店主酔言

書籍・映画・その他もろもろ日記

2008.5





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5月1日(木) 晴

 先日こさえた猫の餌皿を、乾燥用に置いといた棚の上から取り下ろしてみる。ああ、見事!…なひび割れが。 orz
 いや、そうなんだ当然なんだ、水を多量に含んだ土なんだから乾けば縮むのは分かってた筈なんだ。でもここまで収縮率が高いとはな〜。今日の時ならぬ最高気温26℃もあずかってだろうか。引っ張られて薄くなった箇所が幾つかあるおかげで、ちょっと動かしたらバラバラになってしまった。完膚なきまでの大失敗である。ちくしょうちくしょう。
 やっぱり型取りかな。となると、プラ原型の内部に石膏を流すか。それとも素直に石膏に伏せて入れるか?いやいや、ここはホイルで原型を包んで石膏をかけ上から寒冷紗を重ねて…あああああ、なんかどんどん大ゴトになってませんかアーユー?


5月4日(日) 晴のち曇

 珍しく休みが重なったということで、柚さんご来臨。外で待ち合わせて家まで歩く道すがら、日光照りつけ花(あろうことかライラックまで)咲き乱れる陽気のものすごさに一同ぐだぐだ。いい感じに脳が煮上がったもので、帰るなりこちらはマーブルケーキ制作に、ねこまはあちこちで集めた動画上映に、当の柚さんはぼたんと鬼気迫る勢いの猫じゃらし遊びに突入してしまった。うむ、集まった意味がまるっと不明。
 とはいえ、ひとしきり勝手に楽しんだ後は各自の脳の温度も下がり、出来たケーキ(うっかりバターケーキの分量で作ってしまい、かなり濃厚だった)を齧りつつ茶を喫しつ、まったり午後を過ごした。ひとりぼたんのみ、普段より高濃度のサービスにテンションを上げて我々の周囲を飛び回っていたが、まあアレだ、ヤツは若いから。ふう。

 で、柚さんから、かねてお勧めの『モンスターハンターポータブル2nd』を借りてしまった。先日新聞でPSPのキラータイトルと読んではいたのだが、むべなるかなというかヤベェ面白すぎというか。自由度は高いしシナリオ外の要素も多いし、退屈しようとしても出来ない作りのバランスのよさに脱帽するのみ。ハードまでつけてさあ遊べと貸してくださった柚さんの熱中っぷりも理解できましたぜ。
 ちなみに先方、今は新型ハードを購入してこれの次バージョンを遊び倒しておられるとか。夏に泡銭が入ったら追随してしまいそうな我が身が怖いことこの上ありませぬ orz


5月11日(日) 曇時々晴

 妙に気分爽快に目覚めた休日の朝、片付けものと掃除に追われつつ、また猫皿を作る。今回はひび割れ対策にドベ一歩前まで柔らかくした粘土を用意しておいて、亀裂が出来たら都度埋めてみる予定。うっかりすると厚みが当初の倍になりそうな気もするけれど。
 手軽に出来るのがウリのオーブン陶土だが、乾燥が速く収縮が大きいのであまり複雑な形状には向かないようだ。というか「まず小物から作ってみましょう」とパッケージにも書いてあるのだが。だめじゃんワシ(笑)

 夕食後『モンスターハンター』で遊ぶ。日々こつこつペースでしか進んでいないので、まだ★2つの駆け出しハンターである。うむ、この年齢になって「ゲームは1日1時間」を実践するとは思わなんだ。
 ここしばらくの難敵は『ジュラシックパーク』に出てきたヴェロキラプトルみたいな小型竜。性に合った武器が太刀で取り回しが重いので、ぴょんぴょん跳びまわる相手は苦手だ。できればアクションに、その場でのターンを入れて欲しいものだがどうだろう。ゲームバランスを考えると難しいかもしれないけれど、ぜひご一考いただきたい…って、次期バージョンにあったりしたら即買いになりそうな気もしないでもない。つるかめつるかめ。恐ろしいこっちゃのう。

 就寝前、これまた日々ちまちまと読んできた『天切り松闇がたり 第4巻』を読了。不条理かつ理不尽きわまりない世の流れに、己の筋目をもって向き合う義賊たちの胸のすくような活躍を描いて衰えぬ勢いにまずは拍手。しかし時代の陥穽へと滑り落ちてゆく国と人々の姿に、ただ快哉ばかりを叫べない胸苦しさもしっかりと残った。特にかの「王妃」については、大戦終結時に他の「妻」まで連れての脱出行をされたと読んだことがあるので、物語と知りつつその行く末をやるせなく思い出したりして。
 それにしてもこのシリーズ、言葉、ことに主人公と周囲の人々の啖呵の切れ味が素晴らしい。この点、今も大好きな時代ミステリ『なめくじ長屋』シリーズに相通じるものがある。というかあの作品をいまも愛するからこそ、同じくアンダーグラウンドから世を見据える天切り松にも興を覚えるのかな。


5月18日(日) 曇

 『毒杯の囀り(ポール・ドハティー/著、古賀弥生/訳、創元推理文庫)』を読む。残念ながらちょいと期待外れ。雰囲気ある表紙と舞台設定とで、わくわくしすぎていたかも知れぬ。
 時は14世紀、日本では室町幕府最盛の頃。島国仲間の英国では老王エドワード3世が崩御、幼いリチャード2世が即位し叔父のジョン・オブ・ゴーントが摂政位に就くといういかにもヤバげな空気たれこめまくる状況を迎えていた。折もおり、有力な貴族であるとともに富裕な金貸のスプリンガル卿が殺される。
 …この発端は結構ヒキが強い。また、検死官クランストン卿の書記を務める修道士アセルスタンを主人公に据え、彼自身の過去を絡めた当時の空気やロンドンの下層階級の暮しぶりを密に描き込んでいるあたりは、洋の東西を問わない時代モノ好きのツボを押してくれる。さらにさらに、鴬張りの廊下とか謎めいた台詞とか、気を惹くギミックもしっかり含まれている。
 なのに面白くないんだよな、いまひとつ。何故だ。
 まずは、謎解きの過程が腑に落ちない。キリスト教といえば聖書を斜め読みした程度の素人が最初に考えそうなことを、どうして現役修道士が考えないのか。捜査対象の周辺から調べるのが王道とはいえ、ちょっと徹底しすぎじゃないかね。また展開に華が乏しい。途中で追加の殺人やら暗殺未遂も起きるのに、そこで盛り上がらないのはなあ。淡々と書きすぎじゃないのか作者。過剰に煽ればいいってもんじゃあ無いけれど、もうちょっと筆を走らせてもいいのではないか。ミスディレクションのために詰め込んだ背景描写に事件が紛れる程度ならいいけれど、埋没してしまってはやり過ぎ、バランスを欠いているというものだ。
 とはいえ前段で連ねたような要素はいっそ飽和しそうなほど詰まっていて読み応えがあるので、この時代に興味のある向きには愉しめるかな。とりあえず続巻も手の届くところにあったので、またちょいとタイムトラベルしてみるか。


5月22日(木) 曇

 ここ数日、風邪かアレルギー反応か微妙な症状で弱っている。微熱と鼻グズが続くばかりで劇症は無いのだけれど、関節痛と眼の疲れも伴うので文庫本を読むのがキツい。もちろんゲームも出来ないので、『モンスターハンター』も封印。手持ち無沙汰に寝床で猫を捏ねるも、テキのほうが飽きてとっとと去ってしまう。しょうことなく、先日TVでやっていた『ナルニア国ものがたり』の原作を持ち出してきて一気読みした。
 子供の時分に読んだ時は、随所に現れる宗教的(つかキリスト教)描写にあまり気付かなかったけれど、年経て読むとずいぶんとアカラサマだったなぁ。もっとも学生時代に手にした『ペレランドラ』ほど濃密ではないからさらっと読み通せるけれど、最終巻のオチはやっぱり噴飯モノ。ファンタジーとして書き出したならそのまま締めくくるべきところを、話を大きくかつ崇高にしようとした挙句に少年ジャンプ的インフレを起こしてご都合に飛び去ったような印象。こんな幕切れなら無いほうが良かったなぁと小学校低学年で感じた印象はそのままだ。
 映画はCGを駆使してキャラクターを活写し、また壮大な合戦絵巻を見せることで宗教色を脇へ置いているようだが、今後の展開はどうするのかな。まあ2作目は前作と同じパターンでイケるか。ファンタジーとしては3作目が好きなので、ぜひリーピチープの登場までは続けて欲しい。いや、なんだかんだ言って好きなんだな、最終回以外はさ。


5月28日(水) 晴

 ひさびさに早く帰宅できたのでここしばらくの日課にしているレザークラフトは中止。風呂上り、ビール片手にコミック類を流し読みしてみた。

 『輝夜姫(清水玲子/著、白泉社)』
 文庫化なってから買い溜めたのをまとめ読みしてきて、ついに最終巻。
 キャラを増やしネタを盛り込み話を膨らませ…過ぎて落としどころが分からなくなった印象。『竜の眠る星』や『月の子』と比較すると何とも歯切れが悪い。そもそも血筋としての「かぐや姫(由)」と、立場としての「かぐや姫(晶)」の2本立てにしちまった時点で話のコアが揺らいでいたんじゃないかな。最終的に御伽話へ戻した結末も、ちと唐突感が否めない。確かに「ドナーではない」人間が振られるべき役どころではあるけれど、ソレはミラーじゃないと思うんだ。うん。まゆだったら納得したのかも。

 『コランタン号の航海 1―水底の子供(WINGS COMICS)(山田睦月&大木えりか/著、新書館)』
 19世紀のヨーロッパ、というか英仏海峡を舞台にした海洋冒険ファンタジー。日本では伊能忠敬が地図作りに奔走し華岡青洲が嫁姑の確執をヤバい方法で解決してた頃、フランスではナポレオンが幅を利かせていた折もおり、海を隔てた英国海軍には一隻の不思議な艦船があった。いわくたっぷりの謎めいた来歴のうえ、見えない乗員だの魔力?をもった猿だのが当たり前に往来する、聖者の名をもつ船が…。
 と設定はオモシロげなんだが、残念ながら中身にはあまり目新しさが無い。せっかくの時代設定も今のところコスチュームものとしての面と、敵味方の立場を明示するものとしてしか活きてない。おまけにネタにもってこられた「イスの都」は、もうずいぶんいろんな作品に使われてて、たいがい手垢のついた観も否めないのじゃなかろーか。
 と、くさしてみたが、全く面白く無いというワケではないのだ。ただ、絵師の旧作、例えば『ミッドナイト・ロンリー・モンスター』にあったような独特の雰囲気が感じられず、また初お目見えの原作者の力量も、ストーリーの合間に挟まる設定ガイドでしか読み取れない。始末の悪いことに、こいつがめっぽう面白かったりするんだな。ぶっちゃけ、本編をオマケにしてガイド本書いても売れたかもしれん。
 できれば次巻(あるよね?)以降では本編とコイツをうまくミックスし、斬新なネタで提供していただきたい。個人的にはビフォア・ザ・マストの下級水夫連中の生態も、もちっと描きこんでみてほしいな。







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