店主酔言

書籍・映画・その他もろもろ日記

2004.3

 

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[ 以前の日記 ]
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[ 銀鰻亭店内へ ]



3月3日(水) 晴時々曇

 週末こそマトモに休めたものの、平日は相変わらずビジーの嵐。毎日夜更けて帰宅し、食事→寝床へ直行の日々。いつまで続くぬかるみぞ、つーかこんな不摂生ばかりしてると腹が脂溜まりになる予感。勘弁していただきたい。
 といって仕事がつまらないワケじゃないから始末に負えない。ついつい通勤時間まで参考書関係を読み漁っている我が身に気付いて愕然。イヤだ。この年になってワーカホリックなんて絶対にイヤだぞ〜!仕事は片手間の遊び人として生涯を送ると決めたんだからな〜!<見事なダメ人間だと思われ

 という状況下、新刊をじっくり楽しめないのも不本意なので、新潮・講談社等の時代小説アンソロジーを書庫から引きずり出して再読。飽きず廃れず、いつでも読めるのが嬉しい。ただ、どうしても収録作がカブるのが難点ではある。山本周五郎の『こんち午の日』なんか3回くらい出くわしてる。地味ながら脈々と続くジャンルなのだから、そろそろ新しく編まれた作品集が出て欲しいトコではあるな。

 通勤途上、入り込んだ書店で『いっしょにあるこうね 〜盲導犬コディ〜(篠原烏童/著、双葉社)』を購入。そういえば盲導犬モノの感動系映画公開前、タイアップかドジョウ狙いか…まぁ好きな作家だから買うけどね、と斜に構えて読み進めたが、あにはからんや非常に優れた読み物だった。一頭の盲導犬の誕生から死までを犬の視点から描いてて、ヘタをするとチープな擬人化に陥りかねないところ、さすがに動物描きの上手、見事に犬の心を読者に示してくれている。いや、もちろんそれとて人が読み取れる部分、いわば表象に過ぎないのだけど、犬に触れたことのある人なら納得できることばかりなので話そのものにも説得力が出てるんだよね。
 また、盲導犬という「機能」を負う犬の生活、かれらを世に送り出すシステム、そこにかかる人手、さらに周囲の人が知っておくべきことが読みやすくまとめられていて、ガイドブックとして十全である。応用すれば犬の飼い方指南書ともなるだろう。ややもすると短い尺に詰め込みすぎのきらいはあるが、一般に読ませて理解を請うには最良といって差し支えないのじゃなかろうか?公共機関で買って、閲覧用に置いて欲しいような1冊であった。


3月4日(木) 晴のち雪

 半月前の休みを振り替えてもらい、1日の余暇を得る。幸いねこまも休みと知っていたので、昨日のうちにスケジュールは決定済み。いざや起きろ『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』を観に出かけるぞ。
 平日で朝一番の回、それなりに空いてるかな〜と思っていたのだが、期待は木っ端微塵に粉砕された。JR駅に隣接したシネプレックスのだだっ広いホールは押すな押すな…とまでは言わないが、向こうが見通せないほどの混雑ぶり、特にチケット売り場は長蛇の列である。アカデミー賞11部門獲得の効果か、はたまたレディースデイゆえか。まぁ両方なんだろうな、年齢的にも雰囲気もファンタジー読みの原作好きに属しそうもない女性が大勢いるし。男女比にして4:96(概算)ってトコですか。違う意味で濃いですな、これ。
 とりあえず、昨日の夜半、疲れた体でチケット買っといたのは正解だったな。

 さて映画本編。
 上映時間3時間23分?嘘だろ?ってぐらい、画面に集中させられる出来。連作のトリを飾るに相応しい、密にして壮大華麗な作品だった。原作読みの一人として、この映像化を目にできたことを感謝したい。
 指輪に魅入られたゴラム=スメアゴルの孤独な過去の年月と妄執そのものの姿となった今を皮切りに、語りだされるのはホビットたちの旅。時を同じくして展開する、人と魔の全面戦争。この両者を巧みに対照させ切り替えて話は進むのだが、その繋ぎ方がとにかく見事。まったく種類の違う2つの闘いを、それぞれの登場人物の心理を描き分けて受け手を惑わせず、かつ興を逸らせない。アカデミー賞の選考委員、なんでこの脚本に賞を寄越さなかったかな〜。
 もちろん、例によって細密な種族ごとの小道具大道具の作り分け、CGを駆使した壮絶な戦闘シーン、胸のすくような名場面の数々、そして何より原作同様にキャラクターが素晴らしい。ことにも魅せられたのはセオデン王出陣の檄。いやもう、魂レベルで震えがきましたぜ。もののふの生まれにあらざれど、戦に臨んで血が騒ぐってのを実感しちまいました。おかげで主人公たるアラゴルンによる同様のシーンが、ちょっと霞んだ気がして気の毒なんだけど…役者の差だよなぁ、これは。
 んでもって、セオデン王と狂える摂政デネソール候、対照的なふたりの元にある軍勢が、その指揮官の力量をあらわしてしまう戦いっぷりが、これまたリアルに描かれてて興をそそる。後者は武闘派魔法使いのもとで陣容を立て直すさまも手に汗握らせるもの、『指輪』の架空戦記としての側面をもしっかり描き出してくれていた。もう大満足である。
 あとはDVDでスペシャル・エクステンデッド・エディションが出るのを待つばかりだな。んで、サルマンの敗北と、ファラミア&エオウィンのなれそめあたりを始めに補完シーンをしっかり入れてもらって…って、満足したんじゃないのかよ?>わし


3月10日(水) 曇

 ビジーコンボに悲鳴を上げつつ数週間。若い頃ほど早くは無いが、こんな暮らしにも身体が馴染むものとみえ、ふと気付けば本を買い漁り手をのばし読みふけっている。ま、読まないと死ぬし。<嘘つけ
 もっとも、買うのはamazonを始め宅配が主だし、読むのも短編やコミック中心であるけれど、それなりには面白いものを手に出来ていると思う。
 『ささらさや 1&2(碧也ぴんく/著、幻冬舎)』は加納朋子の原作によるコミック化作品。夫に死に別れ嬰児と2人、見知らぬ町(時代小説読みには少々アレな気がする名前だが)で暮らし始めるヒロインの日々。出会い関わる人々と織り成す絵柄は決して美しくばかりもないけれど、唯一許された奇跡とともに彼女を見守る気分にさせられ、読み終えた時には少し優しい気分にさせられていた。同人誌時代にも少し読んでいた描き手には『鬼外カルテ』で再会して瞠目落涙したものだが、やっぱ上手いやね。あと脇を固める「姑ズ」のキャラがまた良し、これは原作も読まねばだな。
 『空のむこう(遠藤淑子/著、白泉社)』は、例によって「ぼよよ〜ん」とした語り口で油断させ、気付くと胸に深く切り込まれている作品群。いや、まぁ、のっけの『敏腕 茂合課長!』みたいに徹頭徹尾「ぼよよ〜ん」なモノもありますけどね。うっかりしてると表題作とか『スノウ』で泣かされます。絵柄を言うと決して綺麗じゃないし、僕の好みでも無いんだけれど、ふと目に付くと読んでしまうし違和感を感じる隙も無く話に引き込まれている。この作者の、これが力量なんだろうなぁ。ぜひ次回も「ぼよよ〜ん」と打ち負かして戴きたく、お待ち申し上げ候。
 『鉄腕バーディー 4(ゆうきまさみ/著、小学館)』は、序盤から引っ張ってきたバチルスが呆気ない最期を遂げて新展開へ。キナ臭さが完全燃焼しちまった後には生臭さ芬々たり、地球人サイドの「大人の事情」が覗けてきた。ある意味、前者よりタチが悪いわな。主人公たちがどう戦い抜くか、待て次号!…っていつになるんだろうなあ。とほほ。
 『時代小説―読切御免― 第1巻&第2巻(新潮文庫)』は、今回唯一の小説…なんだが、これが一番満足度が低かった。残念無念針千本。<なんのこっちゃ
 ラインナップは悪くないんだけど、活字がデカくてスカスカしたページ立てが中身にそぐわない。それでも作品に集中して読み終えると、そこに豆知識(いまどきはトリビアですかね)系のコラムがあって、これがダメなんだよな。いやさ、中身は結構なんだけど、冷静このうえ無しの知識を披瀝されることで、物語の余韻ってやつが綺麗にデリートされちまう気がする。いとあじきなし。よってもって却下。

 ちなみに食玩集めのほうも、隙間でなんとか進行させている。デパート関係は全滅だが、コンビニやスーパーには深夜パトロールを怠り無く…って深夜にしか行けないって話もありますけどね、ええ、畜生(涙)
 ちなみに今日はキューブリックつきグリコの新シリーズを発見。モノがウルトラマンと怪獣たちでターゲットからは外れているのだけど、世代ゆえの懐かしさで一つ手に取った。中身はウルトラマン…だけど、目が吊り上がってますなコレ。もしかして偽?お、ラインナップに無いってことはシークレットですか!
 …ってことで運の無駄遣いをしてしまった。グリーンジャンボも外したに違いありません。

 ところで4日に『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』がアカデミー脚本賞を取れなかったことで不平を鳴らしたのだが、この点についてコジマニア仲間の伊藤計劃氏よりご指摘を戴いた。原作モノってことで「脚色賞」である由。なるほど、脚本はオリジナルをもって評価対象となるのか。不明でございました。ありがとう伊藤氏!


3月13日(土) 晴ながら雪

 青い空から白いものの舞う、珍妙な天気。雨ならばキツネの嫁入りだが、この場合はさて何が嫁に行くのやら。やっぱアレかね、雪男のメスとか。<大いなる矛盾

 『十六歳の闇(アン・ペリー/著、富永和子/訳、集英社)』読了。ヴィクトリア朝ロンドンという、僕ら現代人がとかくロマンチックな想いを寄せがちな時代を描くミステリである。
 がしかし、ストーリーにはロマンの欠片もない。貴族の息子の死体が貧民街の下水道で発見され、しかも性病を患っていたという生臭い話だ。あまりの「不名誉」から、家族は捜査を歓迎しない。どころか、警察上層部もその意向を受けてか、手ごろな結論に飛びついて処理しようとする。いつでも何処でも変わらない「臭いものに蓋」が、捜査に赴く主人公を妨害する、その憂鬱さは現代モノの警察小説に溢れていて、新味は無い。
 こういう筋のうえに、主人公があまり感情移入できるタイプではない。自らは平民だが富裕階級の妻をもつという、身分としても中庸の「観察者」にうってつけの造形だけに、そこに留まってしまうきらいがある。冤罪を着せられた男がさっぱり同情を催させない人物として描かれ、それでも救おうと奔走する辺りで「正義」への思いを見せてくれるけれど、同調するにはヒキが弱いんだよね。
 しかし、この作品において、ストーリーやキャラクターはさのみ重要ではないと思う。主人公も視点役で問題ない。というのも、この物語の読みどころは、上流と下層の真っ二つに分断された当時の社会描写に置かれてるからだ。貧困にあえぎ生きるさえ困難な貧民、対するに体面を重んずるあまり家族関係も形骸化している貴族、それぞれの理不尽がいっそ生々しいほど克明に描かれているのである。まさに「時代を描く」もの、見てきたように嘘をつく語(騙)り部の腕前やよし。他作品でこの時代を眺めていた向き、例えばシャーロキアンや『エマ』ファンに、世界観の拡大って意味でぜひお勧めしたいッス。


3月14日() 晴のち雪

 『姫椿(浅田次郎/著、文春文庫)』を読み、冒頭「シェ」から清楚な香りのファンタジーに驚かされる。これ本当に、なんかヤバい仕事の場数を山ほど踏んでそうな、あのハゲのオッサンが書いたの?<ものすげぇ失礼
 続く物語群も、それぞれ数寄を凝らして読ませるもの。星新一を思わせるドライなショート・ショートあり、かと思えば来し方を省みかつ終わりを思わせずにいられない人生訓風味あり、またそのいずれでも活写される人物が実に実に魅力的だ。う〜ん、やっぱスゲェわあのリリカルオヤジ。<失礼だってばよ
 かつてハマったある作家が「若い頃はアイディア勝負、年を取ったら筆力で」と言ってたことを思い出す。まぁ件の作家は、あまり筆力の向上も見えないままネタの焼き直しに終始する人になっちまったのだけど、この作者の場合は老いて(またもや失礼)ますます盛んに想と技を競わせているなと思う。
 ただ惜しむらくは、その技巧の見事さに感じ入るあまり、作品の余韻が吹っ飛んでしまったかなという気が。いずれまた「こういうモノだ」と記憶してるうちに読み返してみるのもいいかも知れない。


3月20日(土) 曇時々晴

 ファイルを取り違え、3月17日分の日記をべろっと消したのに気付く。たいした中身じゃないけれど、記録を失うというのは記憶が半端に残っている分、妙に悔しい。え〜と、確か『花図鑑 1&2(清原なつの/著、ハヤカワ文庫)』の感想だったんだ。多様な愛とセックス(主に後者)を軽妙に描いた短編集で、かなりアケスケかつ露骨かつツマビラカに描かれてるにもかかわらず、いやらしさや生臭さが全く無く、いっそホノボノしてるのが好ましかったなと。だからといってリアリティが無いわけじゃないから凄いよなぁとも思ったんだが…って、結構憶えてるもんですな。<この程度を忘れるようだと大問題のような

 『鋼の錬金術師』を観る。話としては承前で、兄弟間の行き違いから飛び出したアルがスカーと出くわし、軍(つーか大総統秘書)に雇われ虐殺を繰り返す傭兵たちと戦うことに…というもの。母を失ったイシュヴァール人兄弟の話も絡ませつつ、アルの気持ちの変化/エドとの和解も含めてきちんと纏まっている。某井上氏でも大丈夫でしたよ博士!<って他人の日記と会話すな
 とはいえ、全く不満が無いワケじゃない。今回の敵のリーダーの「錬金術」はちょっと問題ありなンでないかい?(北海道弁)バックパック型のランチャーからワイヤーつきダガーを発射、放電(?)によって魔方陣が形成され、それで攻撃が行われるってのはどうよ。陣の構成によって力を振るうっていう「お約束」を安易に壊すのは、話全体のバランスが取れなくなる元だと思うんだよな。アルの説得がウィンリィのスパナで行われなかった…のは、まぁ良しとしてあげるから、考え直してくださいよ。<横柄
 それにしても、話はずんずん進んでいくけれど原作を遠く幾千里、アッチのほうはどのようになってるのか気がかりなことではある。雑誌を買わない主義なのでひたすらコミックスを待つ今日この頃、早く消息を知りたいもんだ。もう〜幾つ寝ると〜発売日〜っとくらぁ!


3月21日(日) 曇時々雪

 ねこまと買い物。各種素材を求めて服地店から文具屋を経てハンズを周り、最上階のペットコーナーで彼女が立ち往生した。餌のキャベツをパクつくリクガメから、どうにも目が離せないらしい。クチバシ状の口元をかぱっと開けかぶりつこうとして的を外し、何度もリトライしてようやっと噛みとる仕草、その後もぐもぐやる表情、ぱちくり瞬く真っ黒な目、確かにどれを取っても萌えますのぉ。亀のいる世界(=ガメラは居ない)に生まれた幸せすら感じるもんね。ああ、今すぐ連れて帰りたい!値段をみても何とかなるし、ウチには空いた水槽もある、それは分かる、わかるぞねこま!だが待てしばし、もっと大事な問題がある!
 ねこま「ナニ?」
 こいつら、たぶんあと50年は余裕で生きると思うのね。キミはどうよ?

 という訳で「欲しいよ欲しいよ乱れ打ち」によるCon&MPへの攻撃を、コマンド「せっとく」で切り抜けてさらに移動。本日の目的地である、中国茶店へ行き着く。
 街の中心を少し外れた、某地方局の近所にある小さな店。足を踏み入れて驚いた。片側の壁に、銀色のでっかい缶がずら〜っと並んでいるのだ。その数ざっと4、50。これ、全部お茶ッ葉ですか?
 貼られたラベルには夜来香とか虞美人とか酔貴妃といった妙にイロっぽいものがある。白玉兎なんてぇのも可愛い。しかし半天腰とか不見天ってぇのは謎だな、これは江戸前の兄ィですか?あと黄旦ってナニ?

 締めくくりにロフトへ立ち寄り、地下の食玩コーナー(あるんだこれが)でリーメントの最新作「ヨーロッパグルメツアー」を買う。最近はTVCMまでやっている気合の入れよう、出来に期待をもって箱買い。いや、ほら、オトナですから。
 で、帰宅後、ねこまは速攻で開封を始めた。つきあって片端からチェックしたが、これ、今までで最高の出来と言ってもいいんじゃないかと。ラインナップ・造形・色塗り、どれをとってもかなりの高水準で、しっかり「サンプル」らしさを見せてくれていると思う。実際「ウマソー」と思ってしまうものもあるものなぁ。欲を言えば、シークレットは要らないから、普通のチーズフォンデュが欲しかったです。幸運の女神様、Lkポイントは別のとこで使わせてくださいまし。

 夕方になって特撮タイム。『デカレンジャー』はキャラの個性を際立てるエピソードが続いていて、今回はちょっとテンポのずれた頭脳派・グリーンの推理劇。「はたらくおじさん」な知識の紹介もあって、子供衆には楽しいやね。あと、ジャッジで×ばかり出るワケじゃないってのも、当然なんだけど好感がもてた。エンディング前の装備紹介兼寸劇も笑えて、満足である。
 で、続く『ブレイド』なんだけど…ええと、僕ってひょっとして予言の才能があるんですかね?2月22日の冗談が、見事に現実化してるんですけど?なんかもう、どう言い繕いようもなく脚本が雑だって点で。こういう予言は当たって欲しくなかったなぁ。つーか、鏡の中からモンスターが来て契約できないかなとか思ってしまいますね、予知を外すべく闘うために。<命がけでやることか
 あと、カメラもヘタなのか何なのか、女性を綺麗に撮らないのがすっげぇ不満。特に今回、橘の回想の中の小夜子がライティングも角度も最悪だった。思いの中の女なんだから、三割増ぐらい綺麗でもよかろうに。もっと腕を磨いてくださいなスタッフの皆さん。


3月23日(火) 晴

 健康診断を受けに行く。年が年なので、内臓検査付きフルコース。妙に軽快なノリの係員に案内されレントゲン室へ入り、終わるとすぐに造影剤を飲まされた。で、機械に乗って、さてバリウム。まず口に含んで、少し待って飲んで…って、え?これまでの検査だとイッキ飲みだったんですけどダメなんスか?
 指示されるままに右へ左へ動きながら撮影。合間に流動体を飲み込み、さらに右往左往つーか右顧左眄つーか。やがて台が動き出すと、今度は斜めになった所での方向転換を指示される。あの、頭が下の状態でこれは難しいですよ。
 しかし文句を言える筋でも無く、もとよりそんな暇は無い。かくて必死に号令に従い、終わった時には大汗をかいていた。なんというか、斬新なバリウム検査でしたなぁ。

 午後、ちょいと時間ができたので、久しぶりに作業部屋へ。本を片付けながら奥へと進み、ポリパテを発掘。が、放置期間すること約半年というのはゴムパッキンつき保存ビンに入れていてさえ長すぎたらしく、溶剤が抜けてガッチリ硬くなってしまっていた。仕方が無いので、スチレンモノマーをふりかけて少し練り、その後硬化剤を加えてみる。硬さは…ん〜む、微妙としか。とりあえず暖かい部屋へ持ってきたが、いっかな固まる気配が無い。これは北海道弁で言うところの「アメてる(腐ってる、ダメになってる)」状態ですかねぇ。しかし柔らかさといい色といい、ふと午前中の検査の産物なんぞを彷彿とさせるシロモノなのに気付いていささか憮然。あっちとは違ってきちんと固まってくれますように。
 …て書いてて言うのも何だけど、下品な日記だなぁ。


3月24日(水) 晴

 『鋼の錬金術師 7(荒川弘/著、エニックス)』購入。ほどよく意外性を効かせたヒキの強い展開、テンポよく歯切れよく飽きさせない話の運び、シリアスとギャグが混在しても緊張感が薄れない語り口と、いずれをとっても絶妙の出来。正しい少年漫画ここにあり、という印象だ。
 既刊に比べ、見せ所が多い気がする。アルの誘拐はその序盤からしてキメラたちとの掛け合いが楽しいし(軽快に走るアルがナイス!)、その後を盛り上げるイズミ先生対グリード・先生のダンナ(シグ)対アームストロング少佐の場面も、それぞれ隙無く決まってる。いや、後者の場合、隙間無しというかあっても入りたくないというか微妙なトコロではあるが。
 で、もちろんというべきか、大総統のアレは…何かあるだろうとずっと思わせといてってのはお約束なんだけど、コレが出てくるとは正直思ってませんでした。うまいこと裏切ってくれて嬉しいなあ。
 さて、残る謎といえば、やはりホムンクルスとその創造者たる「お父様」か。ラスト(性欲)・グラトニー(暴食)・エンヴィー(嫉妬)・グリード(強欲)ときて、名前だけ登場のスロウス(怠惰)。残すは高慢と激怒らしいけど、はて「彼」はそのどちらなのやらと相まって、ますます先が楽しみっす。
 あと、期待していた外伝も、それ以上のモノだった。妹については前情報で知ってたし父親も想像してたけど、よもや母親が…うーん、メンデル先生って偉大だなあ。少佐、今度はお姉さん(しかも複数)を紹介してください。

 とかとか昼休みに読みふけっていたら、相方からメッセンジャーが来た。なになに?
 「待ちきれないからコンビニで買っっちゃった〜 ♥ 」
 ……ええと…キミ、馬鹿でしょう?知ってましたけど。


3月25日(木) 晴

 『鋼の錬金術師』初回特典の中身についてヒロツさんちのチャットで聞き込み、描き下ろしマンガ入りと知る。スケジュール帳は必要ないのでパスしたのが、こうなっては悔やまれる。うーん悔しいぞ口惜しいぞ如何にせん…と思い迷う暇も勿体無いんで、通勤途上にとっとと購入。無駄遣いとか言わないように、昨日ダブった分は会社で上司に押し売り済みだ!
 ねこま「司葉クン…キミもしかして大馬鹿でしょ」
 ふ、今更なにを仰いますやら。<開き直るな

 で、肝心な中身だが、やはり40面下げてスケジュール帳として使用はできないなと。ただ、これまでに本誌を飾ったカラーイラストが使われているので、画集を買うほどでもないけど絵柄が好きって人間としては結構嬉しかったり。あと、これが重要なのだが、年齢が邪魔してこれを使えない向きのための「だんでー」なイラスト・説明マンガつきが組み込まれている。どうしても使いたい向きは活用されるも良かろう。いや、僕は謹んで遠慮しますけどね。
 ついでに本体も再読し、改めてネタの詰め込みっぷりに感心する。戦闘どころか1対1のファイトでさえ数話にまたがるようなコミックが多い中、徒に引き伸ばさないどころかバッサリ割愛する思い切りのよさは爽快だ。だからといって軽く見えないのは、映画ならばエキストラ程度のキャラクターにさえキッチリ性格付けをしてあるからだろう。またそれを、あっさりと(文字どおり)切り捨てることで、相手のスケールというか容易ならなさを見せ付けている。ある意味すごく贅沢だな。
 わけても「人の手で人ならざるモノに作り変えられたモノたち」グリード一味のキメラ達は登場早々の会話だけでキャラが立っていて、妙に陽気なその姿勢が雑誌別冊で読んだデビュー作のモチーフと重なったりもするもんだから、ついつい思い入れしてしまう。せめて1人は生き延びられるといいんだけどねえ…ダメかな。
 あと「彼」については折り込みチラシの予告で「憤怒(ラース)」の名が口にされてたけど、はて本人なのかな?という疑問が残る。だってねぇ、年がアレだし。傷跡があるってのも微妙だ。夏侯淳よろしく食ったら再生した…ってことじゃなかろうなとかバカネタを考えつつ、さてゆっくり3周目に入るか。

 一昨日のパテはまだ固まらない。手には付かなくなったものの、いまだに中がふにゃふにゃした感触だ。とはいえ、全然固化しないワケじゃないんだから、使いどころはそれなりにある、貧乏モデラーとしては嬉しいことと考えるべきか?しかし時間のほうが致命的に貧しい状況だから、いまいちトレードオフできてないんだけどな。


3月26日(金) 曇時々雨

 『霊峰の血 上・下(エリオット・パティスン/著、三川基好/訳、ハヤカワ文庫)』読了。中国制圧下の現代チベットを舞台に、故国を逐われ収容所送りにされた元捜査官が殺人事件を解き明かす…のが本筋なのだけれど、過去のシリーズにおいてこうしたミステリ色はあまり強調されてなかった。どちらかというと、事件は主人公を抗えない流れに押し出す起爆剤に過ぎず、その先に待つのは破壊された文化や人心のもつれるままのゴルディアス、読み手はともに無力感をかみしめながら糸端をなぞるのみ、せめて少しは安かれと祈るしかない、そういう切なく苛立たしいカタルシス皆無の作品だったのじゃないかと。なにせ、解いたところで救いもほとんど無いし。
 しかし、今回は少し趣が違っている。殺人、拉致、盗難などの表層をもって現れた事件群が、物語の進行とともに異なる相を見せ始め、周囲で蠢く人や組織を巻き込んで「解くべき謎」として明確化してゆく。その中で主人公サイドに奇妙な道連れや協力者が現れたことで、当局に追われる事態は変わらないまでも、事件を追う「探偵」役をしっかりと務められるようになっている。もちろん権力どころか腕力にすら訴えることのない/できない探偵ではあるのだけれど、サスペンスに富んだ冒険小説的なテイストは、己の立場、己の方法で征服者に立ち向かう人々の姿と相まって、従来になかった一種の明るさをこの物語に与えている。
 もっとも、シリーズを貫く破壊の姿は、相変わらず惨たらしい。他者の価値観を認めない集団が力を持つとどうなるか、そして被害者のみならず、他者を破壊するうちに己も破壊されてしまった人々の浅ましさおぞましさ痛ましさは、前作以上に仮借なく描かれていて息苦しいほどだ。ことにも、それに気付いてしまったある軍人の悲哀は涙を堪えられない場面だったと思う。
 ただ、あえて苦言を呈すると、これらの明暗織り交ぜたファクターのおかげで話が読み易くなり、かつは「物語」らしさを際立たせてしまったように思う。感動しつつもウソクセーと感じてしまうのは、ちょっと不本意だった気も。まぁ、物語だからこそ小さな奇跡が許されたっていいだろうと、僕の中の皮肉屋に反論しておくとするか。
 それにしても長かった重かった、通勤の友にして2週間かかっちまいましたぜ。リアルタイムで主人公たちに付き合ってチベット山中彷徨した気分です。いつか現実に訪問してみたいものですな、もちろん征服者のいないかの地を。


3月27日(土) 晴

 急激に暖かくなった一日。雪はほとんど消え、室内でも火が要らないほどだ。うむ、これが話に聞いていた春か。まさか実在したとはなぁ。
 とか長すぎた冬にボケたところを開陳してる傍らでは、ねこまが季節はずれの風邪をひいて冬眠中。間を置かず周囲に集まる猫どもを眺めていると引き込まれる危険があるので、とっとと隣室へ逃げてパテをこね、硬化時間を待ちながら洗濯を始める。風邪引きには湿気が加わってちょうど良かろう。パテ臭いのは、え〜と…まぁ寝てるから分からんべ!<をい

 PS2ゲーム『ネビュラ 〜エコーナイト〜』をプレイ。2月23日以来、約1ヶ月もビジーしてたんだと妙にシミジミしつつ月面基地へと足を踏み入れる。し、静かだなあ、暗いなあ、でも電池無くなると嫌だからライトは節約しなくちゃ。えーと、とりあえず進める方向へ…ん?誰か居る?こっちへ来る?何だこいつはあぁぁああうひゃああああ!
 と、出くわした悪霊に文字どおり魂消つつ逃げ出す。うーん、これぞ「エコー〜」シリーズの醍醐味である。つーかドア越えてついて来ないよな?な?<肩越しに振り返り中
 がしかし、その後で出会った亡霊氏との会話で、ちょいと興が醒める。なんだかな〜、この人妙に冷静なんですよ。一方的に自分の探し物してるだけのこれまでの霊と違って、対話が成立しちゃうし。状況分析して、あげく自分を殺した悪霊の心配してるし。つーか何より、ドア前から退く時に僕を押しのけて行くんですけど?いいのかそれで?亡霊なら素通りしろよ!んでもって同じ座標に立っっちゃたりして!いや、それはキモチ悪いからいいですけど!<どっちよ
 あと、イベントシーンになると視点が自分から第三者に切り替わるのが難かな。せっかく延々歩き続けて嫌でも感情移入させられてたのが、急に我に返らされるのはいかがかと思う。主人公と一緒に心拍数上げてポックリ、ってのを心配してるんだとしたらお門違いですぜフロムソフトウェアさん。鋼鉄製の心臓に毛が生えてるような人種を想定して、背筋に氷柱が生えるような作品をお願いしますです。


3月28日(日) 晴なれど強風

 番組改変期のこととて、テレビ欄に(終)マークが目立つ。がしかし、眺めている限りではどーでもいい終わり方が多いなぁ。ずっと観ていたあたりでは『ポポロクロイス』なんか酷かった。使い古された「千日戦争→自己犠牲」パターンで幕ってぇのは手抜きじゃねぇですか?「友達のお母さんが死んで終わり」は、ゲームからのこのシリーズの世界観にはそぐわないと思うんだけど、いかがざんしょ。
 で、これがアニメばかりかというと、実写のほうも似たり寄ったり。特に原作とも映画とも違う路線を往くかに見えた『砂の器』は、最終回に至って「ぽえんぷしゅう」ってな不発っぷり。最終回・前編に刑事のナレーションで延々「情」を語っておいて、結局動機が単なる保身じゃ、何の新味も無ぇでしょう。そもそも父子の情景が旅路の辛さよりも風景の美しさや互いの愛情を見せるに偏ってたように見えるし、ならばいっそ大幅に逸脱して、それが「父親の意思=唯一示せる愛情」とかってベタにしちまったほうが盛り上がったのじゃなかろうか。タイトルについての言及をまるっとカットしちまうぐらい思い切ったんだから、もっと驚かせて幕を引いて欲しかったと思いますです。
 …む。いつもの日曜の特撮はどうしたと?いや、えーと、とっとと終わってほしいレベルに堕した脚本には何も言えませんぜ。あえて何とは言いませんが、『デカレンジャー』のほうは今回前編だし、ね。<言ってるも同じだ


3月30日(火) 曇時々雨

 出勤途上に本屋に寄り『バルバラ異界 2(萩尾望都/著、小学館)』をゲット。さらに文庫コーナーでは再版なった『グール(マイケル・スレイド/著、大島豊/訳、東京創元社)』に遭遇。嗚呼、恵まれた朝であることよのぉ。これも「えすえふ」と「すぷらった」の神の思し召さるるところであろう。微妙にイヤな神ではあるが。

 『猫は川辺で首をかしげる(リリアン・J・ブラウン/著、羽田詩津子/訳、ハヤカワ文庫)』読了。今回は新しいホテルで夏を過ごすクィララン氏。しかしいわくつきの旧家を改装したホテルからは割れた鏡つきの家具が発見され、その不吉さを証明するように殺人事件が発生。さて真相は?
 例によってミステリとしては歯応えゼロだが、アメリカの地方都市の暮らしやイベント、常連化したキャラクターたちの描写などが普通に面白かった。あと、猫の「ご託宣」が、あまり大仰に取り上げられていないところも読み易かったな。この話の主眼であるのは承知してるけど、妙に神がかりにソイツを前面に押し出されると、少々えぐ味が強くなる。あと、話中でのそちら系担当者、一時期はシリーズそのものを嫌いにしかけたポリーおばさんが出てこないのも個人的に歓迎。悪戯?らしい旅先からの葉書だけで十分っす。つーか、いいトシをして内容を選べよ、と思わないでもないけれど。キツい物言いかも知れんけど、猫好きと猫馬鹿は歴然と違う人種だし、僕は後者とは相容れないのだよな。たとえそれが小説の登場人物であっても。



翌月へ






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