店主酔言

書籍・映画・その他もろもろ日記

2005.3

 

 

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3月1日(火) 曇のち雪

 久々に早く仕事が片付いたので、足取り軽くデパートへ飛び込み、桜餅と草しんこをゲット。うむうむ、これぞ春の色春の香り春の味。といいつつ目をやる戸外は、平年の五割増の雪がどかーんと積もってて、既に複数の集積所では標高ン10メートルの山が出来て満杯状態&夏まで融けないとのお墨付きなんだが。弥生3月、当地の春はいつになるやら。

 『八犬伝(碧也ぴんく/著、ホーム社)』全8巻を読了。幼少の頃、世代のお約束として個性的な人形劇でハマったものを、どちらかというと「カワイイ」系の絵柄で辿りなおすのはどうかと思いつつ手をつけたのだが、あにはからんや、これが不思議とすっきり読み通せた。荒事にいささか迫力を欠くのが物足りなくはあるれけど、馬琴翁が伸ばしっぱなした枝葉を上手く刈り込んだ素直な流れやよし。エンディングも原作の無常感をあえて排して読後感を心地よくしている。
 唯一の心残りは、刈り込まれた中にマイ・フェイバリット・キャラが含まれていたことか。確かに本筋には全く関係ないし登場そのものも唐突なんだけど、実は学生時代から使ってるハンドル/ペンネームも彼女にあやかったものだったりするほどに、とにかく好きなんだよあのアクロバット婆さん!<本当に好きなのかというツッコミ不可

 寝しな『METALGEAR SOLID3 SNAKE EATER公式ガイド ザ・コンプリート KONAMI OFFICIAL BOOKS』をパラパラ。見ればみるほどこのゲームの作り込みの細緻さには驚くばかりである。ストーリー展開上に各マップに、みっちりと仕掛けられた大技小技の数々。願わくば全部この目で拝みたいもんである。とりあえず、ジ・エンドの爺様は最初の出番でぶっ飛ばし(かつ車椅子アタックをくらっ)たので、初回で見てないジョニーのイベントを楽しみに進めるか。あとツチノコとガーコと…って、どうしても難易度の低いネタばかりのへっぽこプレイになりそうな気がしますが。誰かハイレベルなリプレイ見せてくれませんか?


3月2日(水) 晴

 久々の上天気。気温は相変わらずマイナスながら陽射しが温かい、つかいっそ熱い。ヒヨドリやトビがディスプレイ行動してるところをみると、やはりそれなりに春は接近してるのだろうか。今ごろどの辺なのかな、できれば連絡ください。<電話とかきたらヤだろうなあ

 『ベルセルク 28(三浦建太郎/著、白泉社)』『20世紀少年 18(浦沢直樹/著、小学館)』を読む。いずれも物語の組立て途上、これから何が起きるのか?というヒキだけの印象なのが、ちょっとばかり不満。両者ともに現実世界の歴史(前者は十字軍あたりの中世、後者は昭和からこっちの現代)を下敷きにしてるので、そこらで裏読みする楽しさも無いではないけれど、道のりが長くてダレる一歩手前と言おうか。ゆっくり語らるべき話だったのかどうかは結末に至らないと分らないし、続きを早くとせがむのは物語に惹かれるゆえの子供の所業と自戒しつつ、今は我慢のしどころなのかな。

 『雲を殺した男(今市子/著、集英社)』も読了。『岸辺の唄』シリーズの新しいところを集め編んだ1冊、初出段階でつい追ってしまったので未読は半分程度ながら、しっかり没入&楽しめた。シルクロードを思わせるアジアンテイストな世界とそこに暮らす人々の情景は、親しみやすいのに異国情緒に満ち充ちて、不思議と心を鎮めてくれるものがある。
 がしかし、最終話を読んでふと思ったのだが、作者氏はどっちかっつーとモノノケ連のほうをこそ愛でてはおられないだろうか?どうも、こういう連中が出てくると話のテンポが良くなって台詞の流れも活き活きしてる気が。それとも僕こそが彼らを好んでいるのかなあ、ラオ老人のすっトボケぶりなんか嬉しくなってねこまに音読して聞かせちまったよ。もしかして、港町生まれの両親をもつゆえの、インスマウスなシンパシー?


3月3日(木) 曇のち晴

 先だって「オンラインゲーム上からピザの宅配オーダーが可能に!」というニュースを目にした。といってもお米の国の話、我が国でヒッキーを量産しようということじゃないんだが、ものぐさ同士としては悪くないなあとか思っちまったり。とりあえず、ソースはこちら。広報担当者の名前が不吉である。>CNN

 で、ゲーム&宅配といって思い出したのが『マザー2』。ゲーム中、まさにピザ屋さんが、どこであろうと配達にきてくれるスッ飛んだシステムであった。地続きの町ならともかく、原野の只中にまで駆けつけるパワフルぶりを見て、パーティーに加わってくれたら楽だろうなとか思ったのは僕だけではあるまい。

 懐かしさついでにこのネタをヒロツさんちへ持ち込んでみたら「MGSでも出前が取れればいいのに」「そういう外伝はどうか」といったレスを店主どん&やむさんから貰い、久々に妄想が噴き上がってきた。
 MGSで、出前。
 つまり潜入中のスネークに出前を届ける工作員。
 当然、敵に見つかってはいけない。攻撃されて食品が破損すればゲームオーバー。
 敵の中には追跡してくるのもいる。当然、排除しなくてはならない。でないとスネークも発見される。
 戦うときは岡持ち(出前はコレだろう)を手放してもいいが、視野外に置いて時間が経過すると敵に回収されるので注意。なお、追撃・奪還もある程度は可能。
 出前内容によっては乗り物もあり。蕎麦だとカブ、ピザ屋は軽乗用車。いずれも武装・装甲はなし。悪路では走行不能。
 もちろん、一定時間以内に届けないと、冷めたり伸びたり固まったりして食えなくなってしまう。
 …考えれば考えるほど難易度の高そうなゲームである。いっそ本編より難しいんではなかろうか。ステルス迷彩無しには僕にゃクリアできめーな、と思ったところでふと記憶が甦った。
 シリーズ1作目のオタコンじゃん。
 んじゃ、基地内を探し廻って食い物その他を見つけ、スネークに持って行ってやるというのはどうかな。ラベル無しの缶詰とかもあって、桃缶からドッグフードまで中身はランダム…って、きりが無いのでここまで。後はKCEJが作ってくれるのを期待しよう!<無理だって


3月7日(月) 晴

 季節はずれの好天に恵まれた休日。なんてったって暖かい!戸外へ出るのにジャケット無しでもイケるぐらいの陽射しが降りそそぎ、当然ながら雪は融けて水浸しとなって路上はさながらドレムチイ沼沢地の様相を呈した。いや、ワニはいませんけどね。

 太陽電池に充電すべく約半年ぶりに窓を開け、休日恒例・撮り溜めビデオ鑑賞会。『ケロロ軍曹』が相変わらず面白い。前週の雛祭り話はちょいとスベっていたけれど、昨日の五月病話は力の入った作りこみで原作を凌ぐ出来栄えであった。ネタ元が製作&スポンサーに入ってると、こうも大胆にパロディが出来るんだなあ。つか、再放送のことは考えてませんね?
 ときに雛人形といえば、三人官女の真中のみ既婚者なんだとか。ただ、教えてくれたねこま本人にしてからが「ウチの真中は首が取れた」というブラックな記憶しか持ち合わせていないので真相は謎のまま。というか、あの集団のキャラ設定って、いったい何処から来たのかなあ。モデルとかあるのなら、ぜひ知りたいモンである。


3月8日(火) 曇のち晴

 『「弩」怖い話2(加藤一/著、竹書房)』読了。姉妹本『「超」怖い話』で平山夢明氏とともに怪談を紡いでいる加藤氏の、3冊目のソロ本である。
 怖い。
 平山氏が感情を濃い目に押し出して「語る」(ゆえかあらぬか誤字だの妙な表現だのがチラホラ)なのに比して、加藤氏は知をもってキッチリと「綴る」という印象がある。その人が、家の間取り図という、地に足のつきまくった代物を介して「事象」を語るのだからもう、なんともイイ感じに怖い。しみじみとじっとりと重苦しく、怖い。
 自分の住まいが災厄に見舞われるというのは、拠って立つところ、衣食住全てがを奪われるということだ。ライフラインを断たれじわじわと生命を脅かされるのだから、その恐怖に共感せずにおられようか。まして同じ国に住まいして情景は容易に想像できるうえ、コトが原因も分らず排除する手段の無い怪現象とあれば、尚のこと。このテーマの選び方はけだし秀逸といえよう。
 前書きの警告は演出過剰な気もするが、オムニバス形式ともとれる話の継ぎ方も巧みで興趣をそそる。怪談フリークのみならず、このテの話を論理的にひもときたくなる心霊否定論者にも愉しめると思うがいかがか。両方兼ね備えた僕が言うんだから間違いないと思うけど。
 もちろん、これが現実であった場合の巻き添えには、当方は一切関知いたしません。うひひひひひひひ。


3月10日(木) 晴

 出社途上、やけにカラスたちがうるさいなと青空を仰いだら、白くて長い翼がつーっと滑空していった。どこからどう見ても、カモメである。
 内陸の、真冬の、住宅街に、カモメ。
 なんて場違いなヤツだ。
 そもそも、僕はこの鳥が好きではない。「〜が飛んだ日」とか「〜は〜」とか「〜」とかって歌は大好きでカラオケ行ってはがなり立てるが、本物のほうは見たくもない。あの獰悪な目つき、それに細く鋭く湾曲しているあの嘴。猛禽類やオウムの類より危険に見えるのは、実際のかれらの性質によるものだろうか。いや実際、海辺にゆかり多かった子供時代、連中の諍いを見たことがあるが、その凄まじかったのなんの。あれに匹敵するのはハトぐらいなもんだろう。ちなみにそっちは大嫌いである。
 ちなみに場違いカモメはカラスたちの警報リレーに追われるように飛び去っていったが、なんだかメタルギアシリーズの一場面のようで少しく笑えるものではあった。敵が去ったあと、なぜか近所のマンションの屋上に群れていたのも面白い。ひょっとして反省会ですか?

 夜、物置/書庫/作業スペースの片付け中、ちょっとした地滑り発生。プラモ・食玩山系の一部が崩れ、古い地層が露出した。80年代後半あたり、まだガシャポンが至るところで見られなかった頃の遺物(ヴィルガストとか)がざくざく出てくる。『北斗の拳』とかユニヴァーサル系ホラー映画のちびキャラ版とか、なんでこんな妙なモノばかり買い集めたかな当時の僕。
 ねこま「たぶんアッチも同じことを言うと思うけど?」
 …否定できないところが口惜しい。未来の僕がツッコミ入れに来ると困るので、黙って泣き寝入りするとしよう。しくしく。


3月11日(金) 雪のち曇

 『猫は銀幕にデビューする(リリアン・J・ブラウン/著、羽田詩津子/訳、早川書房)』読了。巻を追うごとにミステリ要素が抜けていき、謎といえば事件がどこで起きるか、な田舎町のドラマを楽しむシリーズ…ではあるのだが、今回はなかなか面白かった。
 映画の都・ハリウッドで長らくレストラン経営に携わった女性が、80の余にして故郷へ戻ってくる。闊達で強気でちょっとばかり変人、けれど身内には甘い老婦人という、このキャラクターが実にいい。そして彼女が始める新事業に絡めて語られる、サイレントからトーキーへ移る頃の映画の話も好ましい。ガルボの例の台詞、実は好きなんだよね。リアルタイムで観ちゃいないが。
 新たな住人を迎えるイベントとともに、町の景色や人々も移ろいゆき変わりゆき、そんな情景の中で静かに盛り上がる事件の予兆。そして最後に下される切ない決断の潔さは、いっそ清冽ですらある。
 「散り際もまた見事、負い目も全て償うたとか。されば神よ、かれとともにいまさんことを!」

 夜、コンビニで『鋼の錬金術師 10(荒川弘/著、スクウェア・エニックス)』を発見。某所でJUNCITさんが「急転直下・有為転変・父還る、ほか色々」と賞賛されていたのを思い出し、しばし逡巡。何故って、amazonに予約してあるからさキャッホー!と、かなりハイテンポな買うたやめた音頭を踊るものの、物欲神の使徒たる者がそこで踏みとどまっては罰が下ろう。ええ、買いましたともさ!当然でしょう!<バカ
 内容は満足のひとこと。前巻で布いた石が、どれも見事に活きてきている。定石が多いと難癖を付けられないことはない(例えば少尉の身に起こったこととその顛末など)けれど、隅々まで手を抜かずきちんと描いていることで、読み手に余計なことを考えさせない。スピード感あふれる冒頭のバトルシーンがまた、背中を押しまくってくれるし。
 もちろん、これからの展開へのヒキである新たな種も十分に撒かれている。再登場が匂わされる傷の男の真意の在り処、虚々実々の軍内部の駆引き、新たなホムンクルスの影、そして父=お父様なのかとパンツごときで躾が可能か…あ、いや、これは違いましたな。
 それにしても今回また、おいしいキャラクターをサッパリと葬ってのけたものだなあ。もとより死を呆気なく描くことで却って読み手に無常感を味わわせること巧みな著者ではあるけれど、よもやあんな最期とは。軽佻浮薄と底知れなさが同居してる、なんともユニークな奴だったのに…え?ボインじゃないのか?いや、そりゃボインは惜しいですけどね、好きだったんですよバーニー(仮)。今回の騒ぎのドサクサで野放しになるんじゃないかと、ちょいと楽しみにしてましたです、はい。


3月16日(水) 晴

 昨日・今日と気持ちのいい快晴。気温もプラスでずんずん上がり、当然ながら雪は融けて路面の標高が激変。さらに夜には冷え戻したりするもんだから、ザラメ状と氷と水浸しの混在物になっていて、歩きにくいのなんの。例年の3倍ほどの積雪があるという話だから、こういう状況も3倍長持ちするんだろうか。うう、有難くねぇなあ。

 さて、ずいぶん前(2001.03.152001.11.7)にもちょいと愚痴ったことがあるが、仕事柄スパムメールが多くてうんざりしている。いや、当時はまだピックアップしてあげつらえる程度だったのだが、今日びそんなことをしていたひにゃあ、何日かかっても追いつかない。
 職場のメールアドレスにもそういうモノは多く来るのだが、なにせ公開されてるアドレスなもんだから、各種登録へ勝手に投込むタイプのロボットに拾われて、とんでもないメールマガジンに登録されていたりするのが少しく笑える。競馬情報とか、ご老人の同好会とか。
 で、女性名だと概ねありきたりのエロなので、僕はサーバの段階でさくっと抹消しているのだが、中に1件「本物の女優さんのメルマガ」があったと同僚が知らせてきた。しかもこの女優さん、つい先日放映されたドラマに出ているんだそうだ。よく調べたなあと思っていたら、手回しよく録画までしてくれたというので、さっそく皆で見物。
 …途中で殺されて埋められる役でした。頑張れ女優さん。


3月17日(木) 曇のち雨

 先日ゲットしておいた素体「REAL ACTION HEROES(RAH)301改 」を開封。『METALGEAR SOLID 〜Snake Eater〜』の主人公フィギュアに使われているのと同じ物なのだが、なるほどイイ感じにぷちマッチョである。胸板と背筋をポンチョ状のソフビパーツにして被せてあるのが良い工夫だ。関節部分もあまり目立たないようにしてあるし、足を継ぎ足してスタイルを変えられるのも親切設計だと思う。
 ただ、首のジョイントパーツが小さめで、他のメーカーのヘッドと互換が利かないし、簡単にポキっと行きそうなのが不安ではある。付属のヘッドだと少々アタマでっかちなのが気に入らない向きは、ちょいと工作が必要と思われる。健闘を祈る!<何か入ってます

 この前から60cmの水面ににょきにょき伸び上がってたアマゾンソードのランナー?に、花が咲いた。直径8mm前後、色は白、ぱっと見には花弁が3枚のシンプルで可憐な小花である。
 横合いからは水中のものとは似ていない丸い葉が開いており、これはこれで変わった景色が楽しめそうである。微妙に(かつ文字どおり)アクアリウムから逸脱してるような気がしないでもないけれど。


3月18日(金) 雨のち曇

 ねこまから、アンドレ・ノートン女史の訃報を聞く。93歳という高齢とはいえ、惜しまれることである。『ビースト・マスター』他の懐かしい作品群を思い出し、しばし合掌瞑目。あの頃の作者たちの訃報に接するたび「魔法の国が消えてゆく」ような寂しさを覚えるのは僕ひとりではあるまいて。

 日々少しずつ進めてきた『夢路行全集』7巻から15巻までを読了。無機的いっぽ手前のシンプルな線質なのに、描かれている風景が冬枯れだろうが砂漠だろうが暖かさ柔らかさが漂い、或は匂い立つような花の香や若葉の薫る涼風がページから立ちのぼるような個性の不思議さ。清原なつの氏と似ておるな。感じる要素は正反対だが。
 その雰囲気を代表する「サン」は、機能とその人格(というかイイ性格)をみるに古今東西のロボットの中で確実にベスト10に入るキャラクターだと思う。人工頭脳の行き着くところ、かくあって欲しいな。某青色猫型ロボットよりも傍にいて貰いたいものだ。誰か未来から送り込んでくれませんか?あ、いきなりアップになるのは勘弁ですが。


3月20日(日) 曇

 『ナショナル・トレジャー』鑑賞。いにしえびとの残した財宝を巡る冒険モノながら、主役以下全員が非マッチョ系なので超絶アクション無しの頭脳プレー、虚々実々の駆け引き中心。ネタの中心が馴染み薄い「お米の国の独立宣言」のため謎解き自体に入り込みにくいきらいはあるが、フリーメーソンとか聖堂騎士団(テンプルナイツ)といったオカルト好きのツボを散りばめた中で次々と現れる難関をクリアしていく過程だけでも十分に楽しめた。軽妙な会話で綴られる物語の流れも無駄なくハイテンポで小気味良い。大傑作とはいわないけれど、誰が観ても楽しめる上質なエンタテインメントだと思う。
 脇を固めるジジイ連(失敬)にハーヴェイ・カイテル、クリストファー・プラマー、ジョン・ボイトとアクの強いところを持ってきて奥行きを出してるのもオイシイ。特にボイト演じる主人公の父の天然めかしたシタタカっぷりは後半の見所だった。ときにこの人、アンジェリーナ・ジョリーの父親だったんですな。斯界に疎いんでまるっきり知りませんでしたぜ。まあ、それを言うなら主役のニコラス・ケイジがフランシス・F・コッポラの甥ってのもビックリでしたが。

 午後、高校時代の友人Ruiが遊びに来る。腰まである三つ編み(つまり解くともっと凄いことに)の可憐な少女も、その後僕と同じく中年の坂を上ったり下ったりしてた筈なのだが、どうも未だにあの頃の面影を歴然とさせているのが不思議である。彼女の周囲の時間の流れ方が違うのか、はたまたメトセラの末裔なのか。
 土産に貰ったケーキを食べつつ、話は何故か猫談義。我が家とは比較にならない猫屋敷の住人ならではのエピソードに大笑いさせて貰った。とりあえず、顔の上を駆け抜けるのだけは止めて貰え、な?

 とこうウダウダと外界と断絶して日を過ごし、ふとTVを点けると「福岡で震度6の地震」の報。ある方のお住いがかの地と記憶していたので慌ててネットに入り込むが、状況がいまひとつ伝わって来ずハラハラ。結句、ご本人にメールを出した。
 …が、実は以前から、今日はオフで関西方面へお出かけと知ってた筈なのだよな。こういう間抜けた手合いがいるから、非常時に回線が混み過ぎて落ちたりするワケだ。しっかりしろ僕。
 とまれかくまれ、現地の方々の被害より少なからんことを祈って本日は終わり。僕の祈る神というと色黒のスフィンクスだったりポナペ沖で寝たっきりだったりする可能性も無いではありませんが。<ダメやん


3月21日(月) 曇時々晴

 先週来の通勤の友だった『サム・ホーソーンの事件簿 3(エドワード・D・ホック/著、木村二郎/訳、創元社)』読了。元祖コージー・ミステリならん田舎の町の謎解き、今回も楽しく頭を使わせてもらった。
 ただ、今回、いささかトーンの暗い話が多かったような。考えたくない真犯人、暴いて気分の良くない動機が多いし、一時ながらドクター・ホーソーンが探偵を止めてしまう一編もあって読み手も無邪気に読めないような。いや、まあ、殺しなんてのは本来そういう愉快ならざるモノである筈なんですけどね。


3月22日(火) 曇

 休み時間、ふと私用メールを開いてみたら、ホビーショップtokyo@maniacsから新製品の案内が来ていた。ブツはこれ。1/6スケールのダース・ベーダーである。うおおおお、カッコエエ!
 なにせダース・ベーダーといえば、フォースの暗黒面である。圧倒的な存在感と得体の知れなさで一世を風靡したダークヒーローである。ピーター・カッシングと並んで登場である。アレック・ギネスとの一騎討ちである。すこーぱこーシューである。欲しい。しかし高い。だが欲しい。ちょっと高い。けれど欲しい…と、しばし自席でお馴染みの買うたやめた音頭を踊る。
 さて、普段ならここで物欲神のお導きのまま「ポチッとな」と締めてしまうところなのだが、今日はふと手が止まってしまった。
 考えてみたら、これの中身ってアナキンなんだよなあ。子供の頃は可愛かったのに、妙にヒネた跳ね上がり小僧に育ったアレ。そのくせナタリー・ポートマンとくっつくなんて許せん!おのれ小癪なハナタレ小僧。アミダラたんを返せ!<本音はソレかい
 時を隔てた映画の続編なんぞ観るものではないということかも知れぬ。つか旧作の映像差替えも勘弁してください。ディレクターズ・カットならまだしも、何度もやり直すなら「作品」は何処にあるのかってぇ話になりませんかえ大将。<誰よ


3月27日(日) 雪時々晴

 『ドナービジネス(一橋文哉/著、新潮文庫)』読了。ヒトの身体をバラして売買する人々とそのシステムのオゾマシさを綴り、派手な装丁とオビとがこれでもかこれでもかえいえいっ!と衝撃の度合いを盛り上げようとしている…が、それがどこか空騒ぎめいて冷めた心地がするのは僕だけだろうか。富めるもの力あるものが弱者を食い物にする図式ってのはいつの時代も行われてきたことだし、それが命そのものを貪る行為であってさえ、バートリ伯爵夫人が領民の娘たちを生絞りしたのと何ら変わらない。技術が進歩しただけで、ヒトの本質てぇのはちっとも向上してないなと諦観もて嘆息するより無いんスよ、はい。
 だが、まさにその技術面に目を向けると、最先端のテクノロジーによりひもとかれた生命の仕組と神秘にはただ瞠目するよりない。体のパーツを付け替えるにとどまらず、やがてはホモ・サピエンスが自らの手で種の形を書き換えていく可能性を思うと(筆者の憂慮に背を向けて)かなりワクワクするものがある。どんな方法を取ろうといかなる姿になろうと、それを目の当たり見たいものだと思ってしまう、己の深淵をこそ省みつつ。


3月30日(水) 曇時々雪

 今週に入ってから、冬将軍と春との攻防が激化している。気温は10度に迫るかと思うといきなり0度に急降下、と翌日には5度前後でじりじりと一進一退。路面はスケートリンクからぐちゃどろ雑炊状へと変化を繰り返し、ようやっと春の陣に治まった乾燥地帯は細かい土埃が舞う危険地帯となる有り様。戦線がさらに北へ移動して行くまでは、装備をこまめに交換してゲリラ戦を挑むしかあるまいな。

 そんな中、昼飯を買いに出向いたコンビニで「香港飲茶 海洋楼」なる企画ものを発見。さらに「チョコQ」の最新版も出ているではないか。さっそく持てるだけ抱えてレジへ直行、ダメな大人に装着蒸着赤射焼結変身して帰社した。どのぐらいダメかっつーと、そのプロセスにかまけて肝心な昼飯を忘れるくらい。どうだ凄いだろう!

 とまあ大人げない開き直りはさておき、さっそく開封した「海洋楼」の出来は素晴らしいとしか。蒸篭、茶器食器、それに点心の数々が、1/6スケールで見事に形作られている。リーメントの1/6シリーズを最近いっそ神がかってきてるなあと思ってはいたが、さすが斯界の王者・海洋堂は負けない、緻密な造形と素材のチョイスで品良く美しく競い立つ。モノが飲茶なだけに、ダブっても絵になるのがまたいいやね。本格的な飲茶(ワゴンから選ぶ方式)は10年このかた食ってないけど、是非また賞味したいなあと腹の虫も呼び覚まされる逸品であった。

 さて「チョコQ」。いきなり出たのがセミの幼虫。バラバラになった虫、しかも1/1スケールのそれが乾いた音たてて転がり出てくるっつー図はいささかショッキングであった。しかしその衝撃さえも造形のリアルさゆえ、素直に感服するのみである。組み立てて掌に載せた感触もまた実物を思わせるので、ぜひ会社で若い娘さんの肩に乗せてきゃーきゃー言わせてみたい。小学生の頃、やりませんでした?<おい
 他に引いたのはマダラロリカリアとオイカワ(婚姻色)の魚2種。どちらも流れの中で身をくねらせる一瞬の動きがそのまま捉えられている傑作である。特に前者は熱帯魚飼いなら魅せられること請け合い、プレコマニアなら必須アイテムかも知れぬ。
 しかし、今回チョコがバナナ味なのは勘弁していただきたい。ぶっちゃけ、食えない。イチゴならまだいいが、このフレーバーは大人にはキツいと思うのだ。「海洋楼」で呼び覚まされた腹の虫に殺虫剤食らわされる心地がしましたですよ。アッチがついてるお茶で流し込むにも限度があるんで、メーカーさんはそこんとこヨロシク。


3月31日(木) 雪

 目覚めてカーテンを開くと、一面の白い世界。降りしきる雪の舞いにしばし見ほれつつ、季節を実感する。ああ、冬が来たんだなあ。
 ………ちょっと待て。
 弥生三月春の候、年度変わりの月の終り。南じゃ桜の下で新入生が増殖する頃合でしょうが。何が悲しゅうて脛の半ばまでくるようなふかふか雪に見舞われにゃあならんのだ。しかも出社日じゃ、雪ダルマのひとつも作れないだろうが!
 と、いささか方向違いな鬱屈を抱えて出てゆく間氷期の勤め人であった。ああ、いっそ氷河期にでもなっちまえばスッキリするのになあ。

 さて、その間氷期の中でちょっと前、19世紀の物語を2本。
 『空中楼閣の住人(波津彬子/著、小学館)』
 サブタイトル通りの「うるわしの英国」、ゆったりと穏やかで、かつは小粋な香りを詰め込んだ時代の物語。著者一流の幻想世界がクロスオーバーした本作は、代表作「雨柳堂」シリーズファンにも嬉しい。ハウスキーパー氏(笑)に萌えろ、ご同輩!
 後者の要素ゆえ、同シリーズの作品に比べるとウイット溢れるドラマチックな展開は乏しいが、気持ちよく読みふけることのできる小品であった。
 『エマ(森薫/著、エンターブレイン)』
 こちらは幻想のかけらもない、時代ゆえの身分差に裂かれる恋人たちの物語。「上流」階級の中ですら格式という名の差別が在り、しかもそのほうがより陰湿だという描写がリアルに描かれていて胃に堪える。それをやり過ごし、或いは挑む、ヒロイン以外の魅力的なご婦人たちが居なければ読み進めるのが辛くなるような部分であるな。もちろん、傷ましいほどに初々しい恋に揺れる主人公2人の行く末こそが、何より気になる部分ではあるけれど。
 ちょっと気になったのが、一部で微妙に変化している絵柄。作者の萌え/燃えどころであるゆえ肩に力が入ったか、エマの着替えシーンが妙にぎこちないタッチになっている。描き込みすぎのような気もするなあ。これを契機に全体が変化しないとよいのだけれど。



翌月へ






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