店主酔言

書籍・映画・その他もろもろ日記

2007.6

 

 

 

 

 

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6月3日(日) 晴

 幼時から、スポーツにはとんと興味が無かった。ことに野球は「好きなTV番組を中止にする憎いヤツ」としか認識してなかったもので、相方ねこまと同居するまでニュースすら見ていなかったものである。
 しかしヤツは物心ついてからこっちの虎神崇拝者で、なおかつケツを凍らせて鑑賞する氷上の舞をこよなく愛する輩。かくて我が家のTVはスポーツニュースを流すようになり、ことにも日曜朝の「あっぱれ/喝」乱れ飛ぶ時間(サンデーモーニング)は揃って拝聴しているのだが。
 今日、ふと思ったのだけど、野球用語ってなにげにヘンテコなものが多くないですか。
 こちとらの領分であるPC関係も「落とす」とか「殺す」とかイロイロあるけれど、あちらはそれどころではない。刺したとか討ち取ったとか併殺とかマウンドから引きずり下ろすとか、かなり激しいものがある。かと思うとボールをこねるとか言うし、ビジュアルとして考えるとすっげー妙なんだがいかがか。いっそ、それを大真面目にやってる映像とか作ってみたら、スポーツ嫌いの目を向けさせる効果もあるんじゃないかのう。
 いや、どんな目が向くかは保証の限りじゃありませんが。

 とかバカを言ってたら、ねこま鬼軍曹に「ヒマそうだね〜」と強制徴募をくらい、某ブートキャンプへ連れ込まれた。なにが哀しくて中年ふたり、日曜の昼日中からTVの前でガニ股立ちして腕を振り回さねばならんのじゃ!とか思いつつディスク1枚をヒーコラ言いながら乗り切る。
 結果、汗だくヨレヨレにはなったものの、傍で見てる以上には楽しかった。
 「とりあえず体を動かす」「疲れたらやめてもいい」「好きなところから復帰可能」という、スポコン系から離れたスタンスは好ましいし、適当にやっててテンションを上げてくれるのでその後の日常生活もアップテンポになる。またシンプルな動きを真似していると自分のどこに筋肉があって、その上にどれぐらい脂が乗っているかよく分かって先の励みにもなりそうだ。
 まあそこらは知りたくなかった気もするし、明日は筋肉痛の大波に襲われそうな予感もあるけれど、うっかり終幕の「Victory!」まで手を繋いでやってしまったので、もはや戻る道はなさそうである。つか目の前に上官がいるこちとらとしては、脱走したら営倉に入れられそうで怖いのだが。

 午後、『仮面ライダー電王』鑑賞。
 先週の幕切れで登場した、姉の婚約者と同姓同名の侑斗(?)役が、『響鬼』を台無しにした要素のひとつであるところの「いつの時代の小学生の妄想したお金持ち意地悪ガキ?」キャラを演ってた少年なものだから、不安まみれのスタート…だったのだが、いやいや杞憂でした。面白いじゃないですか彼。
 出だしのところでは前の役を思わせるイヤな絡み方をしてきたものの、直後、自分の内部から語りかけてくるイマジンとの口喧嘩のはずみに己の顔を殴って痛がってるあたりから、幾つもの謎とともにだんだん面白い方向へキャラが立っていく。またそのイマジンが「足し算ができない」にも関わらず財布を預かられてしまってたり、人目を避けて呼び出さざるを得ないものだから試着室に一緒に詰まってみたり、かと思えばコーヒーが苦くて飲めないと砂糖を足しまくって今度は甘さに悶えてみたりと、なかなか美味しい二枚目半である。
 また、この憑依(&契約?)したデネブというイマジン、見た目は鉢金装備忍者装束の烏天狗みたいで格好いいのに、性格は真面目で面倒見よくお節介、しかし非常に不器用という味わい深いシロモノ。主人公につっかかる侑斗をたしなめようとしてしくじり、プロレス技をかけられてバタバタしてるあたりで即効可愛いくなってきてしまった。一触即発状態の相手に「侑斗と友達になってくれ」と特製らしいキャンディを差し出すなんざぁ、もうどこのナニーなんだか。ところであのキャンディは何味なんだろう。いやそもそも食えるのか?
 本編の敵イマジンが、これまでの「勘違い方向へ望みをかなえる」ではなく「望みをあえて曲解し、かつそれを押し付けるべく宿主に暴力を振るう」というトンデモ野郎なので好対照、こっちの結末も次回を楽しみにしてくれた。今回出番の少なかった主人公のイマジン達との顔合わせでどこまでスベってくれるやら。いや、つかデンライナーで何か壊しそうな予感もしますな。頑張れデネブ!<何を

 その後TVのチャンネルザッピング中にNHK大河ドラマの番宣が映ったら思いっきりビジュアル系の美形武者が炎を背負って登場。えーとえーと、噂は聞いてましたがこれが上杉謙信ですかGackt動員ってヤツですかこれはいい『戦国無双』ですねと一瞬錯乱。いや〜、女性説もあった謙信とはいえ、なんか違う世界の雰囲気が出てて怖いですわ。これは出番を楽しみにしていいもんだろうか、なあ。


6月5日(火) 晴

 やたらめったら上天気な空の下、チャリンコ漕いで会社へ。ライラックも終わって獰猛な夏の緑に覆われつつある大通公園へさしかかると、しばらく前から重機が入ってえっさえっさと工事していた鉄骨が、見事ステージに組み上がっていた。恒例のYOSAKOIソーラン祭の晴れ舞台である。
 ぶっちゃけ、この祭は好きではない。各グループが1年がかりで振り付け練習し衣装を調え繰り出してくるパワーはたいしたもんだと思うけど、それをことさらアピールしてみせるアナウンスや地元放送局の報道姿勢は鬱陶しい。おまけにそのグループのマナーの悪さに随所で出くわすものだから、期間中は連中の移動コースと重ならないよう気を使わねばならん(もっとも、おかげで中心街を外れた映画館などは非常にゆったり使えるのだが)。ついでに直接被害は無いものの運営母体が利権にうるさく、おまえさんたちゃディ●ニーかってなぐらいの勢いで写真露出にチェックを入れてるのもなんだかである。
 かくてアンチ派のご多分に漏れず「YOSAKOI騒乱」などと陰口を叩いている身だが、この舞台設営には文句無しに感動をおぼえた。周囲に並ぶ木々にも地面を覆う石のタイルにも傷をつけず、巨大な構築物を短期間に仕上げるテクノロジーと立ち働く人々の技術はひたすらにスゴイ。
 惜しむらくは朝夕これを楽しんでいた見物人のこちとらには、『ワンダと巨像』のワンステージに見立てて楽しむしか無いってことですが。ま、価値観は人それぞれってことで。

 ヒロツさんちのチャットで、羽田健太郎氏の訃報を聞く。大方にはピアニストとして記憶にとどめられる人だろうが、我が家の住人にとってはファミコン時代のほとんどを捧げた『Wizardry』の作曲家である。約20年を経ていまなお口ずさめるメロディを脳裏に奏でつつ、カドルトの効かない現世を恨んで合掌。


6月8日(金) 晴時々曇

 まだ10代前半のその昔、大好きな歌姫が「幾つになったら大人になれるだろう」と歌うのを聞いて、とても不思議に思ったものだ。20歳を過ぎてその後どんどん年を重ねていれば、みんな当たり前に大人になるんじゃないのか?と。
 けれどオノレが甲羅を重ねて今、世の中に大人なんてぇイキモノはほぼ居ないのだと知っている。みんな現在進行形、これまた好きな歌い手の詞を借りると「死ぬまできっと未完成のパズル」なんだろうな。
 そんな「当たり前のこと」を「当たり前の風景」の中でさらりと描いたのが『フラワー・オブ・ライフ 4(よしながふみ/著、新書館)』の最終巻。いやはや、お見事です。
 高校生たちの日常風景、決してお気楽極楽(古)なだけではない。だからといって登場人物たちの生活を根幹から揺るがすような、いわゆる「事件」は起きない。子供は子供の身丈で視点でしか語れず、かといって大人の筈の親や教師も弱くてズルい、実に子供じみた言い訳を口にのぼせたりする。
 けれど年齢も性別も問わず、彼ら彼女らは新たな知見も想いも激しい嘆きも怒りも自らの中に生きる場所を見つけさせて、直截な「当たり前の」言葉でそれを語る。少しずつ変わってゆく、生きてゆくのだと、最後は言葉も無く語りつくす。
 主人公たちが描く次回作も、きっとこんな余韻をもったものなのだろうな。必ず、そうあることだろう。そう希っている。
 そんなふうに、年甲斐も無く素直に思わされた。いや、ちょっと赤面してますけどね。

 ところで真島君のツンデレ配分は自分自身のソレではないかと思うがいかがか。つまり彼の好み(と思っている)は、女性版の彼ってことに。
 ………想像するんじゃなかった。誰か助けてください。


6月15日(金) 雨のち晴

 アカシア(正確にはニセアカシア)の濃密な匂いが夜に溶け出す時期になった。ムシムシと湿度も上がり、大気が触れるような感触になったところで雨が降る…んだが、昨夜のそれは朝方まで続いてぱたっと止み、こちとらの自転車通勤を邪魔してくれたのみに終わった。どうせなら終日降れってんだ根性無し!中途半端に暑いじゃねえか!

 とか文句を垂れるに所を誤ると、今日びは未来からやってきた精神体が捻じ曲がった方向へ望みを叶えてくれるそうだが、古来そういうことはモノノケたちの領域である。風が涼しくなった夜更け『百鬼夜行抄(今市子/著、朝日ソノラマ)』を一読。
 今回は主人公よりもその周辺、ことに従姉の晶と一風変わった彼女の恋人の別離が描き込まれており「諦めない」彼女の靭さゆえにグロな背景も切ない展開に。またもののけ名コンビにして作品の顔「尾白・尾黒」の誕生物語に、ちょいとタイムパラドックスめいたネタの絡む祖父母のなれそめ、いろんな意味で背筋の寒い般若のいる家の話と盛りだくさんで嬉しいところ。
 ただ作者の語り口は、勢いに乗った筆の運びのゆえか先を読ませない工夫のためもあってか例によって端折りがちで、ますます一見さんには向かない世界になってるかも知れない。まあいいんですけどね贔屓筋としては…って、だったら単行本で揃えろと物欲イマジンがせっついてきそうなので、本日これまでッ!


6月16日(土) 晴

 『サム・ホーソーンの事件簿 V(エドワード・D・ホック/著、木村二郎/訳、創元推理文庫)』読了。
 田舎町で年輪を重ねるドクターの、本業外での探偵仕事(いやボランティアか?)も巻を重ねて60話。今回は初舞台である有蓋橋での事件をはじめ、「園芸道具置き場の謎」「奇跡を起こす水瓶の謎」など一緒に推理を愉しめる作品が多い。トリックはさておき、証拠物件を探して何度も文字の列を追うこの興趣は「すいりしょうせつ」にハマった小学校以来離れ難いものがあるな。
 時代背景が世界大戦の闇に入りつつあって医師の身辺にも変化や別れがあったり、クリスティの描きそうな「怖い女心」が表れるネタがあったりと細部の書き込みも面白い。また巻末のレオポルド警部モノは、ご贔屓ドラマ『CSI』ふうに情景が浮かぶ好一編だった。うむ、満足満足。お神酒を一杯、ナイトキャップでお相伴といくか。


6月19日(火) 晴

 ひさびさに、水槽で失敗した。
 かねて60cmの住人が少なくなっていた(コリドラス・ジュリー×1、オトシンクルス×4、ボララス・マクラータ×30弱)こともあり、また水槽自体も年季が入っていたため30cmの新品へ引っ越そうと準備を整えていたのだが、この日曜に実行したところ、あっという間にマクラータの大半が昇天してしまった。
 理由は単純。元の水槽の土と半々で入れた新しい土でPH値が酸性に傾いた上に、テストもせずに作動させた小さな外部フィルタに意外とパワーがあってかなり強い水流が出来てしまったのだ。10年余りもやってきてこの体たらく、慢心してたとしか言いようが無い。
 幸か不幸か、オトシンたちにはこの環境が合ったらしく、やたら体色が良くなって動きも活発になっている。とはいえ、タンクメイトにすぎないこいつらだけが元気になっても、なぁ。
 幸い水質はサンゴを放り込んで安定させられたようなので、器具の位置を変えてしばらく様子をみることにした。夏が終わったらまた仲間を増やしてやりたいなと、今度は心中に石橋を叩きつつ。






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