店主酔言

書籍・映画・その他もろもろ日記

2008.2






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2月5日(火) 曇のち雪

 昼をまわった頃からどどっと降りだした雪を眺めつつ、昨日から始まった筈の雪まつりを案じて眠気を追ってみる。しかし記憶を辿ればこの10年ばかり、期間中に決まって大量の雪が降ってたような気も。地球温暖化の影響かもしれん、時期変更を考えたほうが良いのではないだろうか。

 『獣神演武 2(黄金周/原案、荒川弘/著、スクウェア・エニックス)』読了。前巻に続き、さっぱりこっきり乗れませぬ。星宿の定めに生き別れの血縁、愛ゆえのキーパーソン、師匠の仇な不死の剣士(たぶん剣が本体)などなどなど、延々とこのテの作品のお約束ネタを連ねている感じ。しかも進行は端折りまくり、必要な場面だけ切り抜いてダイジェストでやってるような状態なんだものなぁ。荒川氏の絵で引っ張られるにも限度がある、そろそろ物語のうえでも意外な展開や読ませどころを出してくれんと。


2月11日(月) 曇時々雪

 特に予定も無い祝日、ごろごろのたのた寝て過ごすこそ正道と、お決まりのTVの他に映画を1本。『シュレック3』。
 童話の世界に濃厚なパロディと妙に現実的なネタを盛り込み下品風味を添えてごった煮にしたようなシリーズ3作目だが…ん〜、前作に比べるとちょっとキレが無いかな。パロディの元ネタが妙にマニア向けになってる気がするし、話の展開にも意外性が無い。なんかね、前2本には「おいおい、それでいいのかよ!」とツッコミ入れたくなる部分が随所にあったのだけど、作り手も観客も馴れてしまったのかな。長靴をはいた猫(ニャンデラス)のスピンオフ作品が企画中と聞いているけれど、そっちを楽しみにしてみますかね。


2月24日(日) 晴のち雪

 南では春一番が鉄骨の足場を吹き飛ばし、北の当地では天の倉庫の総ざらえのような大雪の翌朝。昨夜家に入るまでのラッセル作業(JR一駅分の踏破含む)でヘタばりきって、昼ごろ寝床から抜け出した。総身これ筋肉痛である。実はおまえの正体は筋肉痛なんだよと言われても、今ならたぶん信じるに違いない。

 まあ、だからといってボク筋肉痛ですと言ってしまうと消滅を待つだけなので、かるくリハビリ動作をしつつ『サイレントヒル(山下定/著、コナミデジタルエンタテインメント)』シリーズを1〜3まで一気読み。
 いずれもベースはきっちりかっちりゲームを踏まえて、プレイ時のイメージを鮮やかに脳裏に甦らせてくれる。イベントもステージの風景も、結構な歳月を経ているのに細部まで思い出させられ、一部トラウマまで掘り起こされる。ええ、リサのあのシーンでマジ泣きしましたから。
 とはいえ、小説としての完成度は…というと残念ながら微妙なところ。表現と言葉がかみ合っていないところもままあるし、ゲームの小説化という足かせのため固有名詞が氾濫し、たぶんプレイヤー以外には読みにくかろう。で、プレイヤーにとって十全かというと、残念ながら一部解釈の違いがひっかかることもありそうだ。少なくともヴィンセントの描写には納得できないなあ、個人的に。
 しかしトータルしてみると、作品ファンとしては確かな「記録」として嬉しいアイテムだと思う。できれば「4」も、最後にウォルター視点とかで上梓していただきたいものだ。
 ちなみに読後、リハビリ動作がバブルヘッドナースみたいだったと、相方から妙にタイムリーな指摘を受けて落胆。せめてヴァルティエルになれるよう、もう少し頑張りますです。

 夜、ずいぶん前に録画したままだった『怪奇大作戦 セカンドファイル』「ゼウスの銃爪」と「人喰い樹」を観る。
 うーん…面白くないとは言わないが…なんとも舌足らずな感じだ。シナリオそのものが「まずテーマありき」でドラマをなおざりにしてるんじゃないか、これ。
 またキャラクターの造形もいまひとつ。SRIのメンバーが誰も「真っ直ぐな若者」傾向へ均質化してて、きわだつ個性がみられない。特にメインをなす牧史郎は、オリジナル版での「科学に魂を売った」スタンスを削ったら何も残ってないんじゃないかと。正義なんて真顔で口走ったら牧さんじゃないっす。まず真実有線の興味しか無くて、異常な出来事の更に斜め上を行くぶっ飛んだ推理をブチ上げて、被害者よりもマッドな「原因たち」に感情移入してくれなきゃ。あとアレだ、リバーシブルのジャンパーは必須だと思いますがどうよ?<それは違う


2月27日(木) 雪のち晴

 連日どっかんどっかんと降りつのった雪と戦い疲れた週の後半。辿り着いた我が家で読むコミックに当たりが多く嬉しい日々。中から2作。

 『秘密(トップ・シークレット) 4(清水玲子/著、白泉社)』
 決して口に出せない想いの胸苦しさ、愛の取り得る歪な像、内奥ふかく煮えたぎる憎悪、弱者を主張する怯懦への胸糞悪さと「消極的な加害者の人権」への憤怒、そんな諸々を死者の脳から見せてきたシリーズ。今回はあえて被害者たちの側からは感情を廃し「証拠」としての映像から犯人の内面を描きだしてきた。サスペンス劇として愉しんできた物語を最後に反対側から見せられることで、読み手が身の置き所を探してうろたえさせられる。お見事というか参りましたというか、あえて素直に泣けましたというか。よくぞここまで描かれたものだ。
 また巻末の短編で、このシリーズの発端である「1999」の主題にふたたび立ち返っているのが非常に興味深い。作者の中でいかなる思考が巡っているのか、できれば脳を覗…いやいやいやいや、素直に次作をお待ちしておりますです、はい。

 『聖☆おにいさん 1(中村光/著、講談社)』
 世紀末を無事乗り越えたイエスとブッダが、東京の下町でのんびり休暇を楽しんでいるという設定からしてえ〜?と苦笑い交じりになってしまう謂わばおバカネタなんだが、全編これのんびりまったりに描きあげられたの空気は読み手をすぐに染めてしまう。2人の妙なガイジン暮らしをあはははと眺め、はっと気付くとうっかりな奇跡にも「あるよね〜」と頷いてしまってたり。無ぇよ!
 ついでにこの組み合わせの共演で『黒のもんもん組』を思い出し、この2人の仕事中を内心の描写つきで見たいななどと罰当たりに願ったり。作者様へ、かしこみかしこみ。

 残念ながら文字モノはことごとくハズレ。中でも『「超」怖い話Λ(加藤一/編著、竹書房)』はいただけない。全てを言葉で語らず、或いは説明できないことをぽかんと謎のまま打ち上げて終わる怪談が好きなんだけど、作為的に話の途中でバッサリやってるのは違うと思うんだわ。しかもソレが1冊の中に複数あったひには、ねえ。そこらのバランスを取るのが編集氏の腕だと思うんだけど、どうっすか加藤さん。まだ単独で走るにゃ早い若手の手綱はしっかり取ってくださいやし。

 そんなワケで書庫(というか、ここんとこ永久凍土)から発掘してきた『証拠は語る FBI犯罪科学研究所のすべて(デイヴィッド・フィッシャー/著、林宏明/訳、ソニーマガジンズ)』なんぞを読み直し。今となっては(って6年しか経ってないんだけど)古びたものもあるとはいえ、犯罪現場に科学の光を当てて証拠を探し出す過程は実に興味深い。日本警察にも頑張って欲しいものだ、せめて司法解剖を1桁台から脱出させるあたりから。






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