはコヤツらが大好きである。無意味さ・不気味さ・可愛らしさの微妙なバランスがいいらしい。あっという間にハマって動かなくなる。幼い子供と違って横抱きにして走るワケにも行かず、いろいろ手を講じて店から連れ出した時にはたっぷり20分が経過していた。そして何故かヤツの手には包装紙に包まれた縫いぐるみとメタルキャスト像と携帯ストラップが!さらに恐ろしいことに、僕の財布には数千円の穴が!
 世の中何があるか分からない。今度からワゴンセールを見つけたら、ねこまの目を盗んで駆け寄ろうと決めた僕であった。
 (もちろんそれで迷子になって叱られるというオチがつくのだ)

 かくて暮れた1日だが、実は一番大事なことを書いていない。そう、期待して待っていた『メタルギア ソリッド 2 初体験版』発売日なのだ!あ、いや『Z.O.E.』ともいいますが。ごめんZ.O.E.。
 当然、入手済みなのだが、これは別扱いなのでここに感想を書こうとは思わない。表の仕事(?)のほうに、僕なりの形でアップしてみたいと思う。いや、それはもちろんアレだ、ギャグだったりパロディだったりしますけど。だって僕だもん、ねぇ?<何がよ

3月4日(日) 雨
 爆睡する相方を横目に『百獣戦隊ガオレンジャー』と『仮面ライダーアギト』を観る。特に後者が面白いッ!幾つもの謎が絡み合いつつ徐々にその姿を現していく過程が、ハイレベルな演出で繋がっている。1回あたりに詰め込まれた情報はかなり多量なのに、それが無理なく伝わってくるのは大したものだ。例によって役者の大根含有率も高いが、それでも某サスペンス劇場とか観てるよりはマシな程度だし。とにかく顔のいいオトコノコがいれば主にお姉さんから成る大きいお友達、怪人もといアンノウンの出来が維持されれば主にお兄さんから成る大きいお友達の人気はソレゾレ確保できるだろうから、この先もトーンダウンせずに続いて欲しいものだ・・・・と大きいお友達の1人として期待しているうち、アンノウンの特殊攻撃を上回る相方と猫どもの「オネム波〜雨の日はとことん眠いアタック」に耐えられずに轟沈してしまった。往々にして現実の方が脅威に満ち満ちているものなのだな、うん。

 今日までに読んだ本。
 『掌の中の小鳥(加納朋子/著、東京創元社 )』
 雑踏の中で再会した先輩との会話、そして蘇る学生時代の出来事。美しい絵を無残に汚した犯人は・・・・という事件から始まって、日常の周辺で展開する「人の死なないミステリ」連作短編集。
 『ななつのこ』で出会ってから、この作者の作品はどれも、胸が痛むとかやるせないとか切ないとか、いい年かっぱらうと無感覚になりそうな想いを、鮮やかに呼び覚ます。クサかったり嫌味になったり押し付けがましくなったりしないでこの味を保てるというのは凄いことだと思う。また謎解きの妙味も、もちろんのこと「読ませる」もので、どれひとつハズレが無い。読み終えてほうと吐息し、ふたたび雑踏へ飛び去っていく小鳥たちに幸あれと手を振りたくなるほど素直になっている自分に驚かされる。誰にでも(かなり強力に)薦めたくなる本だ。さぁ読め!<本の持ち味が死ぬから止せ
 『黒祠の島(小野 不由美/著、祥伝社)』
 いつまで経っても文庫化されない『屍鬼』に興味はあったものの、さすがに分厚い単行本でバクチは張れず、読まないままでいた作者の本(それでも京極夏彦のパロディ『脂鬼』は読んでしまったんだけどな)。新書で手に取れたのは幸運といえよう。面白いわコレ。
 故郷の島へ帰省してくると言いおいて消えた女、そして彼女を探す男。この二人の関係がベタベタしてなくて、だからといって「ハードボイルドだど」と突っ張るでもないのが却って心情を描き出してて良い。惨殺死体の謎を追う男の周囲で蠢く挙動の怪しい島民と謎の気配は、巧みに不安感を煽り物語の先へと引きずり込んでくれる。そして何より、謎解きがいい!わりとベタだけど絵になるよな〜。それに「答えの出ない問いかけ」を残しながらもラストに一種「救い」が置かれているのも嬉しかった。地獄絵図の外れで地蔵尊を見たような印象とでも言えばいいだろうか。
 唯一、不満があったとすれば、この本の版元(てぇのは古いねオイ)がつけた腰巻(オビ)の惹句だ。ヨコミゾは分かるよ、でもアヤツジは違うだろ?何でもいいから他の作品(とか作者)を例に引いて売ろうとするのは止めたほうがいいと思うんだけどなぁ。それとも編集さんにはコレが同ジャンルに見えたのかね?以前に読んだ海外アンソロジーで『ドリアン・グレイ』ネタを『オペラ座の怪人』とか言ってるバカモノを見たけれど、ちゃんと読んでない作品を引き合いにするのは著者にもいい迷惑だと思う。そしてもちろん、妙な先入観持たされる読者にもな。
 『妖怪馬鹿(京極夏彦・多田 克己・村上 健司/著、新潮社)』
 バカだ〜〜〜ッ!としか言えない対談集。いや悪口じゃなくて、大笑いしながらこう叫ぶことを期待されてるとしか思えないんで。身内ネタも多いのにちゃんと読者を楽しませてくれるてぇのは対談本として立派だし、何より随所にちりばめられた京極夏彦の挿絵(田河水泡から大島弓子まで)はスンバラシイの一言に尽きる。本当に大丈夫かこのヒト。見事なまでの馬鹿っぷり、対談が脚色ゼロだとしたら接近したくないレヴェルである。いや、だから悪口じゃないんだけどね。

3月6日(火) 曇時々雪
 帰宅途中のコンビニで、先週末にねこまが買ってきてくれたフルタの「百鬼夜行」シリーズの不足分「河童」と「シークレット九尾の狐」を買う。いずれも彩色版で、あっさりコンプできた。
 どうでもいいんだが、前回は「墨絵風」をコモンとして「彩色版」を当たり「蓄光」をレアと位置付けていたけれど、今回は「彩色版」がコモンで「象牙風」「金色」がレアなんだろうか?12種類全て1個ずつ買って全部「彩色版」だったというのは、率としてはどうなんだろう?どうせ彩色版しか集める気が無いからこれで満足、ラッキー♪と言ってしまえばそこまでなんだけどね。
 とりあえず袋から出して仮組みしてみる。ううむ、素晴らしいなぁ。造形も塗りも言う事無しに良い出来だ。やはり全部組み立てて、どっかに飾っておきたいものだ。猫どもの被害を考えると専用の飾り棚が欲しいな。もちろん何処からも眺められるようにアクリル製で、小さい棚を3つぐらい組み合わせて屏風状に畳めるとカッコよさげだ。ほんでもって畳んだ上からカバーとして白木の箱をかぶせると完璧ではなかろうか。名前はもちろん「魍魎の函」ッッッ!ってベタベタだよなコレは。つーか妄想の函って気がせんでもない。御粗末。

3月11日(日) 曇時々雪
 久しぶりに無条件の休日。先週来のHP減少とちがいのような忙しさのせいで、ほとんど日記すら書けなかったからな〜。ま、本来この日記は「三日坊主であること」を前提に書かれているんだから、どうってこたぁ無いけれど。 <それって日記か?

 さて自由を満喫すべくねこまと外出。猫のトイレ砂が足りなくなってきたので近在の大型DIY店へ・・・・って、自由じゃないじゃん。まぁ自業自得と観念はしたものの、ちょっとだけ横道に逸れたくて傍らの100円ショップに入る。ミミっちぃ横道だね我ながら。
 昔はヘナチョコなプラスチック製品しか置いてなかったこのテのショップだが、今は呆れるほど何でも置いている。衣類食物文具画材化粧品装飾品ペット園芸、ジャンルを問わない小物の類がこまごまちみちみぎしぎしと並んでる。無いのは大型家電ぐらいなもんだろう。 <あるかい!
 どれもチープなシロモノだけど、品質二の次廉けりゃいいわというのかどうせ100円ならダメモトだという考えがはたらくか、結構な人の入りである。んで気が付いたのだが、眼も口もぱか〜っと見開いてふらふらと歩いている人が多い。カートで人を押しのけようとする老婦人、通路があるのに棚と人の隙間を何が何でも通ろうとする親子連れ、物神に取り憑かれたようで怖い。圧倒的なモノの量と氾濫するそれぞれの色彩で頭の中がモアレっちゃってるんだろうな。うう、僕も気をつけねば。
 で、僕が何を買ったかというと、書類用のプラフォルダと、あとは時計とかコースターとか食器とかだ。もちろん普通に使う気なんかない。いじったりバラしたりして工作の材料にするのだ!
 ・・・・あるべき形を無視して使おうなんて、僕こそ物神に祟られそうだな。

 さて、猫用品を買う前に、もひとつ寄り道でゲーセンへ。数キロもあるものを担がねばならないなら、とにかくその前に楽しい思いをしておきたいじゃあないか。逃避とか問題の先送りともいいますが。
 ここ数年のゲームには反射神経が付いて行かないので、いつものようにプライズものへ直行。変な賞品が多い。『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』のジャックのクッションとか、『セサミ・ストリート』のキャラのキーホルダーとか。何が変ってどっちも生首なんだよな。前者はまだしも後者はねぇ・・・・沢山ぶら下げて歩いたら、干し首収集してる裸族みたいに見えるんじゃなかろうか。そんなコト考えるのは僕だけだとは思うけど。
 ねこまにせがまれ「どこいつ」ストラップを狙うものの失敗。腕の衰えを感じつつ店を出かけたら、連れは大物を見つけてきた。サイズといい品物といい、好きゴコロ(物好き心ともいう)をくすぐる。¥200×5回目のチャレンジでゲット。「どこいつ」湯たんぽだぁ!
 なんというかその、コレのアイディア出した人の顔が見てみたいニャ〜と思ってしまう、イカした商品だよな。イカれてるという気もしないではないが。

 夜に入ってマシンの組み替え。ほぼ使わないことが確定した旧マシンからCDとHDを取り出し、新規購入のキャプチャカードと一緒に新マシンへ組み込む。ついでのことにメモリと古いキャプチャカードを売って、またパーツ代の足しに・・・・とか考えてると、めっきり臓器ブローカーの気分である。やたらとヘソ曲げるきらいのあったヤツだったが、長い付き合いの果てにバラしてしまうのは、少々罪悪感が無いでもないのだ。ま、脳味噌も移動してやるんだから、いわばサイボーグ手術だと思って勘弁してくれな。
 とか言いつつセットアップを終えてみたら、DVDがマトモに動かなくなってしまった。この野郎、記憶消去してもヒネクレモノかよ。最初につけた名前が悪かったことを痛感しつつ、明日に作業を引きずって寝ることにした。

3月13日(火) 晴時々曇
 『リスボンの小さな死(ロバート・ウィルソン/著、田村 義進/訳、ハヤカワ・ミステリ文庫)上・下』読了。
 大戦とその後という数十年の時を隔て、少女の死を追う現代の刑事と、過去でとある任務を負ったナチ将校、それぞれの物語が展開する。両者に何の関係があるのか分からないまま、事態はいずれも思わぬ方向へ進んでいき、そして見えてくるものは・・・・ってな話。
 上手い。↑みたいな内容だから読んでいてゴチャゴチャしそうな感があるのだが、細かい人物や風景の描写が巧みで「場」をしっかり立てているため、混乱させられることが無い。そして全編に漂う哀感が何とも言えない。リスボンという土地柄の風光明媚さを描きながら、しかし命は消え想いも言葉も何一つ伝わらないという、強い陽光の下の影の濃さを際立たせてみせる、みたいな〜。お、オレ様詩人じゃん。 <語尾で艶消し
 もっとも衝撃の度合いはあまり強くない。僕個人としては『夏草の記憶(トマス・H・クック/著、芹沢 恵/訳、文春文庫)』みたいな脳髄背負い投げタイプの展開の方が好きだ。まぁアレの場合、途中経過で「お前、殺ったんだろ?素直にそう言えコラ!」みたいな気分になってイライラしっぱなしだったんだけど、それだけにオチに愕然とさせられたんだよね。
 ラスト1行にこめられた虚無感も悪くない。哀しく笑って「佳作」として棚に置ける一品だった。

 仕事帰りに、明日が何の日かに気付いて愕然。ホワイトデェェェェ。ヤバい、ヤバすぎる。お返し分を何も用意してない。製菓業者の陰謀だろうが何だろうが、寂しい思いをさせずに下さった方々に一矢報いなくては武士の一分が立ち申さぬ。ん?なんか錯乱してますな。
 とりあえず帰宅を早めてデパートへ駆け込み、必要個数をゲット。やれ安心と家に着いたら、発送用の梱包材が何も無い。うわ〜ん。
 お心当たりの各位、鋭意準備中でございます。なにとぞ気長にお待ちくださいますよう、伏してお願い申し上げますdeath〜。 <死ぬな

3月15日(木) 曇時々雪
 まず
 おひさぁ〜♪
 である。んでもって
 いきなりメアドを変更してみたよ(笑)
 だそうだ。何がって今日来たメールの1通なのだが・・・・どうも知人、それも若い女性に見せかけようという努力の結果らしい。内容はというと、語尾を延ばした口調に機種依存文字と顔文字とバケ字をちりばめてのエロサイト紹介。
 う〜む・・・・どんな顔した(たぶん男の)人がコレを書いているんだろう。ソッチのほうが興味あるぞ。ってもちろん見たいとは思いませんから画像なんか送らないでくれな。つか、送ってきたら藁人形にくくりつけて近所の神社のご神木に逆さ磔にしてやる。う〜、キショク悪ぃ。
 末尾には
 ぜったいビックリするよ(笑)。
 とあって、シグネチャは
 name:ひみちゅ(ってわかるよね?・笑)
 だそうだ。分からんて。分かりたくねぇよ。
 とりあえず、ビックリはさせてもらった。これで誰か引っかかるだろうと思っているアタマの悪さに・・・・って、知り合いの誰彼(女)からのメールだと真に受けて、このエロ屋さんに大勢駆けつけていたら、それはそれで別種の驚きだよなぁ。

 基本的に僕はエログロに対して過剰な規制を設ける必要は無いと思っている。こと実践については、成人が相互の意思で、かつ完全に自分で責任を取れる範囲で行う分においてなら、売ろうが買おうが病気貰おうが結果として鼻が欠けようが自由だと思う。例をあげると、東南アジアへ売春ツアーに行って子供を買って伝染された性病持ち帰って何も知らない家族に感染させるようなクソバカは、上記の資格の無いものと見なして麻酔無しで去勢のうえ生涯重労働させるべしと・・・・おや?
 まぁ、ヨタ(かなり本気)はさて置くとして、そこらにエロモノが氾濫していることによる青少年への影響も、あまり深刻に考えてない。この点については何度か友人知人からお叱りを受けてるのだが、エロでも面白いものはあるし、表現や程度の差が大きいものなんだから一律には管理できないだろう。性の意味合いを明確にしたうえで、こういう幻想を楽しむ人間もいることを幼少時からしっかりと教育する方がいいと思うんだよね。少なくともああいうモノを本気にして偏ったセックス観を持つバカは減るだろうし、ロリショタのゲス野郎についての警戒心も育つんじゃないかと思うし。もちろん、こういうクソメールに好奇心かき立てられてトラップ仕込みのエロサイトに迷い込み、挙句に海外の電話業者へのダイアルアップ設定されてン万円の電話料金をある日突然請求!なんてぇ目に遭う人間も減るだろうし。いや、最後のソレは別に同情しませんけどね。

 ついでに言うと、似非リベラルな僕としては、ソレ専門で、現物とは会話もできませんなんてぇ寒いヤツは生物学的レヴェルでエラーの発生した「カタ○」だと断じて石投げると決めている。ええ、漬け物石大のやつをガガーンと。何か矛盾してますか?

3月16日(金) 曇
 昨日に続いてメールの話。
 なんだか日よう日って…
 おひるねしたくなっちゃうニャ〜

 トロメールである。サイトに登録するだけで、ゲーム好きなら知らぬ者も無かろう『どこでもいっしょ』のキャラからメールが送られてくるシステムなのだ。
 ゲーム本編でもあった変なボケ風味が楽しい。だいたい今日は日曜じゃないだろうトロ。それに「おひるね」とは何だよ。オレは仕事中なんだよ?って職場でこんなメール取るなという話ですねごめんなさい。
 ま、とりあえず本提言をもって、今後日曜日は 「おひるねよう日」ってなづけるニャ!いけませんか?

 とかバカを並べて帰宅(だから会社でやるなと言うに)。途上、例によって書店パトロール。
 デアゴスティーニ社の新シリーズ『隔週刊トレジャー・ストーン』に目が行く。ここの刊行物ってパソ初心者用ガイドとか日本の歴史とかガーデニングとか、果てはいわゆる『X-ファイル』ネタにまで及んでいるのだが、今までどれもちゃんと目を通したことはなかったのだ。ん〜、なんていうかねぇ、子供の時分から「みんなと同じ」はイヤな性分で「流行りモノ」嫌いだし、いやそれ以上に「今さら入門本に目を通す時間は無い」ってのが先に立つな。この年齢になって「好きな分野」が確立している人なら大概はそうだと思うけど。
 しかし逆に見れば、もちろん各分野の初心者には優れた入門書であると思う。パラパラと見るだけでも図版は豊富で綺麗だ。それに大人が読んで楽しめるレヴェルの文章で、漢字にルビが振ってあるのも良い。僕が小学生で、こういうのを毎号買ってもらえたら、さぞや大喜びでマニアな学究の道に邁進することだろう。いや、そんなもの無かった世代でもマニアに育ってますけど。
 で、『トレジャー・ストーン』なのだが、これには毎号、本物の鉱物標本がついてくるのだそうだ。かつてハンマーを腰に山野を跋渉した身としては気を引かれる。ふんふん・・・・とページをめくり、その場で「買い」決定してレジへ突っ走ってしまった。
 何がいいってアナタ(誰)、プラスチックの標本ケースがガレキのパーツ入れに最適サイズなんだわ〜。
 ごめんなさい編集者さん。せっかく出した本をこういう理由で買うのは失礼だと思いますです。ア●デ●ー出版の本なら焚き付け用に買っても微塵も後悔しませんが。ターゲットに無いユーザーが1匹ひっかかったってコトで、何卒ご勘弁ください。
 とまれ、こうして便利なケースをゲットしたので、オマケの石のほうは、以前に買った貴石のクズ(妙な代物だ)の瓶に一緒に入れることにした。ルビーのほうは紛れて分からなくなってしまったが、パイライトは雑多な色の石の中で綺羅きらしい輝きを増し、なかなか見栄えがする。愚者の黄金、僕らしい飾りものになりそうだ。

 ところでデアゴスティーニ社のサイト、トップがなんだかカッチョ悪いぞ。ここを見るとは思えないんだけど同社の方、PCモノとアート関係の本を出してるんだから、もちょっと両者のバランスを見せ付けて欲しいッス。『トレジャー・ストーン』のページは雰囲気あるんだけどね。

3月19日(月) 曇
 定時で職場を飛び出してねこまと合流。買い物があるという彼女についてウロウロ歩くうち、当たり前のように荷物持ちになっているのに気付く。うう、こういう自己発見はイヤだよう。
 まぁ、泣いても変革はされんわな(つか怪しい宗教みたいな用語使いはヤメレわし)。かさばる荷物を持って書店パトロール。小説系は収穫無しだったが、コミックの棚で今市子の『懐しい花の思い出―初期作品集』『砂の上の楽園(いずれも朝日ソノラマ)』を発見した。文庫で『百鬼夜行抄』を読んで以来、他作品も読んでみたくて探していたものだ。即座にゲット。
 かな〜りファンタジー寄りとはいえ、SFも描いてたとは知らなかった。もちろん怪談鬼談の類もあるけれど、どれも柔らかな絵柄と静かな語り口のマッチングが愉しめる。しかし特に気に入ったのは、コミカル路線の『ユディトの帰還』だったけど。聖書ネタからこう引きますか!こういう童話ちっくな話、上手なんだろうな〜。続編も楽しいし、もっと色々描いて欲しいぞ。
 別な意味で面白かったのは『僕は旅をする』。この正月の『世にも奇妙な物語』でSMAPが演ってた話の原作とは聞いてたけど、なるほど設定が逆だ。描き手(ドラマの場合は製作者)がどちらの性別をもっているかで、物を見たときの色合いが全然違うのだなと思う。著者のまなざしに感じる包容力は奇妙な安堵感さえもたらして心地よい。ドラマも良い出来だったけど、あちらは「想い」が結晶化されてゆく過程の、澄んだ哀しみを発していたように感じた。ん〜、なんかまた観たくなったな。再放送しないだろうか。
 などと考えつつじっくり読み込むうち、『百鬼夜行抄』の続きが読みたくなってしまった。文庫は数ヶ月先の筈なのだが、いっそ単行本で・・・・という考えが頭から離れない。どうしようかな〜。
 ま、こういう状態で「買う」を選択しなかったことが無いのは言うまでも無いが、しばらくは逡巡を楽しんでみるとしよう。<って逡巡してねぇよ

3月20日(火) 晴
 春分の日。暦に忠実たらんとしてか、妙に暖かい。起きぬけのTVでは最高気温10度とか言っていた。冬将軍に対し春が奇襲攻撃を加えた体である・・・・すぐ反撃されるだろうけど。<悲観主義
 午後になって柚さんが見える。お土産にケーキを戴き、警戒したが、今回はあまり驚くようなことは無かった。安堵すべきなんだろうなぁ。なんか気抜けしたような感じもするけど。
 例によって『メタルギア ソリッド 2』初体験版なんかお見せする。アホな状況(ピンナップにTOUCH&KISS・ハッチのハンドルをもぐ・ダンボール被っててバレる)や無駄な行動(撃てるものを片端から撃つ・敵兵をロッカーに詰め込みまくる・行かなくていい所へ潜る・手すりにぶら下がって落ちる)を繰り返して見せたので、たぶん僕の戦闘能力評価は彼女の中で最低になっているに違いない。ふっ、お嬢さん(誰)実力あってこその余裕と分かって戴きたいな。いや、しこたま撃たれて流血しまくりましたけどね。
 続いて柚さん持参のビデオ『どーも338秒』を観る。NHK-BS放送のマスコット、ぬりかべ状キャラの「どーも君」の人形アニメCMの集大成だッ!・・・・って力むほどボリュームは無いんだけどね。タイトルどおりの時間しか無いし。
 しかし秒単位のCMをじっくり観ていくと、作り込みの細かさに驚かされる。スケールがどのぐらいかは知らないが、「うさじい」の住まいのディテールといったら只事じゃない。んで小道具ひとつひとつも、かなりキッチリ作られている。アクションも軽妙で楽しい。このノリで番組にしてもいいよなぁ。巻末の紙芝居アニメはいらないケド。
 続いてPCゲーム『SIM PEOPLE』を貸していただく。去年発売されていたそうなのだが、コッチ方面のアンテナは長いこと収納状態で、全然フックしていなかったものだ。
 要は「人間を飼う」ゲームだ。いや「人生構築」が本来なんだけど、シムと呼ばれるキャラクターに住まいや家具をあてがい、食事をさせ風呂に入らせ仕事や勉強をさせ、交友を広げさせ結婚相手を探させ・・・・という細かい指示をしてると、どうしても「飼ってる」気になる。やる事はシム相手にとどまらない。家の周囲に植えてる花や鉢植えの植物は水をやらなければ枯れるし、買ってやったペットも世話をしなければ死ぬ。だったらそんな物あてがわなければ良いのだが、シムの精神的な安定を求めるなら欲しくなるのだ。
 ほったらかしておくと家中をゴミで埋めてしまったり、そこらのシムと喧嘩した挙句ヒッキーになって一人で泣いてたり、挙句は火事を起こして焼け死んでしまったりするシム。一筋縄ではいかないコイツらと付き合うのは、傍目には作業の連続なのだが、これが意外と気にならない。連中のワガママやリアクションを見るのが楽しくなって、ついつい時間を過ごしてしまう。おまけにキャラのデザインも自分でテクスチャ貼って(濃い人はモデルもいじるそうだ)変えられるとあっては、のめりこまずにはいられまい。コレはハマる!きっとハマる!貴方もハマる!ほ〜ら、だんだんハマって来たッ!・・・・僕だけ感染してたまるもんか!<こら
 とりあえず、自分で買うまで少しの間お借りする事にした。見透かされている我が身が哀しい。哀しいついでに、柚さん、キャラ製作を勧めるのは勘弁してください。可愛い女の子キャラなら意欲も湧きますが、レッドウッドは飼いたくありません(号泣)
 ・・・・って、このゲーム、コジマニア仲間に薦めたらウケるかもしれないな。サンプル用に、いっちょ作ってみようか。<結局乗せられているのか?

3月22日(木) 曇のち雨
 デカくて厚くて高価な『MIDWAY 宇宙編・自選短編集(星野之宣/著、集英社)』を購入。うううう、泣けるよう。いや、デカさや厚さや価格に泣いてるワケじゃないですって。ホントに好きなんだよな、この人の作品。
 単行本未収録だった『星の町』も良いけれど、なんつっても『セス・アイボリーの21日』が何度でも読ませる。クローニングが完璧に出来、記憶が引き継げたとしたら、人格は一体どこにあるのか?クローンは個として認められるのか?そう遠くない未来、やがて僕らにかかわって来るかもしれない問題・・・・なんてこたァ言わないが、ヒロインの苦悩は激しく胸に迫る。生きるとは、いったい何だろう。そのためには何をしても許されるのか?だが人は非業を目にして再び問わざるを得なくなることに気付くのだ。それを責める権利が自分にあるのかと。
 う〜ん、ガラにもなく真摯に考えちまうぜ。このシリーズ、何冊出るのかは知らないが、とことん付き合うつもりだ。できれば『宗像教授伝奇考』の単行本未収録作を期待しつつ。

 ペケ、じゃなかった『X 16(CLAMP/著、角川書店)』も買う。『東京BABYLON』のオチがこんな所で付くとは・・・・。売れまくってる作家だから出来るワザ、最初の版で止まってたら新規読者には「ナニコレ?」だろうな。ま、追っかけファンにはサービスならん。
 しかし『CLAMP学園』シリーズも一枚噛んでるのはナンダカなぁ。思いっきり雰囲気が違うキャラクターをこんな陰惨&破滅的ブラボー世界に連れ込まれては、前作好きはさぞや哀しかろう。倒壊するビルの下で肉片化する二十面相クンや生徒会長さん、見たいですか?僕は非常にイヤです。
 あと『聖伝』からコッチ、やたら「同性の愛憎劇」を描いてるのも気になるところ。同人屋さんの血は濃いということか?とか何とか言いながら先が気になって読みつづけているんだけどね。せめて譲刃は電柱男と幸せになって欲しいもんだ。<萌え?

3月23日(金) 曇のち雪
 ロシアの衛星「ミール」が廃棄処分になり、落下。昨日読んだ星野之宣の『星の町』もあいまってか、ちょっとセンチメンタルになる。遥か天空へと幾多の人間の力で押し上げられた人造の星が、用済みと断されひきずり下ろされ燃え尽きる・・・・んで実は謎の宇宙生命体がくっついてて、南太平洋の温暖な海中で大増殖!なんてぇコトにならないかなと。センチメンタルから1万光年ぐらい離れてますな、わし。
 ところで、どうでもいいんだが、ロシア語ってのもあまり(つか全然)ロマンを感じさせない言葉のような気がする。だいたい星が「ズベズダ」夜明けが「ザリャー」ってあたりでイメージが急降下。恋を語るにはフランス語、政治を論ずるにはドイツ語とか思うけど、ロシア語が何に向いてるのかはサッパリ考えられん。あえていうなら暗号だろうか。ロシアの皆さんごめんなさい。

 新潮社からビデオ『パンダが本を読んだお話』が届く。文庫のキャンペーンでポイント貯めてもらったものだ。わが書斎の守護神Yonda様の御真影映像である。謹んで拝見。
 動物園のパンダが本を読むようになった顛末を描く人形アニメ。妙に現実的な部分もあるせいで、苦笑したりツッコミを入れたくなる場面もあるが、おおむね淡々とした童話調の作りになっている。人形の出来も良い。造形色調、それに小道具が渋めに決まっている。顔を挿げ替えて表情を出す時にちょっと隙間が目立つのが残念だけど。
 今日は『アベンジャーズ』DVDも買って来たのだが、これは後日の楽しみにしよう。話の繋ぎ方がヘタクソで映画としては失敗作だと思うけど、各シーンや設定が好きなんだよな。あとコネリーじじぃが例によって決まっているし。まさか「ぐるんでる」とは、それでなおかつカッコいいとは、恐るべきハゲである。もし将来ハゲるなら、この半分でも決まったハゲになりたいものだ。<無理だよ

3月24日(土) 晴のち曇
 月イチ通院の後、柚さんと待ち合わせ。まずは書店へ。『62のソネット(谷川俊太郎/著、講談社+α文庫)』を懐かしく手に取った。高校生の時分、『二十億光年の孤独』にハマり倒したり『スヌーピー』や『マザー・グース』の妙訳に驚かされたりと、この人の著作は記憶のあちこちに刻印されている。こないだ『クレーの天使』も買ったばかりだし、もう離れがたいものがあるんだろうな。別版で持っている詩集だが、やはり買ってしまった。
 というのは、内容もさることながら、この本は装丁が良いのだ。文庫サイズのハードカバー、背に花布が当てられ栞紐がついている、ゆかしい作り。手になじむ、その感触が嬉しい。欲を言えばカバーを外した時の色は白にして欲しかったんだけど、ま、そこまで贅沢は言うまい。とかくチープだったり悪趣味だったりネタバレだったりする昨今の文庫本の装丁中、嬉しい出会いだったのだし。

 続いてハンズでいろいろお買い物があるそうなので、お供など・・・・と思ったのだが、気が付いてみたらあっちこっちで寄り道しては妙なモノを買い漁っている自分がいた。ま、目的地が決まった時点で予測してないでは無かったんだけどね。
 パーツになりそうなアイテムのほか、粗めのヤスリも1本購入。細部の仕上げ用の小型版は何本も持っているのだけど、おおまかに削り出しをする時にはリューターしかなかったのだ。ノミと掘削機の間にスコップも欲しいということだな。やっぱ中庸も必要なのである。うむうむ、教訓的であることよ。<そうか?

 帰途、立ち寄ったコンビニでミント菓子を買う。一粒口にして、なんともいえない違和感に襲われた。なんだこの味?マズいわけじゃないんだが、ミントというには違和感が・・・・しかも、どこかで味わったことがあるぞ?
 考えながら家に着いて、思い至った。
 うがい薬だ。
 もちろんイソジン系の茶色いヤツじゃなくて、グリーンのミント風味のヤツ。あれにそっくりなのだ。嘘だと思ったらお試しあれ。UHA味覚糖(ところでUHAってナニ)のミリミントたらいう製品である。リップスティックみたいな細いパッケージの、ブルーのヤツ。
 ちなみに食後どのような感慨を持とうと腹が立とうと損をしたと思おうと、僕は一切責任を取らないからそのつもりで。食うってコトは僕の言葉を「嘘だと思った」つーことなんで、そういう目で僕を見るヒトにはとりあいたくありませんぜ。ぷんぷん<ってをい

3月25日(日) 曇
 Nifty以来おつきあいいただいてるTAKO'S兄貴の薦めでギャラクシー・クエストを観に行く。
 実はコレ、Webで事前チェックしていて、先入観があったためにあえて避けていた映画なのだった。スタトレのパロディ?ファンダムに本物が紛れ込む?そんなのスタトレ系アンソロジーには幾らでもある話じゃん。コンベンションで大事件ねぇ・・・・『暗黒太陽の浮気娘』ですか。TV番組を本物と信じる宇宙人?ほほ〜『地球人のお荷物』ネタってワケね?んで宇宙人に連れ去られるってコトは『スター・ファイター』ノリなのかな?
 とかなんとか、映画や小説の既存作品を並べてみては、どうせアレにもコレにも勝てないのだろうと決め込んでいたのである。しかしTAKO'Sさんご推薦である。TAKO'Sさんといえば、その選球眼の確かさは我が家において一目も二目も置かれて既に「目々連」と呼ばれているとかそうでないとかという(呼んでません勘弁してください)仁である。それが燃えている。日毎夜毎のチャットで熱くシャウトするのである。「『ギャラクシー・クエスト』観れエエエエエ」と咆哮するのである。これを受けて立たずしてどうしようか!いや別にどうもしませんけど、そういうワケでねこまと2人、ひさびさの映画館へ赴いたのだ。
 で。
 スキャナーズ状態。
 つまり頭デッカチ粉砕。僕の薄っぺらな先入観なんか、屁の突っ張りにもなりゃあしなかった。これは凄い映画だ。何が凄いって、徹頭徹尾、何もかもどこまでも「本気」なのだ。
 何が本気かって?そんなの
 劇場へ観に行け。
 以上、終わりッ!








 って、それだけで終わらせられるほど感動は薄くなかった。だれかれ構わず捉まえて「『ギャラクシー・クエスト』観れエエエエエ」と叫びたいような心境になるほど面白かったのだ。語りたい語らねば語るとき語ればッ!
 でも、どう語るのかというと、これが難しい。ストーリーを話してもしょうがないのだ。多分、僕が最初に思った印象をそのまま再現するだけだ。話としては実に他愛が無いのかもしれない。
 しかし、その他愛の無い話の、ほんの1シーン1カットに至るまでムダが無い。ひとつの作品としての構成要素の上に、熱が気合が力が注意が根性が、そしてたぶん(大元のネタである)スター・トレックへの愛が、みっしりと詰め込まれている。
 たとえば冒頭のコンベンションの風景。会場を埋め尽くし行き交う架空のTVドラマのファン、似ても似つかないコスプレイヤーの群れ。その昔ゆうきまさみがアニパロ漫画の中で「巫女さんみたいなララァが」とか言った、まさにそのレベルである、思い込み激しい人々の波。けれどそれが「好き」の結晶であることが分かる。伝わる。濃厚な(たぶん、ちょっと匂うような)熱気までが感じられるほどに。
 そして、出演者たちの舞台裏の風景。固定役がついてしまった役者の悲劇が、コミカルな演出で和らげつつも強烈に描かれる。本家スター・トレックの宇宙人ミスター・スポックを演じたレナード・ニモイが、ファンによる役との同一視に堪りかね『I am not SPOCK』という本を書いたのはつとに有名な話だが、そうしたくなるような状況をありありと目の当たりにさせられる。
 だけどファンはそんな事知ったことじゃない。いや、ファンにとってはそれは裏切りに等しい。TVで観るあの役のとおりに振舞ってくれと、願い口にし付き纏う。それはもう溢れんばかりの「大好き」ゆえであり、悪意などカケラも無いのだ。否、かれらは頭では分かっていても信じることを止められないのだ、目の前にいる役者があの宇宙船のクルー、憧れの人物だということを・・・・中学生くらいの僕がそうだったように。キャスト達が憤懣をぶつけ合いファンに苛立つシーンは、だから笑いながらも胸が痛い。そして、あらゆる意味でコアなファンの出現によって、事態はトンデモ方向へワープ8ぐらいでぶっ飛んでいく・・・・。
 どのシーンも、こうしてしっかりと作られている。もちろん全体の構成も素晴らしい。いたるところに張られた伏線、細部まで元ネタを知らなければ作りえないパロディの数々、なによりも「TV番組/人間社会/宇宙」の入れ子構造ドラマの重なり具合の秀逸さが凄い。たとえば、TV番組を現実と信じるサーミアンを嘲笑する敵(コイツの造形ときたら!)がTVそのままステロな悪役だったりするのだが、現実に彼らに殺されそうになった時にキャスト達の取る行動がまた、この入れ子のパターンをしっかりと踏んでいて見事としかいえない。さらにこのシーン、本家スタトレを覚えていれば、手に汗握りながら爆笑するという器用な観客になれること請け合いだ。
 これ以上書き続けたら、ここを読んでくれる知人たちへ(あるいは通りすがりの誰かに)ネタバレしてしまいそうなので、ここらで止めておくとしよう。しかし、これだけは言っておきたい。

 かつての今の「オタク」たちへ、ドラマを小説をゲームをアニメを、架空の世界の何かを誰かを、本気で愛した事のある全ての人へ。
 『ギャラクシー・クエスト』観れ。


 今日は他にも、久しぶりにアニ×イト行ったり『雨柳堂夢咄(波津彬子/著、朝日ソノラマ)』と『ファサード(篠原烏童/著、新書館)』の新刊買ったり「あずまんが」のグッズ買ったり、『チョコエッグ百科BOX2(小学館)』見つけたりとかイロイロあったのだが、ギャラクシー・クエストの前に全てケシ飛んでしまった。ここらには、また日を改めて触れたいと思う。

3月28日(水) 曇時々雪
 10度を越える日と5度以下の日が交互に訪れる。毎年ながら風邪を引けといわんばかりの気候だ。ここは素直に自然に従い・・・・たくはないんだが、案の定、鼻がグズっている。ううううう、うっと〜し〜の〜。へーちよ。<榊さんの次に大阪好き(ってをい)
 そんなこんなで(どんな)帰宅途中に『Be-PAL』を購入。んむ?なんか読み応えが無い。ページをめくってもめくっても似たような顔しか出てこないし、タイアップ記事の量がががーんと増えた気がする。やっぱ不景気の影響なのかね。アウトドアブームとか言って金で山登りするような人間が増え、それを当てこんでレジャー産業が伸びかけたトコへ思いっきり横風が吹いた格好だもんなぁ。
 でも本来のアウトドアてぇのは金をかけないで知恵で遊ぶもんであって、そういう面を面白く記事にしてこそ専門誌、良い道具の紹介も引き立つと思うのだけどね。もっとがんばりましょう>『Be-PAL』

 以前に仲間たちとキャンプへ行ったとき、若い夫婦と小さな兄妹の家族連れに出会ったことがある。子供たちは当然として、親たちのどちらもが未経験らしかった。DIYショップのシールが貼られたままのテントや調理器具を取り出しては悪戦苦闘しているのは微笑ましかったが、当然というべきか、子供たちは退屈しウロウロし始めた。しかも時分どきになっても食事が出来ないらしく、他所の食事風景を覗いて歩いている。そして僕らの近くにもやってきた。
 ちょうど飯を炊き上げたところだったので、ちょっと塩をつけ丸めて渡してみた。素直に手に取ったものの、それが出てきた鍋を疑わしそうに見ている。でも口にしたとたん、美味しい餌にありついた子猫のように、目がキラキラになった。
 「うまいか?」
 「うん」
 「もっと食うか?」
 「うん」
 凝った道具なんか何も無い、ただ炭火のコンロと文化鍋でも飯の美味さで戸外にいる事は楽しめる。あの時のことを思い出すたびそう思うのだ。調子に乗って一口むすびを作りつづけ(ついでに自分でもつまみ食いをし)た僕はねこまに、彼と彼女は母親に、それぞれ叱られたけれど。

 ところで今月号の『Be-PAL』には、さらに致命的に欠けているネタがある。『チョコエッグ百科BOX 2』の案内だ。既に発売中で、僕は日曜日にねこまに買ってもらったのだが、相変わらず見事な作りだ。セレクトされた動物の説明も良いし、なにより写真が美しい。まぁメガマウス(死体)みたいなのもあるけれど、それにしたって貴重な1枚である。
 コレクターの大人こどもだけじゃなく、本物の子供に見せても楽しんでもらえそうな良書なのに、どうして一文の告知も無いんだろう。どうしたんだ『Be-PAL』。しっかりしろ『Be-PAL』。次号も買うのでよろしく頑張ってくれたまえ。<えらそう

3月29日(木) 晴時々曇
 Webをウロついていて、残念な出来事に出会う。ここ10年、欠かさず買っていた『超・こわい話』が、今後は続刊されないというのだ。(公式ページはこちら
 怪談・奇談を「あったまま」に語る。「こんな妙なことがあった。以上、終わり」な、中国式鬼談ノリ。いわゆる心霊学の孫引きみたいな理屈を並べて分析しようとしない、そのスタンスが却って真実味を増し興をそそる本であったというのに。超常現象なぞ信じない僕だが、背筋を涼しくする一級の読み物として大いに買っていたというのに。悔しい限りとしか言いようが無い。この上は出版社へ化けて出て・・・・<誰が信じないって?



翌月へ




[ 銀鰻亭店内へ ]