店主酔言

書籍・映画・その他もろもろ日記

2006.5

 

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5月3日(水) 晴

 先月後半から、加速度的にというか雪ダルマ式にというか、めざましい勢いで仕事が増殖。テトリス最終面よろしく次から次へと降ってきて、止め処がない。頭の中ではロシア民謡がエンドレスで鳴り響き、ひたすら棒状パーツの登場を待…って、違うがな!
 自己ツッコミを入れて笑ってくれる人もなく、今年はゴールデンウィークが消失するという事態に立ち至ってしまった。うーんミステリー。

 とか言いつつの通勤の友は、相変わらずクリスティー@ハヤカワ文庫。
 『アクロイド殺し(羽田詩津子/訳)』『書斎の死体(山本やよい/訳)』『死の猟犬(小倉多加志/訳)』と、手に入ったはしから読み進んでいるのだが、どれも実に面白い。文章も丁寧だし、何より昔は気付かなかったことが多々見えてくる、自分自身にも興がわくのだ。
 たとえば『アクロイド』、そのかみの中学生には「うわ、すっげー発想の転換!でも一発ネタ、やったモン勝ちだよな」としか思えなかったけれど、再読してみると構成の妙味に驚かされる。この見事な入れ子構造に、当時はさほどの注意を払わなかったんだよなあ。
 『猟犬』所収の霊媒ばなしには、作者の練達ぶりと心情の揺らぎがほの見えて興趣深い。また幾度もドラマ等に使われた『検察側の証人』のラスト一行の深さ重さ。ラフカディオ・ハーンと夫人のとある会話なんかが脳裏をよぎり、ちょいと瞑目させられたりなんかして。
 『書斎』はシリーズの形、キャラクターが定まってのマープル・シリーズとしてスムーズに読める。また『牧師館』の登場人物のその後なんかを読んで微笑ましくなったりして、思えば長じてのコージー・ミステリ好きは、ここらに端緒を発していたんだなあと気付かされる。世に四十の手習と言うけれど、ひょっとしたら無駄に知識を蓄えたこのぐらいの年齢が、最も手習の楽しい頃合なのかも知れないね。


5月7日(日) 晴

 世間様では黄金週間という謎の儀式期間が終りを迎えるとかで、巡礼たちが帰宅に慌しいらしい。仕来りに疎い我が家ではかれらの往来を横目に見つつ、日々の労働に勤しんでいたワケだが…って、ええ、今年は連休ナシでしたよこんちくしょーい。
 今年最初のまばゆい快晴に恵まれても、やるこたぁ溜まりに溜まった掃除と洗濯である。とりあえず、戦友がいるだけが救いといえるかもしれんが。あと、にゃーにゃーと音撃をかましてくる足手まといも若干いるが。

 とはいうもののまずは腹ごしらえと、近所の和風ファミレスへ。道々かわいた咽喉をビールで潤したいな〜午前様でも許されるよな〜キリシタンじゃないから安息日は関係ないよな〜などと呟くも相方の耳には届かなかったようなので、詮無く諦める。
 とりあえず腹を満たした後は食後の運動とて公園へ。池の周りをそぞろ歩き、なぜか(たぶんアブレたんであろう)オスしか居ない鴨とか、散歩中の犬とか、水面に漂ったり爆走したりしてるボートとかを眺めるうち眠気をもよおす。あと半日ぐらいここで寝てくか?
 ねこま「却下。てゆかそれが狙いで来た?」
 めめめ滅相もありませんお代官様。

 とかく言いつつ帰宅したら、ドアにメール便がぶら下がっていた。差出人は1/6スケール食玩の雄(って表現はどうかと思うが)リーメント。心当たりが無いままに開けてみたら、12月に行われていたキャンペーンの賞品だった。
 限定品はその名も「わたしのバースデーケーキ」。誕生祝のケーキとお茶のフルセットである。
 1ピースだけ切り取られたケーキの造形といい、小さな小さな蝋燭に火まで灯っている作り込みといい、実によく出来ている。お茶のセットもカップ&ソーサー、ポット&クリーマー、小皿に載った角砂糖と揃っていて、妙な迫力さえある。
 ただ、貰い物に難を言うのは心苦しいのだが、色がなあ。赤い水玉の食器がケーキに似合うかというと、ぶっちゃけ微妙。いっそ赤一色、いや無彩色だったほうが良かったのではなかろうか。で、なんでムサイ色と変換するかなIME。そんなモビルスーツが乗ってるような食器は願い下げだぞ。


5月14日(日) 雨のち晴

 そぼ降る小雨の中、行きつけの床屋へ。幼少時から背丈にも足の長さにも縁のなかった身だが何故か毛だけは過剰に恵まれており、ちょっと気を抜くと「もじゃもじゃペーター」いっちょあがりという体質である。四十路も過ぎれば毛自体が細くなるとか薄くなるとかいうのを期待してたのだが、今に変わらぬ剛毛っぷり、ひょっとしたら体がこの後の氷河期を予測し備えているのやもしれん。それまで寿命が保つかどうかは別として。

 床屋の剃刀をすり減らせた後は、例によって書店パトロール。クリスティ文庫の続きが順調に入手できたのが嬉しいところ。『ビッグ4』みたいな、女史どうみても畑違いに手を出しちゃったな〜という作品にも当たるけど、こうしてまとめて読める機会に恵まれたのだから、しっかり全部読みたいものだ。

 帰る頃には雨雲は遠くへ去り、一面の青空。太陽電池で動いてるお天気屋としては、ここで張り切らなくて何とする!と、猫の額ほどの菜園をせっせと耕す。さらに、傍らで洗濯物を干していた相方ともども勢い余って近在の公園へ。池の周りをうろうろ歩き、平素は浴びない陽光をじっくり吸収、光合成して葉緑素とデンプンを…いや違う。
 馬鹿ネタを呟きつつエンレイソウ(177KB)を見つけて写真を撮る。ひさびさに悪くないのが撮れたと思うのだが、いかがでしょうか?


5月15日(月) 晴

 今日も相方と、今度は家からチャリンコで10分ほどの公園へ。陽を浴び鳥を眺め、花を愉しみつつそぞろ歩く…というと聞こえはいいのだが、じっとしてられないほど暑いのであった。かといって木陰に座ると、爽やかな風とともに、今を盛りと増えまくった緑色鮮やかなアブラムシが降ってくるし。
 昨日に続いて2枚ほど撮影。スミレ(260KB)ハクモクレン(348KB)、色合いからもスケールからも対照的だな〜。つか後者、指輪物語の情景みたいで油絵加工してみたくなりますな。

 うっすら日焼して帰宅、数週間分溜まっていた『CSI:マイアミ』を観る。オリジナルシリーズよりもリアルに作られたモデルが多く登場し、いっそ生臭そうなグログロしい絵面が展開する。想像力豊かでスプラッタが苦手な人にはしんどそうだな、と思わないでもない。
 がしかし、当家の住人にはそんなしおらしさは薬にしたくともない。今のところまだキャラクター達に馴染みが乏しいこともあって、もっぱら酸鼻な画面に張り付いては「これが決め手だ」「いやこっちが証拠」と岡目八目を楽しんでいる。まあ、ほぼ当たらなかったワケですけどね。


5月16日(火) 晴

 ヒロツさんちのチャットにJUNCITさんが『METAL GEAR SOLID 4』のE3トレイラーを持ち込んでくれた。さっそく鑑賞。
 …え〜…その…もとより明るい未来の待っていようもない話ではございますが…なにかこう、回を追うごとに沈鬱極まりないというか実もふたも無いっつーか…結局みんな戻ってきちゃうのね、と溜息するしかなさそうな情景ですな。ダークトーンの物語は嫌いじゃないけど、キャラクターに思い入れができちまってると辛そうな話、おまけにいつものネタ劇場も無いということはかなり真剣に身構えて入っていかないと、MPHPともに削られることになりそうだ。別離や死の物語は老いの身に堪えるが、心して待つか。
 暴れまわり壊しまくるメカの動きはますますイキモノじみ、かつヒトのカリカチュアめいておぞましい。なんとなく『サイレントヒル2』の足だけクリーチャーを思い出すんだが、どうでしょうご同輩。ひょっとして制御がヒトの脳だったりしたひにゃ、いっそアッチ側のほうが住み易いかも知れませんなぁ。


5月24日(水) 晴

 暗いの辛いの胃が痛いのといいつつ、また『METAL GEAR SOLID 4』の映像を眺める昼休み。とりあえずプレイ前に耐性をつけようと思ったのだが、あにはからんや、所詮はギャグメーカーの血が騒ぎ出してしまった。
 新型メタルギアはせっかくの美脚なのだからお約束にラインダンスなどしてはどうかとか、急速に老化するソリッドと他人に乗っ取られて無理若丸(古)なオセロット/リキッドとの最終戦がまた格闘だとしたら『ウィロー』の終幕なみにシンドイなとか、パワーアップして復活の雷電君はやっぱり彼女のメシに耐えられなくて出奔したのかとか、お馬鹿なネタばかりが脳内をぐるぐる。
 やべぇ、たぶん本編もこういう目で見てしまうわ。

 出かけたコンビニで、小さな小さな・ジグソーパズルを発見。絵柄はレオナルド・ダ・ヴィンチの作品群。モナ・リザ、岩窟の聖母、最後の晩餐(修復前と後)、ウィトルウィウス的人体図…そう、『ダ・ヴィンチ・コード』ブームを当てこんでのものである。キャラクターグッズ(違)が増えて嬉しいファンとしては、件の作品様さまだ。
 しかし仕上りは葉書サイズなのに204ピースという本格派、真面目に作ろうと思うと呼吸を止めてかからねばならんかも。いや、そもそも我が家の場合、妨害工作を仕掛けてくる四つ足のテロリストを排除するのが先決だが。


5月26日(金) 晴

 『エマ 7(森薫/著、エンターブレイン)』読了。前巻のあまりにヘヴィな展開に「この先どんな艱難辛苦が?」と思っていたら、表紙には明るい陽光のなか幸せそうに微笑む彼女がいるではないか。こ、これはもしかして…て、ててて、天国で結ばれましょうねってオチですか?とさらに悲観的に深読みしつつ一読。
 …よかった、エマは死んでない。<ウィリアムはどうでもいいのか
 いや、バカはさておき、本巻をもって幕となる物語はこちらの俗っぽい予想を軽やかに飛び越え、あえてゴールを描かずあるターニング・ポイントを読み手に提示してくれる。それは古きよき『マイ・フェア・レディ』のような味わいをもちながら、ある意味ヴィクトリア朝の終焉と重なる部分もあったりする、なかなか奥深いものであった。単純なハッピーエンドでは絶対にない、けれどそれゆえにこそ、こちらの思い入れに深く響いてくるものがある。いやお見事、と拍手あるのみ。
 今回はまた、アデーレとかモニカといった、コワモテお姐様たちの意外な一面が微笑ましい巻でもあった。いやもう、可愛いなあ!いま流行りのツンデレですか?
 ただ残念な点がひとつ、これは大人の事情ではないかと推察するのだが、話が妙に急いでいるような。また、ページの密度がキツキツで、1ページのサイドストーリーとの間に全く余裕が無いのが気になる。話が風雲急を告げてても一息つく心地よいスペースを入れてくれてることで独特の空気が生まれていたと思うのですよ、愛蔵版上梓の折はぜひご一考を!<買う気まんまんかよ






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