店主酔言
書籍・映画・その他もろもろ日記

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10月1日(火) 曇のち雨
 新しい月を迎えて心機一転!というほどの気負いもなく茫洋と秋空を見上げるものの、なんか妙に湿っぽい。おやと思ったらヒロツさんチャットでやむさんが原因とおぼしきモノを見せてくれた。
 台風…なんで90度カーブしてこっちへ来ますか?
 沖縄のちょっと東寄りあたりでくい〜っと曲がって、そのまま関東方面経由でこっちへ来るつもりらしい。なに考えてるんだオマエ!<考えてたら『カールビンソン』だって
 まぁ、戦後最大級とのことなので、なかなか心躍るものもある。本格的な台風の直撃なんて、当地ではほぼ無いに等しいからな。よし、来るなら来い!と覚悟を決め、とっとと帰ってショータイムを寝て待つことにした。どうせ来るなら出社できないほどの規模が望ましいぞ!<小学校じゃねーって

10月2日(水) 晴
 (前日参照)…と、期待をこめてお待ち申し上げていた台風様であるが、小型化しながらもスピードを落とさず、道央方面へ直撃して駆け去られた。かくて当地では雨こそ大量に降ったものの、風よ!光よ!なエフェクトは一切無い静かな夜を過ごすことに。どこ吹く風ってヤツっすかぁはっはっはぁ。面白くねーよちっとも。
 まぁ災害に遭われ亡くなられたり怪我をされたり、丹精した農作物が駄目になったり仕事場そのものが崩壊した人もいることである。お祭り気分のバカは大概にすべきだな。

 で、明けた今日はひたすら明るく暖かく、ヘタすると冷夏だったこの8月よりも気候がいいくらいである。長袖着てると汗ばむもんなぁ。もしかして南の海で急カーブした時に、夏の欠片を拾ってきましたか?

 「なつのかけら」と書くとこの人っぽくなるなぁ…と『沙羅は和子の名を呼ぶ(加納朋子/著、集英社文庫)』を読む。
 日常に散在するミステリを書いて秀逸な作家ではあるが、この本にそのカテゴリーを当てはめるのは間違いだと思う。どっちかつーとファンタジーだよこれ。帯を書いたやつ、ちゃんと読んだのか?
 と、最近よくある文句はさておいて。
 メランコリックな小品集。僕の好みは『商店街の夜』。甘すぎるきらいはあれど、通勤途上にふと立ち止まってデジャヴュを感じてみたくなる、そういう作品だと思う。
 で、そういうのが好きな人間には、この作品集、時々ひどく不快感を残す作品が紛れ込んでいる。わけても花盗人?の話は昨今よく見るモラル欠如の「キモイ」話でしかなかった。スーパーの試食品を両手でわし掴みしてるおばさんとか、本屋でモノ食いながら立ち読みしてるヤツとかの類型。これは作者の近辺で実際にあった話じゃないのか?子供の視点から見ていることで笑い話にしようとして失敗している印象があるんだが、いかがか。あと「生まれなかった子供」の話もなにがしか暗澹とさせられるものがあるな。僕自身の憂鬱がそこに映っているだけだよと言われると、たぶん頷くしかないのだけれど。

 帰途、ハンズへ寄って防毒マスク他を買い込む。今週はこれを使うところまで作業を進めたいもんだなぁ。というか効果のほどを知りたいので、わざわざ溶剤の缶を開けようとか思ってるんですけどね。馬鹿でしょうか僕は。<分かりきった質問なので強調の意

10月3日(木) 晴
 今日も素敵に上天気。つか暑い。長袖どころかTシャツ1枚でオッケーである。なんか妙ではあるが、快適なんだからまぁいいやと昼休みに郵便局へ遠征。目当ては40円切手…なんだが…。
 廃止されてやがるよヲイ。
 そういえば、売れ行きの芳しくない切手を整理するというニュースを以前に聞いていたが、それが今月のこととは認識してなかったなぁ。失策であった。実施されたという日にちなみ「10月1日では遅すぎる」事件として長く記憶に留め置くとしよう。
 しかし、整理するにしても、40円って要らない切手なんだろうか?僕ぁトレードなんかで120円とか140円という単位によく出くわすのだけど、前者はできるだけ80円と40円を組み合わせるようにしてたんだけどなぁ。地域限定動物柄の「ふるさと切手」80円をなるべく使ってあげたくて。20円2枚だと面積食うんで、40円は必要なんだよ。ああ、言ってたら悲しくなってきたぞ。よんじゅうえん〜〜かむば〜〜っく!<やめろ中年

 夜、相方が『世にも奇妙な物語』特番を観ているのをあとに入浴。上がってきたらちょうどエンディングクレジットが流れているところだった。そういうセレクトなのかもしれないが、コミック原作が多い。話はおろか画も出来てるモンだから作り易いのかな?それはちょっとナンダカな想像ではあるけれど。
 ねこまによると、うち1本でのMacの使われかたが、なかなか優れた選択だったらしい。なんでも、往時はひと財産だった機種を、かつてキャリアウーマン今は退屈な主婦稼業(と本人が思っている)ヒロインが使っていたのだそうだ。で、モニタ越しに現れた、パラレルワールドで今も孤独なワーキングウーマン(と本人が思っている)ほうのヒロインは、最新鋭機器を駆使してたとか。うーん、シナリオはさておき、道具方の工夫は光っているんだねぇ…ってドコを見てるか考えると、我が家では客層に問題があるような気もするが。

10月5日(土) 晴
 高く青い秋空の美しさに気を良くし、懸案の工作を片付けようと思い立つ。で、まずは作業環境を整えるべく掃除を開始。昔っからこういう傾向があるんだよな、何かしようとすると、まず周囲に全てが整わないと手がつけられない。絵でも文章でも行楽でも仕事でも、基本的にスタンスは同じ。用意周到といえば聞こえはいいが、作業中に齟齬が発生した時にポイ投げ放置する言い訳を準備しているような気がしないでもない。
 しかし今日は違った。何時まで経っても終わらず、妙にノってしまってそのまま模様替えに突入している自分に気付いてしまったんだなコレが。途中で止めたら寝る場所も無いのでせっせと床の堆積物(主に本)を片付け棚を移動し、片付いた時には日が傾いていた。
 とりあえず、心置きなく散らかし作業にかかれるようになったということを慰めとすべきか。いや、まぁ、ブツに手をかけてないという結果には変わりはありませんがしくしくしく。

10月6日(日) 曇のち雨
 相方ねこまと買い物に。猫どもの冬備えとして、砂だの餌だのをととのえておかねばならん。で、せっせとカートに詰め込んでいたら、店員に命じて商品を集めさせているオバチャン発見。ホームセンターあたりで妙な態度だな?と一瞬思ったが、その内容をみて愕然とした。
 固まる猫砂、ドライフードがそれぞれ大袋で山に。そして缶詰の箱また箱。こ、こりゃあご婦人が自分で運ぶのは無理だよなぁ。つか何匹飼ってますかマダーム?いや、ウチも大量に買ってますけどさ、飽きっぽいヤツらのために餌はバリエーションに富んでいるわけで。単品を箱で買うってからにゃあ、よっぽど早く消費できるとみたんですけどね。
 あいにく彼女と言葉を交わす機会には恵まれなかった。再会を期して、ぜひ伺ってみたいもんである。

 『ひゃくまんびきのねこ』という童話がある。老夫婦が2人っきりの生活は寂しいと飼い猫を求める話なんだが、マイベスト猫を求めて旅に出た爺さんが、出会う猫を片端から拾ってしまうのだ。んで、ついには巨大な流れのような猫の軍勢を率いて帰宅するという…トンデモ話のわりに結末がつまらない(つーか、よく考えると腹立たしくかつ教訓的な)んだが、まぁそれはさて置いて。
 猫飼いには、多かれ少なかれ、この爺さんと同じ気質があるように見えてならない。とある仔猫の可愛らしさに眩暈を起こし、しかし毛並みの違う他の仔猫も欲しくなる。で成長したのには目もくれないかというとさにあらず、でっかいと言っては口を開けて眺め、仕草が可愛いといってはついて歩き、目つきが悪いといっては「これはこれで!(c)木村@あずまんが」とか叫んでしまう。年を取って知恵のついた猫には言わずもがな。だから、外出先で猫に出会うのは非常に危険なんである。  なのに最近、妙に遭遇することが多い。それも向こうから「にゃん ♥」とか声をかけてくるんだな。
 今日もそのでんで3ヶ月ばかりの猫に出会ってしまった。帰宅がてに寄ったスーパーの店先で紐に繋がれ飼い主を待っていた彼女は、そのままでも十分に愛くるしかったが、とにかく遊びたがりでぴょんぴょん跳ねまくっていたのが、もうもう鼻血ものというか…これで野良なら速攻連れ帰っているところであったのだ。
 数分間、じゃれつく彼女にぺしぺし肉球パンチをくれられながら、かくて猫屋敷は出来上がるのだな、と先のご婦人を思った。猫飼い諸氏、どうか「ひゃくまんびき」集めてしまわれないように。うう、仔猫欲しいよう。<をい

 帰宅後、いつもの特撮鑑賞タイム。『シュリケンジャー』は兄者完全復活と「アレ」の復活阻止に加えてマルちゃん消滅…で、ツナギがギクシャクして詰め込み過剰に見えるきらいあり。とはいえ、正統王道特撮戦隊物としては「6人の気持ちをひとつに!」イベントは悪くなかろう。マルちゃんの残した謎の繭がヒキになってて面白いし。実は今回倒されたのは脱皮後の皮だった!とかってのはダメっすか。<かなりイヤな想像と思われ
 で、『龍騎』。凄ぇ。何が凄いって、めぐみ!ともに飲み明かした人々が皆、宿酔いで苦しんでいるのに、弁当持参で令子に同行&激走密着強行取材!
 …って違うだろ。
 今週もネタみっしり息も付かせず大盛り上がりの展開である。オーディンを倒し、人を殺した呵責と傷に苦しみながら、恋人のため他のライダーに挑もうと彷徨う蓮、その頃突然覚醒している当の恋人、それを知って蓮を探す真司と優衣。このメインストーリーに、凶悪犯・浅倉の脱走劇と、第三勢力とおぼしい香川研究所の面々、そして優衣を殺そうとする何者かの意図が見え隠れして実に見応えがある。その分、特撮シーンがちょっと寂しい気がしないでもないが…いや満足ですわ。「パトカーのサイレンに会話がかき消される」なんて画も随所で光っているしね。
 かくて、こっちは層倍して先の展開が気になってきた。僕個人としては、香川教授が「あんたのミラーワールド」って言ってるのが意味深な気がするな。いかがか。<誰によ

10月7日(月) 雨
 持ち帰り仕事で夜半過ぎまで起きている羽目になり、眠気覚ましになるかなと『覗き小平次(京極夏彦/著、中央公論新社)』を取り上げた。
 待望の書き下ろしである今作の外題は、見てのとおり「こはだ小平次」。見返しには北斎翁の描くかの亡霊が、既に骨と貸した手を蚊帳にかけ、なんとも言い難い上目遣いをして中の者を見ている。恨みなんだろうか、いやしかし妙に居心地悪げな後ろめたげな、情けない目つきをしてないか?と思いつつ頁を繰る。
 原典たるものに筋を沿わせながら、人の愛憎や虚ろを描き出しつつ独自の解を見せていく。ここらは『嗤う伊右衛門』で「四谷怪談」にやってのけた手法である。また登場人物が一部かぶる…というか、この話はアレに先立つ物語なのだな。とはいえ、結果を見透かして退屈なんてことは出来ない。言葉を紡ぎ糾って読み手をいつか絡め取り、最後に至って「そう解くかよ」と驚かせる、まるで手妻の鮮やかさ。場を替えるごと、違う人物を主に据えて語り継ぎ、まるで回り舞台のように場が動き語り手が代わるにつれて人々の形に中身が添い生きて動き、話が流れる。その「語り」のリズムも心地よい。夜半でなければ声に出して読みたい気がする。鏡花と横溝の間のどこかの闇から出てきた講談師という風情だな。妙な表現ではあるけれど。
 そして、改めて北斎の画に戻り、読み手はぽつねんと取り残される。物語は身を去り、亡霊の目には自分は入っていないのだと、またその意味を読み解くことも出来ようがないのだと、触れない分からないのだ、ゆえに…漠然と怖いなと思いながら。
 で、僕の場合さらに仕事を終えても眠れなくなり、しっかり夜明かししてしまったのは言うまでもない。げに恨めしきはこの書き手ぞ、祟りをアンケート葉書に載せて送り出さん…って葉書ついてないですね。メールで大極宮へ送りますか。

10月10日(木) 曇時々雨
 早朝出社の道すがら、ホビットよろしく朝のオヤツを求めてコンビニへ。フルタの『人形の国のアリス』が発売になっていたので1つ買ってみる。
 ユニコーンらしきものが出た。
 後は聞くな。聞かないでくれ。聞いても答えないからな。つーか答えに困るわい…とまぁ、そういう代物であった。いや、まぁ、Webで写真見たときから分かってたんだけど…ね。

 少々ものがなしい気分になりながら帰宅したら、宅配便の不在配達票が入っていた。宛名はわが相方。で、差出人は「Yonda?」
 これは…アレだな。新潮社のあのパンダだ。そうか、本を読むだけじゃなく荷物を送ったりもするのか。まぁ動物園で見物人を待つのも退屈だろうし…って長々とボケてもしょうがない、文庫本を50冊読んでシールを送った賞品であろう。
 今回は目覚し時計を頼んだのだが、ブックカバーやマグカップのデザインが愛らしいので、ねこまは締め切りまでにあと数回応募しようと思っているらしい。僕としては文豪グッズ、ことにも茶器にそそられるモノがあるんだが。いや、自分で使うんじゃなくて客に出して反応を見るのにね。太宰とかカフカの顔を見ながら茶をすすれる人間がいるかどうか、ぜひやってみたいのだが駄目ですか。<友達なくすぞオマエ

10月11日(金) 曇
 明日はいよいよ、奇妙愛博士をはじめとするゴルコム幹部諸氏の北海道上陸作戦開始日である。仮にも冗談にも「世界征服を目論む悪?の秘密結社」を名乗っておられるのである以上、やはり形なりと防衛線を敷くのが礼儀ってモンであろう。怪獣が上陸する時に、役に立たぬと分かっていて自衛隊を置くようにだ。<をい
 ということで、まずは博士方の掲示板に注意書きを送りつけ、北海道がいかに恐るべき土地かをアピールしておくことにする。ついてはここにも転載し、今後、当地を侵略しようと思う悪の組織への警鐘としたい。すべからくこれを読み、心して攻めてきて貰いたいものである。
 【正しい北海道知識】
 ◆社会
 ご存知のとおり、北海道は外国です。パスポートを忘れてはいけません。
 住人は、古来より日本人と露西亜人からの侵略に抗戦してきた民族が中心を占めており、異民族・異種族には敏感に反応します。
 加えて、厳しい気候により農作物が取れない地域であったため、多くは狩猟民であり「返事をしないものは喰ってもいい」という不文律が存在します。声をかけられたら可能な限り素早く返事をしましょう。無言で逃げてはいけません。
 なお、小樽や函館といった港町に行くと、両目の間が妙に離れ「ぺったぺった」と歩く人種も存在します。基本的に排他的な人々ですが、相手によっては極端に友好的になることがあります。ただし、歓迎された人が帰ってきたことはありません。
 ◆気候
 日本の最北に位置するため、非常に寒い地域です。夏でもオーロラが見られます。
 今は秋なのでさほどのことはありませんが、急激に温度が低下することもあるので厳重に注意してください。警報を聞き漏らし戸外に立っていてフリージングレインを浴び、そのまま氷柱になる渡航者は珍しくありません。春になるとその人々が口にしかけていた言葉が一斉に溶け出すので非常に賑やかですが、本人が楽しめることはごく僅かです。
 ◆野生動物
 一般に熊が警戒されているとのことですが、あんなものは何処にでもいるので、出会い頭に殴り倒せなくては北海道で生きてはいけません。
 本当に危険なのは、野生化した家畜です。特に人肉の味を覚えた牛に注意しましょう。牧場で飼われているものでも、ヨダレを垂らしつつ近付いてきたらアウトです。
 また、秋から冬にかけてはカニやサケなどが沿岸に押し寄せ、うっかり近付いた者を水中に引き込んでむさぼり喰います。さながらピラニアのように数分で骨にされるので、救出はほぼ不可能といっていいでしょう。特に後者はこの時期、産卵のために川を遡ってくるので警戒が必要です。



 …いえ、すいません。ちょっとネタが無いのと、掲示板ゆえいずれ消えてしまうのが勿体無かっただけです。久々に気合入れて書いたもんで。

10月12日(土) 晴
 ゴルコム様ご一行を迎撃すべく、勇躍、家を出る。天気も良し、気温も高く快適である。近所の横丁ではいつも隠れている野良猫親子が陽だまりに出て、それぞれくにゃ〜〜んと伸びきっている。こっちも脱力しまくって腰が抜けてしまいそうに可愛い。ああ、いかんいかん、こんな事してる場合じゃないと、ややあって我に返り空港へ急ぐ。
 だが、思えばこれは予兆だったのかも知れぬ。この時既に、迎撃作戦は失敗していたのだった。
 まずゲートから出てきた博士・番長氏・楽師さんの誰一人として、警告を間に受けた様子が無い(当たり前だ)。第一次防衛ラインはあっさり突破されるのがお約束とはいえ、いささか忸怩たるものがある。
 しかし更に追い討ちをかけようと思ったこちらの機先を制する如く、博士のバッグから続々とたれが出現したではないか。そう、日記でお馴染みのあの面々が!まさか本当に連れて来るとは!呆然としていたら、いつの間にかこっちの手の上にも1たれ乗ってるし!
 博士「お土産です」
 黄色いリボンのついた、目のつぶらな、どちらかというと弾力に富んだ手触りの…たれ
 うわ〜かわえ〜。なんて名前にしようかな〜。
 というワケで、第二次防衛ラインもあっという間に崩壊したのであった。たれ恐るべし。つかゴルコムの本体って実はたれなんじゃないかな〜と疑い始めたわしであった。

 先発隊の皆様と昼食を摂りかるく北大構内を散歩などし、時間潰しにとロフトへ赴く。と、皆さんてんでに売り場内へ散開。東京から見えたのだし珍しいものもあるまいとアイスなど口に待っていたら、それぞれ食玩だのジブリグッズだのを手に戻ってこられる。ううむ、流石ゴルコム。「喋る食べる買う」を旗印にしてるかどうかは知らないが、そういう印象を与えまくってるだけのことはあるわい。<失礼
 その後、アリアドネ総司令、チコリ総統閣下が追って到着され、総司令閣下が重いのを運んできてくださった「朝倉プリン」をいただきながらホテルで語らう。実は博士以外とはネット上ですらほとんど面識が無いんだが、おそろしいほど話題がフックする。つーかそもそもプリンの名前で爆笑できる時点でフックも何もなんだが。やっぱり逃走中に髪の伸びちゃった浅倉が「プルプルするんだよ!」って、こう…とか振られて大笑いしてるんだもんな〜。いや、いい腹筋の運動になりました。

 夕食は我が相方も合流。居酒屋でコースを頼んでおいたんだが、これがなかなか破綻しておった。連休初日のせいか恐ろしいほど混んでいて、オネエサン達が跳び歩いている割に段取りが悪い。なにせビールが来てもグラスが無い、刺身が来ても醤油皿が無いという混乱ぶり、某ちゃんねらーなら「おちけつ!」とか叫んでいるところであろう。
 しかし料理が出始めるや妙に手際がよくなり、こっちの食べる速度に斟酌無くガンガン運んできた。その速度たるや、まさに「わんこ」。内容が刺身だのカニだの鍋だのの物量作戦なんで、ゴルコムメンバー諸氏を圧倒することには成功したようだ。ふふふ、第三次防衛ラインは成功だ!
 がしかし、その前にこっちが食い倒れていたんじゃ防衛も何もあったもんじゃ〜ないんである。とりあえず今夜のところは引き分けだ!と一方的かつ脳内に叫んで撤収。明日は市内観光である。

10月13日(日) 晴
 何故か早暁に目覚めてしまい、所在無いままに『殺したのは私(メアリ・H・クラーク/著、深町真理子・安原和見/訳、新潮文庫)』を読み了える。うむ、面白い!ここ数作にはハズレ無しという印象があったが、これは当たりと言っていいと思う。
 夫を殺した罪に問われ、司法取引の結果5年の刑期を終えた女性。しかし彼女には事件当夜の記憶が無いという。本当に自分が殺したのか、それなら何を思っていたのか、真実を求めて過去を探る彼女に、協力を申し出る旧友。しかし関係者を再び死が襲い、かくて世論はふたたび彼女に疑いの目を向け始める。再度の収監を止めようと時間と戦いつつ真相を追う旧友に、やがてキナ臭い気配がし始めて…ご都合主義チラリではあれど、スリル適量サスペンスほどほど、疑わしさ濃厚。いや結構なお手前で。
 ちょっと陰謀のスケールがでか過ぎるのと後半ほとんど真犯人が見えみえなんだが、解決に至るまでに山場が何度もあるので退屈しない。解説で訳者氏がある人物を唐突としていたが、事件の骨子である病院運営に関わるんだからまぁ良いのではと。それを言うなら僕としては検事のほうが気になったけどね。せっかく名前を出したんだから、出番を設けてやっても良かったんじゃないかなぁ。
 あと今回、ハーレクインくささが無かったのが良い。女たちの友情と意地、それぞれの願うものを追う姿はなかなか魅力的だった。いや、だから容姿じゃなくて!<と、わざわざ墓穴を掘る

 さて、日中はまたゴルコムメンバーの皆さんの市内観光にお付き合い。詳しくは奇妙愛博士の日記で!
 …………駄目っすか。
 えー、総括すると「来た見た買った食った」というところか。かのジュリアス・シーザーも瞠目するであろう、破竹の快進撃である。なんたって、観光客の行動たるウロチョリングを一切せず、ひたすら突進するんだから。らしく足を止めたといえば道庁の赤レンガ庁舎だけ、後は大通では地下鉄入り口を、狸小路ではアーケードを、すすきの交差点では■ビンソン百貨店を、それぞれ撮影したぐらいだ。ええ、ガメラIIの名場面集っすねもぉ!
 その他の立ち寄り先のリクエストはヲタ系ショップと書店。で、寄ると必ずフックするものを発見する、その眼力や恐るべし!つーか誰一人無傷でないというのは戦略的にいささか問題のような気もするんだがどうなんだろう。偶然に開催されてたバービー展に飛び込んで、番長氏と総司令閣下がコレクタブルドール(言わずもがなだが非常に美しく、それゆえ高価)を2体ずつ抱えて出てきたのを見たときには眩暈さえしましたよ、わし。罠という罠には悉くかかる、これぞゴルコムなんだなぁ。もう感動するしか。<すな
 で、夕食はサッポロビール園でジンギスカンその他をお楽しみいただいたのだが、1日の終わりに相応しく勢い良く食されたのは言うまでも無い。げにお連れした甲斐があったというものである。あとは明日の予定だが…さて何もないや、どうしたもんだか。まぁ、この勢いで行けばどうにかなるか!<伝染してるがな

10月14日(月) 晴
 ちょっと気温が下がったものの今日も上天気の空の下、ゴルコムの皆さんと外出。とはいえ北海道侵略紀行(だったらしい)最終日とあって、あまり遠出もできない。お約束な土産物・六花亭の菓子を求めてデパ地下(個人的に土産物屋で買うよりお薦め)を歩いた後は総司令閣下・総統閣下が相次いで去られるのをお見送り。しかしその合間にも何故か食玩とか買ってますな皆さん。わ!番長氏はデッカい犬の縫いぐるみまで!呼ばれたですか?出逢った瞬間に恋の花が咲いたですか?…しかしどうやって持って帰るんですか?
 とか言いながら今しばらくは観光をとサッポロファクトリーなんぞへ。しかし、ここでも古い建造物だの巨大温室みてーなアトリウムだのは一顧だにされず、皆さんは一路トイ○ラスへと向かわれるのであった。いや、予測してお連れしあんですけどね。それに、さすがに罠も踏み尽くしておられたとみえ、ここでは何もなかったし。いや、本当だってば!<弁解すんな

 かるい夕食後、JRに乗る皆さんの大荷物を担いだ後姿を見送る。宅急便で直送などの逃げは打たない、まさに漢の行動であった。ふと気付くと自分の手元にも新しいパーツとか12インチ用の服とか増えてるが、まだまだ及ぶところではない。より一層、精進し、いずれ再びお目にかかる折には僕が罠に嵌りまくってお見せしたいモンである。<いいのか?

10月18日(金) 曇のち雨
 ゴルコムの皆さんが引き上げたとたんに気温が下がり始め、とうとう今日は太陽も隠れてしまった。気候変動兵器を隠し持ってきたとは気付かなかった。さすがゴルコム。伊達に秘密結社はやってない。
 で、急激な気候変化のせいか、ここ数日、生活圏で常ならぬ動物を見る。昨日はヤマガラ、おとといはホッチャレ(遡上した鮭ね)、そして今日は1メートルぐらいの死んだ蛇を見たわ…って、こんな『たんぽぽ娘』はイヤだよう。うえ〜〜〜ん。
 いや真面目な話、どっから来たんだろう蛇。ここらじゃ10年このかた暮らしているが、こんなモノは見たことないぞ。誰か持って来て捨てたってぇのが正解じゃないかと思うんだが…そういう正解もやっぱしイヤだよう、ということでひとつ。<何がよ

10月19日(土) 晴
 机周りに山をなした資料や工具材料を片付けて日を過ごし、体内時計の示すままに食事に出る。帰途、倉庫のような佇まいの古本屋に出くわした。市内の有名古書肆の支店が、知らないうちに近所に出来ていたものらしい。ここ数年、巷に流行るチェーン店系の古本屋では目に出来ないモノもあるのでは…と、暗い店内へ足を踏み入れてみる。
 埃と、変質した紙の匂いがたちこめる空間は、期待を裏切らない怪しい品揃えであった。こっちに大正時代の和装本が転がってるかと思うと「美しい」が表題についてたころの『暮らしの手帖』とソノシートつきの子供雑誌が重なっている。かと思うとメンコが収まった箱だの掛け軸だのも置いてあって、怪しさ大爆発。店の人の話では、実際の商売は本店(とWebってあたりがイマドキだぁね)でやっていて、ここは本当に分類用の倉庫兼用であるらしい。なんともナイスな怪しげぶりである。うーん、好みだ好みだ、と呟きながら『奇想天外』の別冊なんぞ数冊買い込んでしまった。年齢の離れた従兄弟たちの書棚から借りては読み漁ったもんだ、うむ、懐かしいぞ。
 惜しむらくは棚の隅に、得体の知れない黒い革で装丁されアラビア文字のタイトルのついた大判の本が無かったことだ…って、あったら買ってしまうんだろうなぁわし。

 『週刊天然記念物』の18巻目、ダイトウオオコウモリを開く。例によってフィギュアの出来が素晴らしい…というかマニアックというか。コウモリでこういう動きのあるポーズ、普通は思いつかないだろう。ただ、それだけにパーツ形状から完成状態を想像するのが難しく、さすがに説明を見ないで組み立てはできなかった。なんか回を重ねるごとにパズルっぽくなっていくような気がするぞ。それもまた楽しみのひとつではあるけれど…もしかして模型ユーザー減少の折柄、育成を狙ってたりしますか海洋堂?<んなワケあるかい

10月20日(日) 晴
 深更まで茶を喫し本を読み、いつの間にか眠り込んで、目が覚めたら既に日は中天に昇っていた。あれまぁ。予定の行動は自動的にキャンセルとなり、相方ともどもヤケ半分で茶を炒れ菓子をつまみ録画しといた『TRICK2(再放送)』『ハリケンジャー』『龍騎』を観る。三者三様に楽しく面白く興味深い。特に最後の作品では、新登場のキャラに非常なインパクトがあった。というかあり過ぎ。あちこちザワザワしてきて「うっひゃ〜」と掻き毟りたくなるような、身に迫ってくるイヤらしさがあるんだよ東條くん。
 思い返せば番組開始時の主人公のボケっぷりや芝浦の生意気さ浅倉の凄みなんぞも、それなりに感じ取らせてくれるものではあったんだが、あくまでドラマのキャラとして納得がいくってぇレベルだったんだよな。しかし今回のは、裏表アリアリ、責任感ゼロ罪悪感カケラもなしその場凌げりゃオッケーなキャラ立てが、弱者ぶった言い訳とあいまって、そそけ立つような気持ち悪さなんである。人間のイヤな面をこれでもかと見せつける『龍騎』ワールドに、新たな地平を切り拓く!って拓いて欲しくないかもだ。役者氏に拍手を、そして役柄に惜しみない投石を浴びせたい。
 それにしても、幾つもの選択肢と多くの人々の生き方や考えに揺れつつ、いつしかヒーローとして立つというのが『龍騎』のテーマであるなら、今までのところでは上手く描かれてきてると思う。主人公が迷いつつ1年がかりで成長してきた過程も見えるし、先回はバイクに化したモンスターに騎乗、ついに名実ともにライダーとなった。このまま年末まで走り続けて欲しいモンである。去年の『アギト』みたいに終幕でコケたら惜しすぎるぞ、これ。

 で、のんびりしていたら2人揃って寝てしまい、夕方に目覚める。まぁアレだ、体が休息を欲していたっつーことなんだろう。決して冬眠が迫っているワケではない…と思いたいなあ。インスマウスの別パターンで「山へ還って寝る」種族だったらどうしようとか思ってしまったよ。え?『九百人のお祖母さん』ッスか?

10月23日(水) 晴時々雨
 起き抜けにTVをつけたら『ハリー・ポッター』4巻の発売に並ぶ人々が報道されていた。書籍の売れ行き不振なこのご時世に初版が230万部、朝の5時から先行販売した本屋さんもあったとのこと。いやはや凄いモンである。あの方やこの人も何処ぞの空の下で手にされておるんであろうなぁ…かくいう僕も結構楽しみにはしてるんだが、さすがに初日に駆けつけるほどの元気は無い。つか給料日前で実弾が無い。ま、ゆるりと後を追うとしよう。
 しかし気になるのは、4巻そのものよりその後だよな。原書で読んじまったヒロツさんによると、非常に先が気になる展開になってるらしい。なのに、作者のローリング女史は妊娠中(おめでとう!)ということもあり、5巻を執筆してないんだとか。ファンならずとも「本当に出るのか?」「出来は大丈夫?」のほうが気になる状況かも知れぬて。
 ちなみにこのネタ元はInternet JOURNEY。UKの社会ネタが読みたい向きはどうぞ。

 秋らしいスッキリした青空に時折雨のパラつく「狐の嫁入り」日和。
  どこやらで 嫁に行くらし 秋時雨
 …とか駄句をひねり直す。しかしだ、こういう陽気は好きなんだが、外で楽しむワケにいかないのが難であるな。
 そこで、近在にできたデカいショッピングモールへ足を運び、カート通行用に広く作られた通路をウロウロして昼休みを過ごす。なんだかアトラクション用ダンジョンのような妙な楽しさがある。奇声を上げて駆け回る子供の心情が分かる気がするなあ。とはいえ僕がやったひにゃあ、本物の子供が怯えて逃げること請け合いだ。つか、捕獲されて檻に入れられますな。とりあえずは、我慢するとしよう。<とりあえず、かい!

10月25日(金) 晴のち曇
 一昨日の日記に書いたショッピングモールが、本日グランドオープンとて賑わしい。朝もはよから行列が出来、偉そうなオジサン達がテープカット後は人波が引きも切らない。職場の窓からぼへ〜っと眺めているぶんには、なかなか楽しい見ものである。人込み嫌い体質から言わせて貰えば「勘弁してくれ」であるが。
 というワケで昼飯は反対方向のコンビニで購入。明治『ブリキのおもちゃ館(北原コレクション)』を見つけて2つばかり引いてみた。以前にも北原コレクションは商品化されてたが、あっちはソフビ、こっちは質感は同じ金属製というのがウレシイ。で、まずはバイク(フレンドリーブルー)が出た。おお、ブリキだブリキだ。この金属に印刷した感じがなんとも味わいぶかい。しかし、繋ぎ目がプラスチックってのはちょっとイヤかな。まぁ車輪で立てることを考えればしょうがないか…とか思い巡らせつつ次を開けたら、全く同じものだった。えーい畜生!僕はロボットが欲しかったんだようママン!<ぐずるな

 午後に入って少し体調が悪くなる。どうも風邪を拾ったようだ。寒気と頭痛に悩まされながら早々に席を立ったものの、つい本屋に立ち寄ってしまい、しっかり大荷物を担いで歩く羽目になる。中身はほとんどコミック。これで行き倒れたらいい笑いモンだと、意地になってふらふら帰宅。いや、ルーチン化した通勤路を離れてタクシー乗り場へ行くのが大儀だったという説もありますが。で、いちど仮眠をとってHPが回復したところで、相方が持ち帰った本ともども寝床の友にする。<HPって何よ
 『超少女明日香 学校編 1(和田慎二/著、メディアファクトリー)』
 青年誌移籍後の明日香シリーズ第3弾。一也に連れ戻され、初心に返って?の学校ものである。初出から何年?とか考えるとイソノ空間的な時間の停滞ではあるが、旧読者には嬉しいシチュエーションだな。しかも明日香の恩師としてあの沼氏が登場してるんだから。
 とはいえ、エピソード自体は始まったばかりだし、陰謀の本質こそ謎めいてはいるものの展開は目新しいものがない、いわば馴染んだコースでの助走段階とでもいう印象である。新たな風景を楽しみに、続巻を待つとしよう。
 『舞姫 テレプシコーラ 3(山岸涼子/著、メディアファクトリー)』
 バレエコンクールに出た主人公、姉、そして友人。少女たちのそういう設定だけを考えると明るく華やかな筈の話だが、舞台裏の人のエゴや思惑がチラチラと覗く、きわめて読後感の悪い代物である。いや、それを感じさせるのが作者の腕の一流たるところなんだけどさ。僕ぁこういう底にドロドロが流れるシチュエーションは苦手です、はい。氏の描く怪談ネタより、ある意味怖いんだもんよ。
 『新暗行御史(尹仁完/原作、粱慶一/画、小学館)』
 韓国風味アクション伝奇…は、今回ちょっと退屈。一エピソードの終わり、新たな展開の幕開きなんだが、どーにもこーにも「どっかで見た」が多すぎて新味もキレも無い。絵は相変わらず綺麗なんだけどね。
 『ベムハンター・ソード 1(星野之宣/著、講談社)』
 まさか!の復活!新シリーズ!ばんざーいばんざーい!と、これ1冊手にした時点でレジへ突っ走りそうになった。いや嬉しいこってす。しかし全8話のうち、最後の1話以外は全て以前のコミックスからの再録。新作オンリーと思い込んだオールドファンとしては、いささか期待はずれなものがあるな。ま、今後は新作が続くことと、その短所である最後の話が面白いってことで、これはご祝儀と考えるべきか。
 それにしても、こうして見ると実は長く書かれてるシリーズなんだよな。1作目と最後を比べると絵柄がまるで違う。ソードが地道にフケ込んできてるのも分かって、そういう意味では一気読みも面白い。
 『いとこ同士(今市子/著、ムービック)』
 作者同人時代のJUNE〜で801〜な短編集。とはいえ生臭さのない、いっそ清澄な空気は、このジャンルが苦手な向きにもイケると思う。さまざまな局面にいる「彼ら」と周囲の人々の生き方や心の交流は、静かなドラマとして読ませるものがある。偏見を抜いておひとついかがか。<誰に
 『エキセントリクス(吉野朔実/著、小学館文庫)』
 あえてストーリーは語らない。凡庸の塊のような僕にはありえないシチュエーション、完全に自分に関るはずの無いと分かっている他人の傷や不幸としか表現できないだろうから。しかし、そのはずなのに押し寄せる不安や、つかえのように心に留まり、ふとしたはずみにささくれ当たる言葉の感触は残る。美しい絵柄に騙されて読み進むと、いつしかとんでもない暗黒を目にしている。
 この作家は、危険だ。
 いやまぁもちろん、その危険さが好きなんですけどね、はい。
 『エリザベート(森川久美/著、講談社漫画文庫)』
 本日手にした中で最不作。宝塚歌劇と同じ脚本を底に描かれたコミックらしいんだが、そいつを読むか観るか、はたまた元ネタである后妃の生涯を知ってるかでないと、たぶん散文ちっくなイメージ集か絵コンテにしか見えないんじゃなかろうか。絵も大づかみだしコマの流れは読みにくいし、緻密な台詞回しと華麗な絵が売りだった往時を思うと愕然たるものがある。あと、これは作者本人の咎じゃないだろうが、巻末に当の本の広告を入れてどーすんだ出版社。

 …ってとこで、今日はおしまい。小説類も『死の散歩道(キャロリン・G・ハート/著、対馬妙/訳、ハヤカワ文庫)』『メディチ家の短剣(キャメロン・ウエスト/著、酒井武志/訳、ハヤカワ文庫)』『髑髏島の惨劇(マイケル・スレイド/著、夏来健次/訳、文春文庫)』と買ってきてはいるんだが、さすがに分単位では読めないからなぁ。特に最初のを先の楽しみとして、積読山脈の頂上に新たなケルンを築くとしよう。

10月26日(土) 晴
 郵便局へ、ヒロツさんが送ってくれた本を取りに行く。『Shade spirit book』、見開きに書いてもらった献呈の署名(さるぞう⊂ ̄ェ ̄⊃つき)がとても嬉しい。そう、これは我が畏友・ヒロツさんの労作なのだよえっへん。<なぜオマエが威張る
 そのまま行きつけの喫茶店に腰を据え、中国茶を啜りつつ目を通してみた。いや、玩味熟読したいんだけどさ、何せ僕ぁShadeはサワリしか知らないもんで、まずは粗筋を(いや、技術書だから粗筋とは言わないか)…とか言ってるようなビギナーが読んでも十二分に面白く、また作業の流れが目に見えて辿りやすいので「自分でもできるかも?」な気持ちを起こさせてくれる本だと思う。対象物の選び方やデザインが妙にとんがってない、いかにも「在りそう」なものなので親しみやすく、気軽に触りたくさせるのも上手い。ンもう、この誘い上手さん(違)。
 とりあえず僕ぁアップデート決定しちゃいましたよ。頑張って勉強しまつ。

 さらに足を伸ばして書店へ。『ジョジョの奇妙な冒険 16&17(荒木飛呂彦/著、集英社文庫)』『ツタンカーメン(山岸涼子/著、潮漫画文庫)』それに『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』を買う。で、そのまま帰ろうかと思ったのだが、ついホームセンターだの100円ショップだのに足を踏み入れてしまい、小さいワゴンだのA4ファイルだのと嵩張る大荷物を背負い込む羽目になった。こういうのって、前にもあったような。
 …あ、昨日か。
 そんな昔のことは覚えてない。とボギーの台詞で己の馬鹿を糊塗しておくとしよう。できたかどうかは分からんが。

 夜、Webを徘徊していて『ハリポタ』のダンブルドア校長ことリチャード・ハリス氏の訃報を知る。72歳という高齢とのこと、無理からぬものはあるがハマリ役だっただけに惜しい。子役達もみるみる育ってきてるから3作目以降はキャスト交代か?と思ってはいたものの、こういう形での降板は非常に残念だ。黙祷。
 で、夜のチャットでネタふりしたら、ヒロツさんからこんなレスが返ってきた。
 「クリストファー・リーを起用して帽子込みで2メートル超とか……」
 やはり侮れない奴だなヒロツさん。普通ならガンダルフことイアン・マッケランあたりを引くだろう。さすがにサルマン様でドゥークー伯っつーのは怖いって。「あの人」だって裸足で逃げ出して話が終わっちゃうぞ?

10月27日(日) 晴のち曇
 ねこまとふたり、街へ出る。金券ショップとデパート地下で僕の用事は早々に片付いたので、彼女の趣味のエリアたるボークスへ。ドール主体とはいえペイント類始め模型用品もしっかり整っていて嬉しい店…なんだが、アルタのてっぺんという場所柄、ビルの内外はイマドキな服装のお嬢さんがたが密集していて非常に足を踏み入れにくい。いや、普通のお嬢さんばかりなら嬉しがって鑑賞しつつほいほい通るんだが、いわゆるゴスロリってのが、ねぇ。アレ、かなり着る人を選ぶファッションだと思うんだよな。なのにどうも本人達は「自分に似合うような」形を選んでる風がない。服がひとり歩きしてるというか、有り体に言うと見てて怖いというか痛ましいというか。これが人形ならもっと似合う服を見立ててやれるのに、いや、いっそヤスリがけしてリペイントして…って、非常に失礼ですな。
 まぁ以前、ガングロでミニスカの娘さん集団を「黒い三連星」と言ったのに比べればマシであろう。甲乙つけがたいですか?

 人形の服だの部材だのを買った後、ハンズと書店と無印良品をハシゴして荷物の体積&重量を増殖させてみる。むぅ、3日連続とは意外とタフだな僕。
 だが帰宅後まではエネルギーが保たず、そこらに荷物を放り出してビデオ鑑賞。例によって録画しといた『TRICK2』『ハリケンジャー』『龍騎』3本立てである。考えてみたらドラマ仕立ての番組で続けて観てるのってこれだけか?まぁ他にその気にさせてくれるものがあるじゃなし、別に困りはせんけどな。
 『ハリケンジャー』はゴウライ兄弟中心の話。平和な日常を手に入れた兄弟の、市井の人々へのモテモテ(死語)っぷりが現実の役者氏とダブって楽しい。まといつく子供や萌え萌え奥様ズに、実は本物が混じってたりして。あと、兄者に変装しておぼろさんとラブラブ?を見せつけるシュリケンジャーも笑えた。いつもの兄者からは考えられない態度の極だからなぁ。
 ただ、その隙を突いて攻撃してきたマルちゃんことマンマルバが、せっかく能力増強されたにも関わらず、あっという間に流星群の影響で生まれもつかない巨大怪獣になってしまったのはちと寂しい。たぶん、このまま撃破されてしまうんだろう。結構個性的な敵キャラ揃いの中でも謎めいてるしカッコイイ造型なんだから、もっと大事にしてやって欲しかったなあ。ところで前にサクッとやられたマルちゃんのクローンでありながら能力が割増されてるってのは何なんだろう。やっぱアレか、繭の中で熟成強化した時間の長さによるんだろうか。つまりこの後「20年ものマルちゃん」なんて東洋水産にクレームの行きそうなモノが…ってのはどうですか奇妙愛博士。<他人様の日記へネタ振りするな
 さて、続く『龍騎』は東條の嫌キャラっぷりが増幅ってところか。じめ〜っじとぉ〜っしんねり〜っと手応えの無い不透明っぷりを見せていたのが、今回の終幕に至りいよいよ真司へ直接攻撃を始めた。が、その意図は今だに明白でなく、どうも自分の脳内で妙な価値観をこさえて他人の命をそのネタに使っているようだ。「正義の味方である自分」を保つことにのみ関心があるらしい。ううう、やっぱキショクワルい。前の逮捕劇で割を喰わされた浅倉あたりに、さくっと片付けられても惜しまれまいな。
 その浅倉だが、新しい弁護士が、いわゆる「人権派」なのにつけ込んで脱獄するつもりのようだ。ここらは皮肉が利いてて苦笑い。次回予告には「ここが祭りの場所か?」なーんて台詞もあるので、北岡弁護士の妨害工作は功を奏さないものと…って我が相方よ、「祭り」にフックして「ワショーイ」と呟くのはやめれ。「仮面ライダー王蛇おにぎりモード」とか馬鹿なことを考えちまうだろうが。
 あと、今回ちょいとショックだったのは香川教授に妻子がいたことだろう。本当に「守る」という意味をもって「英雄志願」してるんだとしたら、このキャラの厚みは凄いわなぁ。まぁ「実在したのか?」「利発そうなお子さんだ!」とか『あずまんが』ごっこしちまったファンが日本中に何人いたものやらとは思うけど。少なくとも我が家ではやりましたですが、はい。

 『大人の問題(今市子/著、花音コミックス)』『あしながおじさん達の行方(著者・出版社同じ)』を読む。一昨日の『いとこ同士』に引き続きボーイズラブつーかホモ物なんだが、行為の描写があるでなし、成長過程の青少年を取り巻くドラマとして純粋に面白い。前者はギャグ、後者は比較的シリアスなんで、それぞれ違った味わいでもあるしな。
 続いて『コミックマスターJ(田畑由秋・余湖裕輝/著、ヤングキングコミックス)』を7から9まで一気読み。買いそびれまくって溜まってたんだが、久しぶりに浴びる高濃度のギャグは妙な心地よささえある。だからといって相方に「今の司葉クンには萌えが無いッ」とか言われたかぁないけどな。なんか妙に高揚した顔つきになって修羅場を展開しないと悪いような気になるじゃね〜か。<なるなよ

10月29日(火) 晴のち曇時々霰
 上空で低気圧が集会を始めたとやらで、気温がいきなり急降下すると同時に大荒れの空模様となった。BB弾サイズの霰がばらばら降り注ぐ、あたかも冬将軍との前哨戦の様相である。ううむ、万聖節を前に奇襲攻撃とは不埒な異教徒め。
 なお、お前もクリスチャンじゃねーだろ!というツッコミは不可。僕ぁカボチャ大王様の忠実なる信徒である。ちなみに教祖はライナス様。ワケ分からん人は『ピーナツ・ブックス(日本語版)』参照のこと。

 昼休みの徒然に、かねて楽しみにしていた食玩『SFムービーセレクション第3弾 謎の円盤UFO 』を捜し歩く。しかし発売予定は昨日の筈なのに、シリーズ前作(サンダーバード)を置いていたスーパー、コンビニ、どこへ行っても全く見当たらない。出来の良さで近作の期待を否応無く高めておいて、これは無いんじゃないか?とWebで調べてみたら、マイナー作の故か、もともと多数は作らず初期ロット限りで終了なぞと、愉快ならざる情報が乱れ飛んでいる。ああっ、クソっ!こんなことなら予約しておけば良かった!地団駄踏んでも詮無いことではあるのだが…とほほほほ。

 夜、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』読了。うん、面白かった。
 粗筋は話すとネタバレになるんで略すが、とにかく今回ネタが多い。今までの作品は比較的短期間で大事件が起き解決、あとは端折って1年が終わり…ってな構成だったのに、今回は1年がかりの大イベントとその過程で仕組まれる陰謀である。そこへ、子供から思春期へ向かう主人公達の友情や恋(失恋つき)それに本気の憎悪が育つさま、彼らを取り巻く社会の姿、大人たちの思惑、立ち向かわなくてはならない敵と奪われる犠牲、さらに深まる謎…と、とりどりに散りばめてある。山あり谷あり、さらにフーダニット式ミステリ要素も健在、実に多彩なもんだ。まぁその分、前巻のようなジェットコースター的な感覚は無いけれど、1作ごとに調子が違うのも、また楽しみのひとつだぁな。
 しかし、ネタを引っ張りまくり伏線をチラチラ見せまくって、先がまだ書かれてないってぇのは辛いな〜。あと、かなり読みやすくなったとはいうものの、訳がちょっと…現代風と古語の入り混じる世界なのは分かるけど、その配分が妙なんだよな。若年層に読ませることも考えて、もっと達者な「言葉使い」を起用してはどうだろう。本職の童話作家とか。いっそ一部分ずつ競作なんて企画も面白いかもしれん。
 個人的には京極夏彦訳なんて読んでみたい気がするな。こう、しち難しい字(もちろんルビなし)をずらずら並べてさ。自分がガキの時分は、そういうモノに却って妙な闘志を掻き立てられていたもんで…って、あの文体じゃホグワーツが魔窟(しかし微妙に無味乾燥)になっちゃうか。ダメですねやっぱり。<当たり前だ

10月30日(水) 霰のち曇
 今朝もBB弾サイズに叩かれながら出社。敵・冬将軍の攻撃は熾烈を極め、この週末には本格的に布陣(要するに降雪)の可能性もあるという。ううむ、いよいよ全面抗争か。今のうちに腕力を鍛え、得物(雪かきスコップ)をととのえて待つとしよう。来るなら来い!でも出来れば来ないでくれ!<ダメダメ

 昼、会社からチャットしていたら、ヒロツさんが思わぬネタを持ってきた。10月26日にご本人が飛ばしたギャグが、あろうことか現実化しそうだという。マジで校長先生が2m(帽子込み)になる可能性があるらしい。
 うーむ。なんというか、翁が眼鏡かけて好々爺然とした柔和な笑顔をしてるトコって想像できないんだけど。しかし4巻の「あの」シーンを思うと、迫力満点でいいかもなぁ。観てみたい気は、大いに、する。
 ただ、齢80になんなんとしているのが心配であるな。縁起でもねぇ言い草だが、完結しないシリーズ作品を遺作にして欲しくないんだよ。どうせ演るなら最終話まで!ってまだ5巻もありやがりますけど!しかも形になってんのはあと2本ですけど!うええええん!長生きしてようサルマン様!スカラマンガ様!ロシュフォール様!もとい伯爵!<結局これが言いたいらしい

 夜、amazon.comから荷物が届く。まずはDVD『ロード・オブ・ザ・リング』『ウィロー』『世にも奇妙な物語』と、ここらは相方の注文品。
 僕はというとエドワード・ゴーリーの絵本、『蒼い時』『敬虔な幼子』他、原書2冊を手にする。前にも何回か書いてるけどこの作家の、独特なペン運びの作り出す闇は何かが潜み今にもざわめきだしたげにひどく不安定な印象で、なのに掴み所の無いキャラクターがふわふわと漂うさまが妙にユーモラスでもある。好きだ。悲惨な話を軽妙に、笑い話を不思議な深遠へ、いとも容易くすり替える絡み合った線また線は話そのものを離れても見て飽きることがない。ううむ、面白いなあ愉しいなあ。寝床へ持ち込んで読みふけったらとんでもねぇ悪夢を見そうでちと怖くもあるけどね。

10月31日(木) 曇時々雨
 毎度のことながら、季節の変わり目とて室内の温度調整がいささか乱調である。自宅ならドテラでも羽織って調整するところだが、職場ではそうもいかん。効きすぎる暖房に汗を流し、我慢できない同僚が切り替えた送風モードで冷え切り、ものの見事に風邪をひいてしまった。うぇ〜〜っくしょちきしょ〜ぃ。

 じわじわ上がる熱にうずくまっているのも性に合わないので、昼休みに戸外へ。冷たい風が心地よいままぶらぶら歩き、そこらの公園で茶でも飲むかとコンビニに入ったら、なんと『謎の円盤UFO 』がズラリと並んでいるではないか!か、買うしか!即座に1列わし掴みにしてレジへ特攻する。
 僕「ここここ、これ、並んでるだけですか?」
 店員さん「まだありますよ?幾つお出ししますか?」
 僕「いえ、箱で!」
 店員さんは表情ひとつ変えず、カートンを出してくださった。流石プロ…つか慣れてらっしゃいますかもしかして?ふっ、馬鹿な大人が多いですからな最近。<おい
 会社に戻り、せっせと開封。どれも出来がいい。いや「素晴らしい」!モデルの再現性・精度も塗装(色使いがまた良い!)も申し分なし、デカールさえきっちり再現されていて、この値段で買うのが申し訳ないほどだ。やはりもっと買い込むのが礼儀というものか?と取って返しかけたが、他ユーザーの迷惑といったん保留。1週間ぐらいして行ってみて、まだ残ってたら棚を浚うとしよう。
 とりあえずはシークレット(ゲイ・エリス中尉)を除いてノーマルコンプできたことだし、モデルを並べ替えてVS.UFOの場面を構築してみようかな。いや、それよか専用にケースを買って、全部並べてみないと!

 と、高揚しまくって午後を過ごしたものの、夕陽の残照が消えるころにはアドレナリン(かな?)の効果も切れていた。終業と同時に荷物を引っ掴んでタクシーに乗り、帰宅して飯喰ってバタンキュー、死語の世界に突入である。ケース調達は明日以降のお楽しみだな。う〜んう〜ん。<バカ


翌月へ




[ 銀鰻亭店内へ ]