店主酔言
書籍・映画・その他もろもろ日記

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4月1日(火) 晴
 ぼやや〜んとうす曇の、これはこれで春らしい陽気。気温もそれなりに上がって、冬靴から履き替えた足元が軽い。
 ただ、例年の如く、非常に埃っぽい。考えてみりゃあ、冬の間中に降り注いだ大気中の煤煙だの排ガスだの溜まったゴミだのタバコの吸殻だの犬の…あ〜、ゲフンゲフン、とまぁそういうモノが一斉に姿を現すんだから無理も無いやな。当然ながら見た目も非常にアレである。
 「死ぬなら雪の中で綺麗に」な〜んて考えてるおセンチさんに、ぜひ見せてあげたい光景であるな。いや別に、心当たりはありませんけどもさ。

 そういえば今日から郵便局が「郵政公社」たらいうシロモノになるという。あながちエイプリルフールでもなかったようで、常ひごろ料金調べに使っていたページが開かない。「移転しました」の告知もあらばこそ、NotFoundである。なんだかな〜と思ったものの、それではと新ドメインを検索してみたと思いねぇ。
 開かねぇんでやんの。
 重いのなんの、トップページからして満足に動きやしねぇ。草木も眠ろうかってこの刻限に、新しい郵便屋さんだわ〜いってな物見高い衆が紅白饅頭貰いにきてよう筈もなし、もしもし亀よ亀さんよお前はガラパゴスゾウガメかってぇくらい遅い重い。で、ようやっと開いたと思ったら、肝心かなめな料金ページがまた…(中略)なんであった。
 器が新しくなるのは大いに結構である。がしかし、肝心な中身が伴ってないと、ゆくゆくはどっかの「みかか」みてぇに競り負けることにならんかね。
 大きなお世話ながら、ちと心配になったりもする春の夜の憂鬱であった。うむ、ロマンチックじゃのう。 <どこがよ

4月5日(土) 曇
 春。それは変化の季節。別れの季節。送別会の季節。かくて大人たちが宿酔いで、冬眠明けのカエルのようにゲロゲロ言う季節。ああ、おぞましきかな春。 <なんか違う
 というワケで、世間様に倣って(?)寝床で過ごす休日。しかしどんなに体調が悪くても本を手放せないのが宿痾というもんである。読みさしの『リチャード三世「殺人」事件(エリザベス・ピーターズ/著、安野玲/訳、扶桑社ミステリー)』を手にとり、最後まで付き合う…と、この表現をみてのとおり、あまり面白くなかったんだが。
 薔薇戦争の勝者と後世の作家シェイクスピアによって怪物のイメージをこしらえられたリチャード三世。その名誉回復を願う団体が催したコスプレ集会で、史上の人物をなぞるような殺人の見立て(見立て殺人じゃないんだこれが)が起きる。誰が、何の為に?
 ストーリーは興味深い。また、集った人々も絶海の孤島ならば殺人ゲームになりそうな一癖集団だし、かれらが振り分けた役どころたる史上の人物にまつわる読み解きも、掘り下げれば面白くなりそうだ。だが、これが難点たるところ、ネタは魅力的なのに、残念ながら作者の筆がついていってない印象がある。キャラの描写が浅くて年配や容貌・挙動が薄っぺらいもんだから、「登場人物紹介」欄を見にページを繰るという珍しい経験をしてしまった。連続殺人ものの小説やドラマなんかのシチュエーションをセルフパロディしてる部分も、薀蓄は結構だが上滑りしてギャグになってない印象が強い。帯に記された「『時の娘』に挑戦!」の文言は、勇み足というしかあるまい。せいぜいがオマージュというところじゃないだろうか。

4月6日(日) 曇
 寝覚め方に床の中で『20世紀少年 12(浦沢直樹/著、小学館)』を読む。ここまでず〜〜〜っと盛り上がらないまま「キモチワルイ」世界の描写で流れるのかなぁとダラダラ読んでたのだが、半ば辺りの出来事で総毛立つような気分になった。ふと目に付いた気がかりが増えるままに読み終え、即バックナンバーを取りに書庫へ潜って通読。
 これ、こんな話だったか?
 コミックスでぽつぽつと読んでいて見落としたディテール、情景の細部に組み込まれていた伏線、忘れていた過去の物語を一気呵成に辿りなおし詰め込んでみると、ジェットコースターとまでは言わないにしても結構な勢いがあるじゃないか。人気の無い街角を、得体の知れないものに追われて全力疾走するぐらいの怖さだ。う〜む、こりゃコミックスで読んではいけない本だったのだな。週刊誌でリアルタイムなら、この面白さに気付かないことはなかったかもしれない。『MONSTER』のように複数のエピソードが重ねられる形でないだけに見落としていたのだと思うが、不明であった。反省。
 しかし、この先もまたコミックスで読むわけで、となると数ヶ月おきに通読するか完結するまで封印してまとめ読みするかの二者択一になりそうな気がするな。

4月9日(水) 雪のち晴
 寒さを訴える猫パンチに起こされ、ストーブを点けて寝床へ戻ったら、そこは既に敵の占領下であった。むう、畜生の分際で戦略的行動を取りおるわ。って引っかかってる僕は四つ足以下ですか?

 というワケで心身ともに寒く出撃し、精神的に寒い仕事を終えて帰宅。よく思うんだが、自分のPCの最小限の管理(ユーザーアカウントとかね)ができない人間はWebに出てくるべきじゃないよなあ。保身に関してはヒステリックなくせに、対処方法を教えても理解しないんじゃ、危険は去りませんって。よくパニックもの映画で、絶叫するだけで指示を聞かず、そのままスプラッタらったらったになっちゃうキャラがいるが、ああいうイメージだな。そういうイメージをこさえると仕事がちょっぴり楽しかったりもするけれど。 <どういう楽しみだ

 帰宅後『エルフを狩るモノたち 21(矢上裕/著、メディアワークス)』を読む。長い長い旅路の果て、いかにも「らしい」オチをつけての最終回。トーンを崩さずエログロに落ちず、カロヤカにバカであって下品にならず、見事な幕の引き方であった。もって書棚に指定席を設けたい。
 あと『名探偵コナン 41(青山剛昌/著、小学館)』も読んだ。スタート直後は楽しい小粒ミステリであったのが半ばに至ってマンネリ化したものの、ようやっと本筋の大事件を片付けるべく動き出した…かな?というところ。少々サスペンスタッチも加えた味付けの、最終的な出来栄えやいかに。

 夜に入って人形アニメ『海のおとこライミ』を上映。ネット仲間・にゃにゃさんが紹介してくれた人形劇団オープン座セサミの作品である。
 ストーリーはあまり奇をてらったものではないが、ほのぼのと気持ちを和ませてくれた。なんつーか、メッセージ性を強く前面に出さないというか、押し付けがましくないんだな。ここらは主人公・ライミの偏屈爺さんキャラによる部分も大きいだろう。ただ、あえて台詞を入れないほうがいいかも、という気もしないではない。アクションで十分にキャラは立っていると思うので。
 僕がメインに見るところである、人形や小道具大道具の動きもとても良い。素材を活かした造形(そういえばライミ爺さんはオシャレだな)と一緒に空気が動くような感覚がある。セルアニメと違って「モノ」の存在感があるからだろうか。同じくにゃにゃさんに紹介された次回作『あ・うん』も非常に楽しみである。つか、できれば劇のほうも実際に観に行きたいもんだ。

4月12日(土) 曇
 多忙な一週間を終えて、ゆるゆると朝寝を楽しみたいところ、しかし相方は今日もハードワーク、僕自身も机周りの模様替えをせねばならん。なればとふと思い立ち、朝から飯を炊き握り飯など丸めてみた。これで二人とも昼飯が準備できて一挙両得…って、ん?何か食ってますなキミは?
 ねこま「炊きたておむすびウマー(゚Д゚)」
 いや、だから、いいトシをして某ちゃんねる語はマズー…って伝染してるがな!

 相方を見送って一人、せっせと肉体労働。まず奥の書庫にある棚にみっしり詰まった中身(ほとんど文庫本)を抜き、それを全て箱詰めしてから棚を分解して机のそばまで移動。続いて今そこで使っているワゴンを脇へよけ、配置。ついでに以前に組み立てておいたPCを机脇の物陰に起き、配線を整理してプリンタをセッティングし直し、フィギュア類の詰まったケースを見易い場所に飾り、最初に抜いた本の山から除けておいた読み返し用の本を運び…ってアレ?
 まぁ、とにかく疲れた。欲しいものを欲しい時に手にしていたツケってのは、こうして体で払うことになるんだな。少しく反省すべきであろう。
 ってことは、あと10年ぐらいは余裕で払えるな、とか思ったのは秘密。

 かくて昼どきまで働き、一服つけて新聞を読む。我が家は朝日なんだが、ここんとこ記事はWebで他紙と読み比べてるんで、あまり得るところはない。せいぜい連載マンガが楽しみである。朝がいしいひさいち、夕刊がしりあがり寿ってのはゴージャスだわな。おまけに今日は土曜版に秋月りすが登場してるのを発見したし。ただ、週の中日に連載されていた三留まゆみのイラスト・エッセイが無くなったのは痛恨の極みだ。む、こうしてみるとマジでマンガしか読んでおらんような気もする。コストパフォーマンス悪いなぁ。 <そういう問題か?

 午後に入って、久方ぶりに柚さんご来臨。先ごろキャッチャーで取っておいたご贔屓キャラ、ど〜も君の編みぐるみを献上。で、その後、行きつけの中国茶店を経由して勢い任せに街中へ。明日の投票日を控えて「よろしくお願いしま〜す!」コールかまびすしい街角を歩き、イエサブ(柚さんはお人形服にハマった可能性大)、ちょいと小洒落た雑貨屋、それにハンズと歩きに歩く。むぅ、我ながら元気である。先方は腰のトラブル、こっちは先ほどまでの作業での筋肉痛を抱えているうえに、どっちも日々の激務を過ごしてきた後だというに。
 結局、戻って夜まで茶を喫しつつ喋り倒して今日はお終い。引越し半ばのような部屋の風情を楽しみつつ、明日の作業に思いを馳せるのみである。やっぱ「鬱だ」と締めくくるべきなのか? <聞くなよ

4月13日(日) 曇時々雨
 雨音に目覚めれば昼。一週間続いた街宣車の声が無くなると、こうも野放図に眠れるものかと妙な感心をしつつ、相方をたたき起こして投票に行く。
 とはいうものの、道知事・道議・市長・市議の4席を決めにゃあならんのに候補が各6人前後の変則フルーツバスケットみたいな状態では、これと絞り込むのも難しい。新聞にはお約束を並べたコメント程度しか載ってないわ、このご時世にサイトすら用意してない候補はいるわじゃなぁ。せめてポスターにスローガン以外のことを書いてくれればと思うのだが、ダメなのかね。こちとらが採用側なんだから、履歴書程度のことはあってしかるべきじゃないのか?せめて、過去に出した政策とその結果とか。打率何割とか。んで選挙直前にはそれを詳細に書いた新聞を発行して、投票場前で配るとか。で、有権者は赤ペンを耳に挟んでチェック入れつつ「2-3だな」「ここは流し」とか……。
 ダメですね。すいません。悪うございました。

4月14日(月) 曇
 『フクロウは夜ふかしをする(コリン・ホルト・ソーヤー/著、中村有希/訳、創元推理文庫)』読了。南カリフォルニアは海辺の豪華ホームに住まう「老人たちの生活と推理」その3である。
 例によっての(っておい)殺人事件。しかしホーム仲間や馴染んだ職員が密接にかかわる前2作とは違い、今回の被害者はさのみ深く知るでもない人ばかり。とあって、これまで以上に深刻さを欠いた野次馬、いやいやいや、素人探偵ぶりで捜査に乗り出す老婦人たち。しかも彼女らの扱いを知るオルテラーノが現れないものだから、歯止めをかける者もない。おいおい、殺しなんだぞ死体が転がってるんだぞ!と叫びたくなるんだが、たとえ僕が目の前で叫んでもアンジェラ婆さん(いや失礼)は止まるまい。まるで小学校就学前のワガママ少女のような言動で突っ走る彼女に笑わされつつ、担当刑事の胃を思いやってしまった。
 例によって謎解きはシンプル。というか殺人そのものは現実的な状況のうえに成り立っているんだよなこの作品。毎回老人ホームでコロシがあるっつーのに。そういう意味では中途半端に地に足がついてるなと思う向きもあると思う。でも僕ぁ好きである。あと6作あるとやら、早く続きを出してくださいね。

4月16日(水) 晴
 久々に会社の近所のゲーセンへ。アバレンジャーのサウンドフィギュアがあったのでチャレンジするも、あえなく敗退。ブラックは実は強かった。人間サイズで怪獣サイズの敵を倒しちゃうんだからなぁ(先々週だっけ?)とか呟きつつ、しおしおと去る。ま、相方用の縫いぐるみと、同僚のお子さん用のアバレンジャー変身グッズはおさえたが。
 外へ出ると素晴らしい陽気。駐車場の片隅にガーデニング関連のコーナーが出来ていて、一面に並んだパンジーの苗が甘い香りをまき散らしている。う〜む、知らなかった、匂いのある花だったんだなぁ。それに昔は「三色菫」といってたような気がするが、今はオレンジだのペールブルーだのと中間色も多い。物珍しく眺めつつ、しかしこういうのが土着化したら、やっぱ生態系問題なんだよなぁと無粋なことを考えてしまうのであった。いやはや。

4月20日(日) 曇
 ねこま用に買い整えた机の材料が昨日届いたので、今日はその組み立てにかかる。モノがエレクター、しかも2人の背丈を優に越える(当たり前か)190cmの支柱を選んだものだから大いにてこずり、数時間越しでどったんばったんと騒ぐ羽目に。が、出来上がりは頑丈そのもの、セッティングした状態も実に美しい。試しに椅子を置いてみたが、使い勝手も上々である。う〜ん、いいなぁ。なんで僕には無いんだよう!
 ねこま「司葉クンが設計して買ったんだよ?」
 いや、まぁ、それはそうなんですけどね。小学校入学以来の木の机に愛着があって捨てられずに使ってるんだから、文句を言う権利も無いわけですし。でも羨ましいんだよう! <ダメダメ

 とこうして部屋をあらかた片付けた時点で、先週からの特撮番組を見る。『アバレンジャー』は番組全体から元気があふれて暴走している印象。こころ正しき特撮モノといえよう。満足である。
 が、続く『555』はどうにもこうにも…2話連続でキャラクターがざわざわ出たり死んだり人違いだったりするんだが、それぞれの描写に深みが無いもんだから芝居の書割を見せられてるようで退屈である。こういうのって前にもあったな、確か一昨年『アギト』で「あかつき号」絡みの話になった時がこんなんじゃなかったか?つーか前のほうがまだ各キャラの個性が立ってたように思えるなあ。子供向けには暗く、大人向けには食い足りない、非常に中途半端な展開だと思う。ネタへの興味だけで付き合ってて、どこまで気力が続くやら…って、そんな勝負はイヤだなぁ。

 夜、相方が不調を訴える。どうやら風邪を引いたらしい。午前中に張り切りすぎた反動であろう。そういうのを「年寄りの冷や水」というのだ。
 ねこま「キミと私は同じ年なんだが」
 む。鼻をかみながらジョウ・ジム・グレゴリイみたいなことを言ってくれるな。まぁ感染するのもイヤなので、ここらで撤収しといてやるとするか。寝ろ!

4月23日(水) 晴のち曇
 昨日まで(実は)寝込んでいた相方もめでたく復帰し、天気も回復(ってのは月曜からこっち、寒いわ雨降りだわという物悲しい状況だったのだ)。今日はなかなか快適である。む、この2日間が2行でダイジェストできちまったぜ。いかにルーチン化した日々を送っているかであるのう。

 出社途上コンビニに立ち寄ったら、北陸製菓の「レスキュー119」を発見。救急救命車両フィギュアのついたカンパンである。いや、まぁ、当節の食玩がいずれもそうあるように、どっちが主だかは分からんもんでありますが。この場合はカンパンが食べたくて1つ購入。昨今の菓子は甘すぎて、どうも口に合わんのよ。
 他には招き猫とかFFシリーズのヒロイン、おまけに懐かしの人形劇『プリンプリン物語』のフィギュアがあって、いささか驚く。特に最後のはなぁ…このでんで『新・八犬伝』とか『三国志』とかも出していただけませんでしょうか。バーコード集めて玉梓プレゼント、な〜んてあるともう箱で買いまくってしまいますですが。 <ばか者

4月25日(金) 晴のち曇
 ほんわかと暖かい、春らしい陽気。毎年のことながら花もそぞろに咲き始めている。福寿草・クロッカス・レンギョウ・ツツジ・チューリップときて、梅と桜が後を追うのがパターンである。通勤コースでは、まさに桜がほころびかけていた。う〜ん、春だのう。線路の向こうのH大学の実験農場から鶏糞の臭いも漂ってくるし…って、イヤな春の便りだねぇおい。

 同名ゲームの二次創作集『あなただけのかまいたちの夜2(チュンソフト)』を買う。他ゲームでもコミックでの二次創作集は結構見たことがあるが、小説で、かつオリジナルが主催してコンテストをし、原作者たちが評価して本にするというのは面白い試みではなかろうか。またサイトでのリレー小説なんかも載っていて、ちょいと面映い記憶をくすぐられたりなんかして。
 ま、僕の記憶はさておき、オリジナル好きとして手に取った身として、これは意外な拾い物だった。特に大賞の「聖母篇」は、審査員がオリジナルとして出してもイケるはず!と激賞するだけのことはある。ゲーム本編で語られる導入部を書かなくていい強みはあるにせよ、この尺に専門知識を詰め込みながら、無駄のない筆さばきで一気に読ませる技は只者ではない。いわば探偵役の造形も、シリーズのファンとしては嬉しい限りだ。いささか『仮面ライダー龍騎』の神埼兄と似てないでもない言動が、ヲタな目に浮かんでしまったのは別の話であるが。
 他にはコメディ系で2本入賞の作者による「あの人篇」が楽しかった。あの青いキャラクターでイメージすると、ちょっと不条理劇の風味も出てくるのが興である。
 しかしアレだなぁ、これに先だって出た原作者側アンソロジー『三日月島奇談』と比べると、こっちのほうが面白く読み応えもあるってのはどーしたもんだか。プロがアマチュアに負けるのは駄目とはいわんが、1人も勝ってない気がするのは少々寂しいもんがある。ぜひ『かま3』において、より一層の奮起をお願いしたいものだ。

4月26日(土) 雨のち晴
 天気予報が的中したことさえ腹立たしくなるような湿っぽい空模様。部屋の掃除をしたら全エネルギーを使い果たした気分になり、後はコマコマと手作業に日を送る。まずは、しばらく溜め込んでいた『週刊日本の天然記念物』の組み立てから。もうすぐ全50巻の上がりとあって、フィギュアの造形にますます磨きがかかった気がする。特にオカヤドカリは、いまにも動きそうな迫真の出来に少しく気が晴れる。ううむ、複数買ってケージに入れておきたいぞ。本のほうも、成長過程から同類のヤシガニの料理までと面白く読める内容で嬉しかった。子供がいたら買い与えたい本のトップクラスだぁね。実際は大人コドモの自分に買い与えてますが。
 と、こう来てちょいと思ったのだけど、昨今の子供の本離れって、実はとっつき口が多すぎるせいもあるのじゃなかろうか。僕らがガキんちょの頃は子供が目にできる本の類が限られてて、たとえば文学全集や百科事典みたいなインデックスから細部へ入っていけた。でも今の出版状況をみると、そういうモノの売れ行きは決して良くない。いきおい子供は枝葉に最初に触ってみて、それが弱いと枝から落ちて、その後木に登らなくなると。む、なんでツリー構造で考えるのだ僕。
 とつ言いつ、今度はガシャポンの「学研 科学と学習ミニコレクション」を開けてみる。カプセルに収まってるにしては往時の雰囲気を伝えるキットに喜びつつ、そういやこれもインデックスのひとつであったなぁとか、畜生なんでミニ顕微鏡が当たらなかったんだようとか思っているのは、やっぱ只の子供でしょうか。

 日が傾いても雨は止まず、猫もろともにゴロゴロするばかり。怠惰なるままに『トルネコ』なんぞ始めてみる。既にストーリー本編はクリアし、今は本来の「不思議のダンジョン」異世界の迷宮を楽しんでいるところ。飽かず潜っているうちに夜となり、ふと傍らの棚を見ると「ちいさなメダル」が載っているのにギョッとする。いや、単なるボタン電池なんですけどね。こ、これは…子供?<単なる危ないヤツだと思う

4月27日(日) 晴
 昨日の夕方に上がった雨の後の、完璧な快晴。風も無く、陽光まぶしく、空は真っ青。気分がいいのでねこまとふたり、街まで出かける。で、イエサブ→ハンズ→ボークスと、天候の恩恵がまったく受けられないオタクツアー。むぅ、なんだかな〜。しかもツアーの行程で、WORKING SAFSだのドール服だの各種部材だの工具だの新製品のペンだのとがんがん荷物が増えてるし。ゴルコム(非・ゴルゴム)の陰謀かっ? <類友への言い訳
 しかし、連休初日で快晴とあって、街中が意外と空いていたため、人込み大嫌いズとしては比較的ダメージを受けずに帰宅することができた。月餅と中国茶でくつろぎつつ、獲物をチェックする昼下がりの楽しみよ。財布の受けたダメージについては、とりあえず目を瞑って昼寝に突入ってことで。

 水槽のメンテと人間用の器の掃除を終え、さてと録画しておいた特撮を眺める。ううむ、え〜と、その、なんだな、もう『555』は観なくてもいいかなあ。固定されたメンバー内での偶然の遭遇も飽きてきたし、キャラの立てようの無い分裂症気味の言動は気持ち悪いし。ラッキークローバーのくせに5人いるらしいとか上位オルフェノクは新人(?)を地道に観察してるらしいとか北條のくせに強いとか、そういうネタ素体で引っ張るには辛くなってきた。少なくとも、早起きしてまで観ようとは思えないっつーか。あ、しかも最後のはネタじゃないし!どうなってんだよおい! <八つ当たり

4月28日(月) 晴
 通勤路にある小さな桜並木のなかで、1本だけが満開になっている。どこの世界にもせっかちはいるものだ。ほのぼの眺めていて遅刻しそうになるようなノンビリもど〜かとは思いますけどね、ええ。

 夜、食事前のひとときにTVを点けたら、珍しく時代劇。もとよりこのジャンルは好きだし、いつも流しているアニメにもそろそろ飽きていたところ、腰を据えて眺めてみた。お題は『天罰屋くれない・闇の始末帖』。タイトルからして「必殺!」系統、キャラの設定もそんな感じである。ただ、主人公が女性、しかも子持ちの人妻というのは面白いやね。
 で、感想は…辛いなあ。「必殺!」系統であるのは分かるけど、亜流にならないだけの強烈な個性が無い。キャラはもとよりカメラワークも殺陣(役者パートね)も質が低い。時間帯柄、過激な部分は抑えたいのかなあと製作側の難しさも察するけど、だったら丁寧に作りこんでるかっつーとそうでもないし。時代劇としても、台詞や演出が雑すぎ。役者の中にはベテランも多いのだから、軽く見えるようなネタを振っては勿体無いだろうに。
 役者といえば、主人公の夫として嶋田久作が実直な浪人者を演じているのが面白かった。なにせ僕らの世代には『帝都物語』の人であるゆえ、気弱げな笑顔がなんとも不思議。いや、ご本人は「帝都」撮影中に子供を怖がらせてしまい、一緒に涙ぐんでいたというエピソードの持ち主だそうなんで、実は素なのかもしれないが。
 あと、ゴウライジャー兄こと白川裕ニ郎が出ていたのも嬉しい。念仏の鉄…ゲフンゲフン、いや、まぁ、アレだ、無口な拳法使いでオモテの顔が鍛冶屋ってぇのは前の役からさほど離れてないから入りやすいのじゃなかろうか。これを踏み台にステップアップして、さらにカッコいい役を掴んでいって欲しいもんである。がんばれ兄者! <ファンだったのか?

4月29日(火) 曇時々雨
 ゴールデンウィーク中日…というところなんだろうが、今年は全然ゴールデンじゃない、ただの飛び石連休である。どうもこう、全力投球でグータラする!という勢いがつかないで、しょうことなく普段どおり、掃除をしたり洗濯したり。
 で、メールを取ろうとPCを立ち上げたら、なんか調子がおかしい。一部アプリのアイコンが消えてたり挙動がおかしかったり。取りあえず使うにさのみ不便ではないしウイルスでもないのだが、大崩壊の前触れの可能性もある。データのバックアップをとって、再インストールすることにした。
 で、始めたらこれが長い長い。他の雑事と並行してやってるせいもあるのだが、インストール後のパッチ適用が際限なく続く。いい加減にして欲しいもんだマイクロソフトさん、壊れ難くてパッチ当てのいらないOS作ってくださいよ。そぼ降る雨を眺めつつ、ふと永遠に憧れてしまうじゃないですか。

 OSに永遠を想うというケッタイな真似をしつつ、ついでに机周りの整頓。ちょっと手をつけただけで積み上げられた書類だのガシャだのプライズだの作りかけのフィギュアだのが発掘されるのに今更ながら驚く。ううむ、この時期の生命活動(違)は活発だったのだな!って、その上も下も横も全部そんな調子ですが。
 とりあえず、濃度の一番高いエリアである、某ゲーム関連に占有された棚を掃除。中身をきっちりまとめ直して、別な段に収納してみた。ん?なんかこう、微妙に片付いてませんな。まぁハナからそんな幻想はもっていませんが。 <幻想なのかよ!

 『あやし(宮部みゆき/著、角川文庫)』を読む。単行本発売時には分厚い割に『怪』からの再録がほとんどだったので手を出さなかったが、このほど目出度く文庫化されたためゲット。未読の2本を含めて、味わいや良し。現代ものでは締めがやさしく(甘く、といってもいいが)なりがちな作者だが、時代ものになるとざっくりと切り裂かれた生々しい傷のような峻烈な物語を編み出している。して酸鼻ななかに濃い情や人のこころの機微を描いているのがまた上手い。またこういう味でお願いしますぜ。全編書下ろしなら単行本で買いますんで、何卒ひとつ。

4月30日(水) 雨
 春は名のみの冷たい雨の朝。布団から出たくないなぁと半ば夢の中で思っていたら、猫が鼻スタンプで起こしてくれた。キミ、大きなお世話って言葉を知っているか?

 夕刻、ねこまと落ち合って書店へ。会社から資料を持ち帰った上に、直前に寄った雑貨屋で1/6サイズのロッカーを買ったりして少々重い荷物を持っていたため、F・P・ウィルスンの新作やドールハウスの技術書(って妙な組み合わせだなぁ)などは保留。服屋で何かにと買ってきた後の相方が持てる程度のコミックスのみゲットし、同じ建物の最上階で晩飯をしたためるべく離脱する。途上、銀アクセサリーの店でココペリ(プエブロ・インディアンの神?らしい、笛を吹く人物像)の縫いぐるみというケッタイかつ可愛いものを見つけて買うたやめた音頭を踊るも、とりあえず振り切って去る。ふ、物欲の神に勝ったぜ!ど、どうです奇妙愛博士! <類友への優越感(どうせ数日で負ける予感つき)
 ちなみに晩飯は細めの冷うどん。ゴマと生姜をその場で擂って入れたツユがツルツル&歯応えしっかりな麺と合って絶妙。ただ、一緒に出てきた天ぷらは少々油っ気が抜けてなくて、画竜点睛を欠くの趣であったが。 <うどん如きに大仰な

 帰宅し、ゲットした2冊を読む。『文鳥様と私 4(今市子/著、あおばコミックス)』と『獣王星 5(樹なつみ/著、ジェッツコミックス)』(この取り合わせもなんだかなぁ)。
 前者は相変わらず賑やかかつ複雑怪奇な今家の人げ…もとい文鳥関係。不倫ありホモ?あり対抗意識あり、しかも全てにおいて力押しという、儚げな外見からは想像もつかない小鳥の世界。しかも今回は十姉妹(オスメスの認識が違ったという)が加わってさらに混沌化しているから凄い。笑いながら逃げ腰になっちまいますぜ。
 後者は長編SF、10年越しの完結。ただ、大長編ってせいじゃなく作者の諸事情によったらしいんだが。それかあらぬか感想も、とりあえずオチて片付いたかな、という印象。いささかご都合つーか予定調和のニオイと、作者の画風の変化のほうが気になって、ちょっと寂しい気持ちでもある。前4巻を発掘して読み返したら、少しは印象が変わるかなあ。


翌月へ




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