店主酔言

書籍・映画・その他もろもろ日記

2004.4

 

 

 

 

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4月1日(木) 晴

 最近とみに増えてきた(職場の外向けアカウントも取っているので、日に数千単位でやって来る)スパムおよびウイルスメールを処理していたら、ちょっとしたミスでノートン先生にメールログを没収されてしまった。や、ヤバい!去年の今ごろからバックアップ取ってねぇぞ!返せ戻せ!こら後輩「持ってかれた!」はハガレンごっこの合言葉か!「安全との等価交換ですねっ ♥ 」じゃねえよ!嫌だこんなヲタ会社!うっきーっ!
 と、午前中いっぱい騒ぎまくってようやく解決。ヒジョーに疲れたっす。エイプリルフールなら良かったのにな。


4月2日(金) 雪

 コンビニで新手の玩具&食玩を見つける。前者は「青春のオールナイトニッポン(タカラ製)」というラジオのミニチュアで、懐かしいあの番組の音が出るという。さっそく1つ購入したところ、オープニングテーマの流れるタイプ1だった。IC再生のひび割れた音が、うまい具合にノイズかぶりのラジオに聞こえるのはナイス。モデルとしての作り込みも上々、これで1/6サイズだともっと嬉しかったんだが…って、そりゃ幾らなんでも無理ですな。すいません。
 食玩のほうは「懐かしのアニメソングコレクション(ブルボン)」。『リボンの騎士』『ジャングル大帝』『海底少年マリン』と、確かに時代を感じるラインナップである。が『北斗の拳』の「ハート・オブ・マッドネス」はちょっと違和感ないか?しかもこれ、TVファーストの主題歌じゃなくて、確か映画かクールが変わってからのテーマ曲だったんじゃなかったっけ?
 ちなみに僕が引き当てたのは『魔法使いサリー』。ワンコーラスしか入ってないのに又もや首をひねる。TV放映では2番までやってませんでしたっけね?う〜ん、思い出せないなぁ。

 せっかく乾いた路面を埋め尽くした冬将軍の反撃に、いささかひるみつつ帰宅。南のほうでは桜が散りつつあるというに…と思いつつ、見上げる風花はしかしそれなりに美しくもあるか。暴れる猫を捕まえて簡易炬燵で雪見を決め込みますか。


4月3日(土) 晴

 『グール(マイケル・スレイド/著、大島豊/訳、創元文庫)』を一気呵成に読了。久々のヒットだった。再版だし、これに続く『カットスロート』『髑髏島の惨劇』『暗黒大陸の悪霊』は既に(しかも逆順で)読んでしまってるのだけど、それらの濃密な記憶も全く邪魔にならない。後味すっきり、スカッと爽やかスプラッタ(なんじゃそら)ですぜこれは。残る『ヘッドハンター』もなんとか読みたいもんです。
 いずれも異常きわまりない三様の人殺しがロンドンを蹂躙。その頃大西洋の向こうカナダでは、麻薬の捜査を発端に奇怪な殺人事件が露見していた。しかも、切羽詰った捜査員達がたぐった糸の先は、怪奇小説とロックに彩られてアメリカの「あの」街にに続いていた!
 と、この筋立てを構成する風景が断続的かつ多面的に語られてゆくのだが、油断すれば散漫になりかねないところをスピード感と起伏で読み手を引き付ける。また、吸血だの斧で斬殺だの酸の風呂だの人肉ミンチだのといった苦酸っぱいエッセンスも随所に散りばめられていて、気を逸らされる暇がない。そして仕上げにふりかけられてるのが、かねて見知ったホラーな世界の断片とあっては堪えられないものがある。ただ、固有名詞の訳が一般的なソレではないのが、ちょっと難ではあったけれど。
 ついに明らかになる犯人像は「おいおい」と思わないではないけど、そこへ至るまでの展開がそれまでにも増してジェットコースターなので気にならない。それに、最後の最後に現れる仕掛けの意外性は、本当に久しぶりの「脳髄背負い投げ」ミステリだった。満足この上なし…って、こういうモノ読んで嬉しがってると人品を疑われるかもしれませんけどね。<誰も疑問もたねぇよ


4月8日(木) 晴時々曇

 雀が身丈ほどの枯草と格闘する姿をほほえましく眺めつつ出社。巣材を集める時期なのだな。ヒトはひたすら眠い季節だが…。

 と、職場で数時間を過ごし(をいっ)帰りの車中で『さよならの接吻(ジェフ・アボット/著、吉澤康子/訳、ハヤカワ文庫)』を読み了える。
 コージー・ミステリには2つの側面がある。1つは陽気さ。小さなコミュニティを構成する、かねて見知った親しい人々、それも能天気な面々の中での気の置けないドタバタ喜劇。殺人が絡んでさえ失われぬ明るさ、タフにしたたかに状況を楽しんでしまうお馬鹿っぷりに、ふと訪れた見物人として笑い転げつつ付き合ってしまう。
 そしていま1つは、前者の要素の下に潜む、思いがけない陰が暴きだされる陰鬱さだ。倦み疲れるほどに単調な日々の暮らし、その中で身近な人間達に潜む弱さ、卑しさ、残酷さ、そして胸に抱えた黒々とした闇。そんな中、事件によって思いがけない裏切りや欲望が露わになり、生臭くどろどろした膿になって傷に溜まる。訪問者は我が身の周囲を思い合わせてうんざりしつつ、けれど物語の先が気になって立ち去れない。
 で、アボットは思いっきり後者に属するタイプなんだよな。『図書館』シリーズでめいっぱい味わったそのテイストは、本作でも健在。って、ちーとも健やかじゃないですけども。真相の醜さといったら旧作に輪がかかってますよ土星よろしく。
 ただ、今回の作品には笑える場面も多々あるし、主人公の傍にいる謎たっぷりの友人が「そこだけハードボイルド」な快刀乱麻の活躍を見せてくれるのも爽快だ。続編もあるとのことなので、邦訳を楽しみに待つとしよう。読み始めるときはきっと覚悟が要るだろうけどね。


4月9日(金) 曇

 会社で健康診断の結果を貰う。ふむ、大きな異常は無いとな。確かに数値も一般的だし、昨年に比べて特に悪くなった箇所も無いようだ。しかし…ナンだな、その、性別が違いますよ。
 ちなみに所見欄には「軽度の変化がみられますが日常生活に差しつかえありません。但し食事は偏食にならないよう気をつけてください」とのこと。そうか大したことじゃないですか差しつかえありませんか、環境ホルモンとかで喧しい世間さまに聞かせてあげたいものですな。

 『しゃばけ(畠中恵/著、新潮社)』読了。童話と小説の間の微妙な位置にある書きっぷり。ジュブナイルとしては結構だろうと思うのだけど、人物や風景の描き方にどうも食い足りないものがある。まぁ、江戸を見る点については時代小説大好きの視点から文句をタレられても困るだろう。けれど、わけてキャラクターの出し方に時代も風俗も関係の無い不足感があるのは大きい瑕だ。
 たとえば妖たちに物神が多いってのに、それに依る個性特質長所弱点の記述がほとんど無い。主要な2人(あ、違うか)については本性を見せないおかげで何がどう強いのやら説得力が無い。またヒトとかれらの差異も地の文で述べられてるほど大きく感じられなくて、輪郭しか思い描けないのだよな。なんつーかな〜、表現としては悪いけれど、コミック『百鬼夜行抄(今市子/著)』の江戸時代版を描こうとして用意されたネームみたいな感触だった。シリーズ化されてるそうなので、続きを待ってそこらが埋まってるかを確かめるとしようか。

 口直しに、短編好きの性質と訳者&イラストレーターの名に引かれて買った『極短小説(スティーヴ・モス/編、浅倉久志/訳、和田誠/絵)』を読む。残念ながらこれまた不足。55語という尺を決めての物語という規定の中での苦心っぷりは興味ぶかいけれど、それが「お話」としての面白みを出せているものがほとんど無いんだもんな〜。時にニヤリとさせられるもの、声を出して笑えるものもあったけれど、それが片手で数えられる程度じゃあアンソロジーとして編むにはどうかと。巻末で訳者が提言されている日本語版の実現と、それにも同じイラストレーターの絵がつくことを期待して処分用の箱へシフト。


4月11日(日) 晴

 『深海蒐集人 2(かまたきみこ/著、朝日ソノラマ)』を読む。沈み行く世界で生きる人々を、新たな生活圏である海の側から活き活きと描いて楽しい。2冊目とあって状況よりもキャラクターで読ませる部分が増えているけれど、それもまた良し。鎖国して奇妙な文化圏になった日本ってあたり『トーキョーNOVA』なんか思い出してにやり笑い。いや、アッチの世界じゃ海に生きるのは無理ですけどね。

 『ネビュラ 〜エコーナイト〜』プレイ再開。新区画に入るごとにモニタールームを探して駆け込み、息を整えつつカメラを操作し、彷徨う亡霊たちを眺めては「これからあそこへ行かねばならんのか〜」とオゾ気をふるう。おまけに霧のあるとこ何処へでも出現する徘徊悪霊までいて、危険度うなぎのぼりレッドゾーン。亡者まみれの基地はまさに「月は地獄だ!」ってトコですか古いですかそうですか。
 とはいいながら、あまり怖さが無くって進むほどに怖さよりも徒労感がつのるのは艶消し。基本的にお使いミッション、カメラで確認した換気装置へ走って悪霊を鎮め、亡霊の望みを聞いてアイテム探しに出かけて行き叶ったところでキーアイテム貰ってまた先へ進んで…というリピートはダルいよ疲れるよ。風景の単調さアクションの遅さもあって、いっそ眠気さえ催してしまう。で、それを解消しようとてか、上でふれた徘徊悪霊が唐突に襲ってくるんだけど、攻撃が見えない(唐突にショックがあり、視界が暗くなって心拍数がどどーんと跳ね上がるだけだ)もんだから、これまたやっぱり怖くない。せいぜいがとこ、出口探しに慌てるくらいだ。えーとえーと、この部屋入って右に来たから左へ曲がって壁沿いに…お、死んだ。うーむ、死に様もイマイチつーかシンプルで淋しいなぁ。『キングスフィールド』ほどじゃなくてもさ、なんかイヤな演出が欲しいですよ。
 以前の2作も「お使い」なのは変わらなかったが、犇くように迫る闇やその中からざわあっと浮き上がって襲ってくる悪霊の姿にはゲームと分かっていても本能的に逃げ出したくなる恐怖感が伴ってて、それがこのゲームのキモだった筈。システムやデザインの向上は嬉しいけど、大事なトコを見落とさないで欲しいっす。


4月12日(月) 雨のち曇

 楽しみに待っていた食玩『ズーラシアランチ』を求めてコンビニからLoftへと渡り歩くも見当たらず、がっかりして帰宅。「月曜から全国で」と海洋堂のページにはあったんだけどなあ。当地はいまだにロシア領なんだろうか。(注:そのような過去はありません)

 夜、『ネビュラ』の続きをプレイ。徘徊悪霊にうんざりしてコントローラを投げる。目を皿のようにしてモニターをチェックし、居ないのを確認してエリア内へ駆け込んだのに速攻で鉢合わせってのはどういうこったい!カメラに襲い掛かるのはやめて死角をうろつく事にしたんか!ソリッド・スネークかおまいは!
 いや真面目な話「事前確認→対策検討」ってのがこのゲームのルールなのに、複数箇所でそれをほいほい破られてゲームオーバーってのはアカンでしょう。いつぞや『キングスフィールド4』でしつこいバグに苛立ったけど、今度のコレはさらにムカつくものがある。コンピュータの癖にズルすんなぃ!ってことですね、たぶん。


4月14日(水) 晴

 『ズーラシアランチ』発見。通常活動範囲に無いローソンは盲点だった。
 さて、全9種類のくせに1箱は8つ入り。つまり例によって意地悪アソートならんと疑いつつ、さっそく4つほど試し買いしたところ、最初の1個で期待していたキンシコウが出現。ガラス越しに小さな女の子と観察し合う(?)ユニークなポーズである。実際、動物園に行くとよく見かける光景だよな。ヒトの子供のふっくらした顔立ち&あどけないプロポーション、対するおサルの柔軟な体つき、いずれも見事な出来栄えである。塗りも見事、特に後者は「変なイキモノがいるな〜構ってやろうかな〜なんかあったら飛んで逃げようかな〜」ってな後者の表情を出していて申し分なし。<っておサルかよ!
 他はインドゾウ、シロフクロウ、ドゥクラングール。ゾウはちょっと地味だしサルがコミカル演出で趣味に合わなかったりするが、飛翔するフクロウの翼の表現がとにかく素晴らしい。ある映画を観てから大好きになった生き物だけに嬉しさひとしお、とりあえずケースの前面に並べて日夜拝むことにした。
 あ、某魔法使い少年ネタじゃないですよ。ジェニファー・コネリーの美少女っぷり際立ちゴブリンどもの造形に瞠目したアレっす。なんでDVD化してくれんかな〜。

 とかあらぬ方向へ文句たれつつ帰宅したら、ねこまも動物たちを買い込んでいた。内容はアカカンガルー&セスジキノボリカンガルー、それとオオアリクイが3つ。同じ箱から並びを取ってこの有り様という。うわー、やっぱり鬼畜アソートかよ!勘弁してくれ!
 がしかし、子供をおぶったアリクイ母さんの姿はなかなかキュートである。背景にしてある石組みがメキシコの遺跡風なのもよい雰囲気。つか件の動物園にあるんですかね、こういう情景。そもそも情景作りと動物にとっての快適環境をマッチングさせて名高い施設、一度訪れてみたいもんである。んで園内限定版を購入。<結局ソレか

 『風の向くまま』『夜の静寂に』(いずれもジル・チャーチル著、戸田 早紀/訳、創元文庫)を読了。一昨日から通勤の友にしていた1作目を読み終え、すぐ手を出した2作目を3時間ほどで片付けてしまったやつである。いや〜面白かった!って前作のほうは2002年の8月に買って、積読本にしといたモノなんだよな。なんたる不明。まぁ続きが出るのを待ちわびなくて済んだから結果オーライよかった探し@ポリアンナでしょうか。
 さてこの作者には「主婦探偵」ジェーンのアメリカ生活感満載シリーズを楽しく読ませてもらったが、今回は主人公が少しく浮世離れのした元ブルジョア階級、時は大恐慌時代ときた。しかし背景描写が細やか、かつ読みやすい文体にさりげなく散りばめられ、でありつつ個性あふれるキャラクターも夫々しっかりと描き込まれているものだから、ひと時代前の世界へ入り込むのは極めて容易だった。いや、まぁ、元金持ちではないけど貧乏暮らしと不況が妙に身近に感じられるせいもあるかも知れませんけど。嬉しいような侘しいような。誰か僕にも遺産くだせぇ。
 ただ、ここまで綺麗にまとめられたものの、謎の濃度がジェーン・シリーズに比べてちょっと薄めなのは残念。犯人・凶器・アリバイ動機、どれをとっても簡単に見えすぎて、ミステリとしては物足りない。あまり馴染みの無い時代と場所へのタイムトラベルとして、ナイトキャップにお勧めしたいところかな。
 ところで砂原弘治氏の手になる表紙イラスト、中身に似合うカロヤカなタッチで、しかも読み終えた後でニヤリ笑ったり「うむうむ」と頷いたりできる構図が素敵なのだが、主人公たちの髪の色が違うのがなんとも惜しまれる。つーかこれは原作者の責任だな、設定無しで書き始めたんですかひょっとして?


4月15日(木) 晴

 出勤途上にコンビニへ立ち寄り、また『ズーラシアランチ』購入。小さな動物型クラッカーを朝食代わりにうまうまと食いつつ、さて開封。
 オオアリクイ×2。
 物欲神よ、これは僕に戦隊モノでも作れという思し召しでしょうか?作ってもアリクイじゃ勝てない気がしますが?あ、でも全員子持ちのかーちゃん集団なら結構イケるかも…って考えてどうするわし。
 ともかく、トラを手に入れるまでは頑張らないとな。なにせ相方がご神体として飾りたがっているのだ。飾ったからって連続優勝なんて奇跡は、たとえ彗星が月にブチ当たって宇宙へ弾き飛ばしても起きないと思(殴打略)


4月16日(金) 晴

 アニメ『鋼の錬金術師』先週&先々週分をようやく観る。オートメイル職人の町ラッシュバレーでのエピソード、こうなりましたか。まぁ、アカンボとりあげパニックを他でやっちまったら、残るファクターを組み合わせて工夫するっきゃないワケで、そういう意味合いでは上手に処理されてました。義父娘になっちゃったオヤッサンとパニーニャの情の通い方も、そこそこ好ましい雰囲気でしたし。
 でも、しかし、されど、ですぜ。
 ウィンリィのキャラクターが滅茶苦茶ですがな。「それ」にどういう意味があるかを承知でエドの時計を取らせる、人をけしかけ競わせる。挙句「一生不自由させないから」とエドにオートメイルで生きるよう勧めるって…あの〜、それってアルには鎧のままでいろってことですが?そこらをキッチリ承知のうえで、なおかつ見守る辛い道を選んだ娘とは思えません。なんかの伏線ですか?
 先週分はイズミ先生の「拳で語る」人となりを観られて楽しかったのでオッケー。最後の「ごめんなさい」の代わりに、くしゃっと子供の表情になって泣くってぇ演出もアニメならではでしたな。
 さて、明日はリアルタイムで観られるとよいのだが…。

 相方が買ってきてくれた『ズーラシアランチ』を開封したら、未入手のカンムリシロムクが登場。目の周りに空色をたくわえた純白の鳥は、小さな模型のくせにとても美しい。また、止まり木としてデザインされているバリ島のお面(たしかバロンって獅子面だと思った)がまた、無駄に上出来。細工はもちろん、細いラインまで手を抜かれてない塗装が妙技の域に入ってる。やっぱ海洋堂&中国工場の人たちって、手が脳味噌と直結してるにちまいありません。


4月18日(日) 

 地下世界、ことに都市の下に存在するそれに人が引き込まれる、或いは入り込まざるを得ない物語に惹かれる。古くはラヴクラフトから『地底大戦 -レリック2-』『アンダードッグス』などの現代物まで、それがメインの舞台でなくほんの数シーンであっても、ひたすら魅せられてやまない。ごく当たり前の生活が営まれるすぐ近くに闇塗られた世界があり、けれど彼我を隔てる距離は膨大な質量の厚みに埋め尽くされている…と思うだけで胸が高鳴る。その圧迫感閉塞感、錆と汚泥の臭気、時を経て脆くなった構造物の頼りなさ、命を脅かして走り抜ける地下鉄の中には日常があるのに決して手をのばすことはできない絶望感。そんな中で、背後から迫ってくる何者かの気配。いや〜、萌え、もとい燃えます。こういう心理って何処で培われるんでしょうね?やっぱガキの時分、押入れに潜って懐中電灯で読書に勤しんでたせいですか?<それも結果ですがな
 ってことで『マンハッタン狩猟クラブ(ジョン・ソール/著、加賀山卓郎/訳、文春文庫)』を心楽しく読了。無実の罪に落とされた青年がニューヨークの地下を逃げ回るというメインストーリーに、彼を追うもの探すもの、世間から弾き出され或いは背を向けた者たちといった周囲の描写が見事にマッチ。退屈しないサスペンスになっている。また、大都市ならではの問題や法の暗部も巧みに織り交ぜられ、読み手の共感をよぶものがある。いささかステロなきらいはあるけれど、勢い良く読み下すにはこのぐらい分かりやすいものがいいよね。
 結末は、多少苦味は効かせてあるものの勧善懲悪で単純といえなくはない。それでも綺麗にまとまっていて、読後に嫌な感触を残さないのは良しといえよう。まぁ、勢い&雰囲気良けれど結末バラバラなホラーを多作してたソールゆえに点が甘くなってるかもしれませんけどね。

 さて次は『地底迷宮(マーク・サリヴァン/著、上野元美/訳、新潮文庫)』だ。こっちは天然の洞窟なんで、どこまで萌えるか(おいっ)分かりませんが、まずは潜ってみるといたしましょう。通勤途上の地下鉄の中で。

 今日はまた『百鬼夜行抄 6(今市子/著、朝日ソノラマ文庫)』も読む。例によって簡潔にして美しい絵柄と物語の妙に読み入って時を忘れる。特にある人物の帰還にまつわる話はミスディレクションが見事で、しっかり騙して脳髄背負い投げを食らわしていただきました。あと、廃屋探検ブーム以前にそういうことしでかしてたガキとしては「マヨヒガ」がすっげぇ怖かったっす。
 それにしても本シリーズ、いまだに単行本で買おうかどうしようかと迷いっぱなしなんだよな。早く先が読みたい気持ちに急かされてはいるんだけど、なにせスペースがねえ…何処かの廃屋で取り残された仏像でも見つけたら、宝くじが当たって広大な屋敷に引っ越せたりするかしらん?<ヤメレ


4月21日(水) 曇

 『地底迷宮(マーク・サリヴァン/著、上野元美/訳、新潮文庫)』読了。結果、萌えませんでした!
 と、のっけから誤解を招くようなことを口走ってるが、非常に面白い話なんである。
 とある山地の地底に横たわる全長数百キロの巨大洞窟で、ある特殊な目的を帯びた宇宙開発のための訓練プロジェクトが開始される。そのさなか、脱獄した殺人犯集団が侵入。実は、両者の間には思いがけない関係が…という設定だけでも十分に興趣をそそるし、さまざまなファクターや関わる人物達もしっかりと書き込まれていて感情移入度を上げる。特にキーアイテムの素性とその能力は未来に夢を馳せ星空へ憧れを映す人間には魅力的だし、またメインキャラクターの半数近くを占める「学者バカ」たちの人間模様が切なく苦々しく或いはほほえましく、話の流れ行く先での変化を含めて読ませるものがあった。映画化の予定があるらしいが、伯父甥コンビの活躍はぜひミッチリとお願いします。<贔屓らしい
 で、そんなに面白かったのに何故「萌え」いや燃えるモノが無いかっつーと、ぶっちゃけ怖くなかったんだな。あ、いや違うな、広漠たる空間やそこを占める闇、巨大な顎のように通るものを捕える石壁、数千数万の時を経ていながら一瞬で様相を変え危険をもたらす水の流れ等などは確かに怖い。が、それはどっちかっつーと「畏怖」寄りな恐れであって、都市型ダンジョンに潜む「恐怖」とはまるっきり質が違うということなのだ。んで前者については、田舎育ちの子供だった身は何度かリアルで体験する機会があって、その感覚に馴染みがあると。しかも、それを忘れない限り滅多に危険は無いということもうっすらながら肌身で理解してるわけで、そういう奴が「恐怖」を愉しみたいと思ったら、このテの話はお門違いになるしか無いわな。同じ高みに登るのでも木の枝とビルでは怖さの度合いが違うってこってすね。


4月22日(木) 晴

 リーメントの新製品『ぷちスーパー』を箱買いして帰宅。いわずと知れたねこまへの貢物である。さっそく開封。
 ねこま「って、自分で開けてどうするかな」
 …ま、気にするな。
 まず中身のデキだが、今回も非常に良い。もともとスケールの整ったミニチュアサンプルとして上出来な造形だったが、前回あたりから塗りも気合が入ってきて、今回に至っては構造まで本物に似せる頑張りっぷり。脱帽である。トイレットペーパーやゴミ袋、それにロールパン(美味そうなんだコレが)は1個ずつ取り出し可能だし、イチゴのパックは上にかかってるビニールまできっちり再現。チラシやPOP用のシールまでついていて、ディスプレイに凝らねばと妙な対抗意識?さえ喚び起される。
 また、基本5種類の1箱10個入りパッケージでは普通に考えると2個ずつダブる筈なのだが、一見同じと思わせて内容を微妙に変えてあるのがニクイ。たとえばレジの中にミニ札がしのばせてあるとか、1つだけ違う商品が追加されてるとか、細かな差でも違うものに見えてくるから不思議だ。後者はしかも「ぷち」シリーズ自体のミニチュアなので楽しさひとしお。鬼アソートの他社製品に、ぜひ見習って欲しいもんだ。そもそもスーパーって設定なんで同じ物が複数あってもOKなんだけど、こういう「オマケ」的な要素は嬉しいっすよ。
 …って待てよ、そもそもこれは食べ物のオマケの話なんだよな?


4月23日(金) 曇時々晴

 相方が食玩ならぬ飲玩『BIRDTALES(バードテイルズ)』を買ってくる。サントリーの天然水についているのだが、海洋堂サイトでは予定に1行入っているだけだったので見逃していたものだ。
 良い。
 まず引き当てたのが鶯なのだが、枝の又にかかった壷状の巣と、その入り口に止まった鳥の構図が本当に絵になる。どこから見てもいい。しかもそれを4センチ少々の高さ内で表現してるのがすごい。もう一つはルリビタキだったのだけど、こっちも営巣中のペアの配置が実に微笑ましいものだった。
 原型師は山本聖士氏、たしかチョコラザウルスを多く手がけられている人ではなかったか。なるほど、それで「チョコQ」松村しのぶ氏が監修についてるのか。きっと厳しいチェックと指導が入ってるに違いない、荒野で腰にタイヤ括りつけてダッシュとか破砕用の鉄球をぶっつけられるとか…って何を言ってるかな僕は。
 欲を言えばもう少し塗りにこだわって欲しい部分があるけれど、このサイズの量産品にそれを言うのはヤボってもんでしょう。つーことで明日から僕も頑張って購入することに。何を頑張るかっつーと、水の消費ですけどね。た、確かそういうダイエット方法もあった筈なんで、他の食玩で増えた体重の調整も兼ねてひとつ。


4月25日(日) 雪のち晴

 昨日からちらほら降っていた雪と風が収まるのを待って外へ。いや、ちらほらなんてぇ可愛いもんじゃなかったな、特に昨日は。風は時に轟音を上げて吹きつのっていたし、雪も水気をたっぷり含んで凍りつき、BB弾みたいなシロモノになっていたから。ゴールデンウィークを前にしてコレはないよな。
 そういえば、今年は花の咲き方も妙だ。雪解けが早くてフクジュソウだのクロッカスだのが早々と咲いたのは分かるんだが、樹につく種類の順番が例年と違う。通常は辛夷・木蓮がまず咲いて、それから躑躅や連翹に移ってゆくのだけど、ピンクや黄色は既にちらほら目に付いてるのに白い大きな花を未だに見ていない。アレかね、僕らの知らないうちに絶滅危惧種になっちゃったとか?昨今の世間を見るに、あながち有り得ない話でもないのが怖いわな。

 とか相方と会話しつつ、出向いた先はハンズ。朝のうちの悪天候で出足は落ちてるんじゃないかと思ったが、あにはからんや(おお古風)結構な人出である。おやと思って見渡すと、そっちこっちでミニ講座が開催中。そうか、ハンズデーだったか。
 シルバーアクセサリーとか苔玉とか、いまどき風なものが多いが、中には飾り台だのオロシガネなど、シブいというか枯れたネタもあって面白い。特に興味をそそられたのはアンモナイトの化石を削り出すというもの。真剣にノミと金槌をふるってる子供たちを見ると、かつての日、ハンマーひとつ腰にして某所の川をてくてく遡ったことが思い出されるのだよな。そう、手ごろな石を頭上に掲げ、他のヤツにガツンと叩きつけて破片が脚にめり込んだりしたっけ。良い子は真似をしてはいけません。
 まぁ、件の講座は子供たちよりも、その背後にきっちりくっついたお父さん方のほうが熱意のこもった目つきをしていて、それもまた楽しかったな。子供の肩越しに手を伸ばして作業を進めちゃう人もいたりなんかして。たぶん家へ帰ったら、子供が飽きるのを見計らって取り上げるつもりとみたね。う〜ん微笑ましい。<そうか?

 帰りしな、玄関前で実演していた曲芸用自転車(フランス製)に興味を惹かれ、試させていただく。
 一見、ハンドルとサドルが同じ高さでロード系?と思わせるのだが、構造は非っ常〜にシンプル。何がシンプルって、ブレーキが無い。そして、自転車ってのはハンドルを持って前輪を左右に動かし進路制御するもんだが、これは違う。なんと後輪が左右にふれるんだな。
 …乗れません。
 なまじっか自転車の形をしてるんで、ついハンドルを当てにするとぐにゃっと傾く。さればと手放し運転のつもりになると、ハンドルがお荷物になって操作できない。止まろうとするとブレーキが無い。一輪車より遥かに難しいっす。
 しかし、この難しさが逆にツボを刺激しまくり。この齢で自転車に初めて乗るような気分にもなれるせいか、妙な昂揚感さえおぼえる。うむ、これは買って、乗りこなせるまで特訓か?
 と思ったのだが、考えてみりゃ〜現在常用しているマイ自転車(7年ばかり使用)がボロボロになってて、そろそろ買い換え時期なんだよな。乗れるようになるまで2台置くような贅沢は、財布にも自宅スペースにもありゃあしねぇ。物欲神の思し召しに逆らって、今回は諦めることにした。ええ、今回はッ!<おい

 帰宅後『刻まれる女(デイヴィッド・L・リンジー/著、山本光伸/訳、新潮文庫)』を読了。陰鬱な展開、やりきれない無常感、救いの無い幕切れはどこかアルレーを思わせる。形作られた女性の姿に哀れみよりも嫌悪感を多く感じてしまう分、さらに口当たりは悪いかもしれん。よく書けているが、いやだからこそ、僕の好みじゃなかったなということで。




翌月へ






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