店主酔言

書籍・映画・その他もろもろ日記

2008.8






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8月7日(木) 晴

 ここしばらく読んだ本。故あってコミックばかり。

 『殺し屋さん 1〜3(タマちく/著、双葉社)』
 書店で目にしてふと手に取り、少女漫画寄りの奇麗系な絵柄からシリアスなのかと思ったら4コマギャグというので、おやおやあらあらと呟きながらレジへ持っていった1作。日本一の殺し屋さん(イケメン童貞)と周囲の人々の殺伐ほのぼの4コマ。ノーマーク品としてはなかなかの拾い物であった。下というかエロネタが多いためお勧めできる先が限られるが。
 ちょいと残念なのは、巻が下るとキャラ間のしがらみ話が増え、真面目なお仕事シーンを圧迫してるような気がすること。しっかり殺してくださいね、いろいろと。

 『聖☆おにいさん 2(中村光/著、講談社)』
 下界でバカンス中の二聖人、ブッダとイエスの下町滞在記その2。相変わらずネタの持ってき方と言葉の使い方が実に上手い。「ヘンな外人」風味の上にそれぞれの教典を含めた宗教・歴史知識もきっちり押さえてあって、うっかりすると勉強になるから侮れない。

 『秘密(トップ・シークレット) 5(清水玲子/著、白泉社)』
 自供とは違う死体が発見されて思わぬ事件が展開する導入部は『C.S.I』ファンには燃えるものがある。そこから導き出される犯罪は現代のニュースに(残念ながら)繁く登場するもので、幕切れに描かれる遺族の思いも含めて激しく感情移入させられる。
 ただ今回、監察医のキャラ立てをちょいと間違ってやしないだろうか。有能な彼女が、そこらのミステリ・ファンでも気付きそうな点を見過ごすというのはどうも納得できない。感情面の軋轢もなんだか「普通の女」以下で薄っぺらくなった気が。
 対して短編として添えられた岡部の物語はキャラクターを語り「第九」の意義を語って余すところなし。40代を半ばにしてうっかり泣かされそうになったのはタイトルどおりということで。

 後は『テレプシコーラ』『ジョジョ(ストーンオーシャン文庫版)』『PLUTO 6』などなどだが、とりあえず日を改めて。あ、『この度はご愁傷様です』はなんというか平々凡々でした。残念。


8月10日(日) 晴

 病状確認が終わり、3ヶ月ばかり後に腹に穴を開けることが決まった。当座は投薬治療で症状の寛解をということなのだが、さすがに1粒300メートルな勢いでは回復してくれない。まあ、そんな薬あったら逆にヤバいわな。副作用で目が離れたり足音がぺたしぺたしとか言いだしてもアレだ、そもそもカナヅチではインスマウスに帰れない。帰りたくないが。
 しかし強化型の肩凝りだの強襲型の胃痛だのと付き合っていると、なかなか本を読むのが難しい。どうにかコミックに逃避してみたが、それさえしんどくてここのところすっかりアニメ漬けである。がしかし、これがなかなか。しばらく斯界から遠ざかっていたのを不明と思わされる作品が多くて嬉しい限りだ。

 『精霊の守り人』
 なんといっても世界観が素晴らしい。政治・経済・宗教・民俗と、全くの異世界をあたかも眼前に見せられる心地。細密にリアルに組み立てられたその中に超自然の存在がきっちりとおさまってるものだから、それをしも実在するもののように感じてしまう。
 キャラクターもユニークで深みがある。男前というか鉄拳オヤジのバルサ姐さんはことにいい。オトナの女性のパワーを見られる作品は日本にはまだまだ少ないので、この後にも期待したいところ。

 『夏目友人帳』
 色調がなんともやさしい。そして話の内容も。妖怪物の怪の類を「見てしまう」少年が、同じ能力をもった祖母の遺品からかれらに名前を返してゆくという繰り返しが、そのつど語られる妖の話と祖母の記憶によってなんとも切なく彩られる。
 招き猫に封じられた、通称「ニャンコ先生」の語りとアクションが楽しく、また正体とのギャップ相まって退屈させない。この作品を薦めてくれた同僚には感謝である。

 『コードギアス 反逆のルルーシュ』
 キャラクター同士のコミュニケーション不全による絡みもつれた因縁、かと思えばアーカーシャなどとベタベタな要素も入れた上に少女マンガな画ときて、どう考えてもツボに来ない筈なのに大当たり。いわゆるロボットアニメのお約束な設定を並べておいて、それらを悉く外しているのがまず面白いんだわこれ。
 また『精霊』とは真逆のところ、作品世界に適度な隙間があるのがいい。エリザベスI世が処女ではなかった…もとい、世継をもうけたというところで分岐したIf世界というのは、そこからの歴史を捏造してみるだけでも結構愉快だ。久々に同人サイトなど巡ってみたりして、キャラクター萌えしているファンに萌えてたりな〜んていってみたりきてみたり。このこのぉ、ちょんちょん♪
 それにしても、現時点で謎だらけ、先の読めないストーリーがあと8話やそこらで全ての謎が解けるのだろうか。なんだかこの調子だと第3クールに突入するんじゃないかと、不安になっている今日この頃である。何が不安かっつーとHDDの録画領域がまたぞろ圧迫されるんじゃないかと。


8月17日(日) 晴

 夏休み『コードギアス』強化週間。
 いや〜、観ました観ちまいました、ワンクール目からこっち全部。
 なにせ初めてきちんと観たのが2クール12話の『ラブ アタック!』だったというトンデモスタートだったので、ストーリーがほぼ、ああいう成分で占められてるのかとあらぬ誤解をしたんだよな。が、それから1週間というものねこまから圧縮学習(A・C・クラーク先生ありがとう)を受けかつネットでいろいろ読み漁ってようやく情報補完して臨んだ13話、いきなりの展開にすっかり持っていかれてフルマラソンに参加する羽目になってしまった。
 うーん、お腹いっぱい。もう勘弁してください、これ以上オレンジは食べられません(笑)

 しかし、15話『Cの世界』でなんだか観念論というかいきなりありきたり和製ファンタジーっぽいことが顔を覗かせたのが気になる。ギアスというのは確かに超常の力なんだけど、お前がワシでワシがお前とかいう台詞がなぁ。世界は微妙にズレながらほぼループしてるというような、アリガチな話になってしまうのだけはイヤだ。せっかくここまでSF的なIf世界に人と人を描いてきたというのに、そりゃないでしょという気がする。最後まで人間同士で争いもがき、何かを勝ち取っていただきたい。

 で、目は画面を追いつつも、手元はせっせと小細工など。革の断ち端を始末したり、パテ盛って削ったりと、久々にちまちま楽しい時を過ごした。こういう何も考えない時間がもっと取れるようにしたいものだなあ。つか更に多くの時間をゲットしないと、下ごしらえした作りかけのモノの山裾が広がるばかりなんだけど。


8月21日(木) 晴

 会社の用でヨドバシへ。もちろんそんなモノはとっとと片付けて玩具&ゲーム売り場へ直行、3Dゲームのデモ機があったので飛びついてみたのだが……。
 酔った。ものすごく。しかも数分で、首が回らないほど肩が凝ってる。
 そういえばモンハンやってる時も結構キてたんだが、脂汗が流れるほど気分が悪くなったのは、流石に新記録といえる。
 困ったもんだ。こんなんだと自前ゲームライブラリの半分からリタイアじゃねぇか?つかMGSが遊べない?時間が取れない以上に深刻ですよこりゃ。

 『夜愁(サラ・ウォーターズ/著、中村有希/訳、創元推理文庫)』上下巻を読了。
 第二次大戦後の英国、さまざまな傷を抱え引きずり生きている男女の群像を描き、やがてその過去へと遡ってゆく物語。社会的に公然と己を示すことのできない劣等感、互いに傷つけあいながら離れられない孤独と怯懦、閉塞感がミチミチに詰まった感じはグレアム・グリーンの作品を思わせる鬱陶しさだが、イコール描写の巧みということであろう。非常にピンポイントながら、社会と歴史を読むにすぐれた作品だと思う。
 ただ、そもそも推理小説じゃないのに推理文庫に入れるな!という点は気にかかるところ。知らずに手にとってしまってがっかりした向きもあるのじゃなかろうか。


8月24日(日) 晴

 2回目のワクチン接種のため、ぼたんを連れて動物病院へ。今日は犬が多かった。大型小型とりまぜて待合室で品評会ができそうな按配。
 諸般の事情あって猫飼いというか猫下僕に身をやつしてはいるが、当方大の犬好きである。愛犬を気遣い顔を寄せ抱きしめ体をさする飼い主と、弱ってぐったりしていても主人の顔を見つめ背を伸ばそうとする犬の情愛。飼い主の膝で脚を踏ん張って守っているつもりのチワワや、コワモテのお兄さんが自分から愛犬に顔をすり寄せ舐めさせるなんてぇ萌え構図とドラマに事欠かない。
 え、我が家の猫ですか?言うまでもなく、出がけの抵抗で僕の手に溝を彫ってくれましたがなにか。ついでに体重は3.5kgと、雌にあるまじき大きさになってきてますが。

 『鋼の錬金術師 20(荒川弘/著、スクウェア・エニックス)』読了。怒涛の急展開にびっくりの1冊。
 ドクター・マルコーとキメラな人たちは普通に予測できたけど、グリード/リンに起きたイレギュラー・ファクターは、なぁ。これは考えなかった。小さな存在と言っては気の毒だけれど、名前も定かでなかった脇役が大局のパワーバランスをひっくり返してしまったというのは凄すぎる。そしてあくまで「欲」である筈のグリードの「仲間」への想いが既に「情」として刻み付けられているのが激しい描写に織り込まれていて、とにかく切なくなるエピソードでもあった。いやほんと上手いわこの人。
 また何よりも、地に描かれた血の陣だけでなく、空を用いたそれが出てくるというスケールのでっかいドンデンにはとにかく驚いた。広げた風呂敷を畳むのは、それが大きいほど至難となるものだが、今回の巻を見るにつけてもこの作者に限ってそれは無さそうだ。見ン事ウルトラC(ってのは古いか)を決め鮮やかに着地していただきたいもんだのう。


8月31日(日) 晴

 『よつばと! 8(あずまきよひこ/著、アスキー・メディアワークス)』を読む。なんだかまた「よつば」というユニークな子供ではなく、等身大のガキの不愉快さに出遭った感触がして鼻白むことに。学校祭は面白かったが、出来事が日常レベルだと、こっちの面が強調されちまうんだな。


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